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8. お父様達は…
しおりを挟む「号外~!号外だよー!!何と!王様には亡くなった愛する王妃様との間に王子様がいたそうだ!!!号外~!!」
街中を馬車で走っていると凄い騒ぎになっていることがわかる。
「え?!じゃあ次の王様って…あの王弟のバカ息子じゃなかったってことかい?」
「そうらしいよ。でも良かったじゃないかい。これで安心して若い娘達を街中に出してやれるよ。」
「そりゃそうだね。」
買い物中のご婦人達や、
「けっ!俺なんか、あのバカ息子に騙されて貢ぎ物をしちまったぜ。あ~!大損じゃねえか!!」
「俺もだ。でもあのバカ息子はどうするつもりなんだろうな。もうタダ飲みもタダ食いもできないぜ。誰にも相手にされないだろうな。」
飲み屋で騒いでいる男性達などいろんな人達が口々に噂をしています。でも見つかった王子については何も言っていませんね。
「お嬢様…。そろそろ帰りませんと日が暮れてしまいますよ。」
そう言ってアンナが開けていた馬車のカーテンを閉めます。
「そうね。気になるものだから…ごめんなさい。帰ります。」
リリの噂が気になって街に来たついでに情報収集をしていましたが、噂のほとんどは王弟の息子のしかも悪口話でしたわね。
しかもバカ息子って…。そんなに嫌われる事をしたのでしょうか?
確かに見た目は大きな太った熊みたいで、歩く度に「ムフ~、ムフ~。」と言いながら歩いているので気持ち悪いのですが…。
「でも良かったですねお嬢様。」
「え?」
「好きな人とご結婚する事ができそうですね。」
「…アンナ。」
リリと結婚する。そんなの考えたこともなかった未来だけど、不思議と今は違和感がないのよね。
「でも、これから大変よね。アンナにも迷惑をかけると思うけど付いてきてくれる?」
王妃教育を受けないといけないし、その為に王城に住むことになったんです。
「もちろんです。お嬢様の行くところなら、どんな所でも付いていきます!」
頼もしいわね。アンナが居てくれると安心できそう。
「問題はお父様達よね…。はあ~。」
リリのプロポーズを受けた後、地下牢に縛られていたお父様達に報告をしに行ったのですが…。
(お母様が命じてお父様達を地下牢にいれていたみたいです。)
「許さん!」
「ルナは公爵家で面倒を見る!」
「俺達がいるから結婚なんてしなくても良い!」
と3人が言ったのを聞いていたお母様がお怒りになってしまって…。
「フフッ…。面白いことを言いますのね。私はどうやら教育を間違っていたみたいですわ。再教育の必要を実感しました。」
うん…地下だからかな。ものすごく寒くなってきました。気のせいかお母様から風が吹いているような…。でも怖くて見ることはできませんでした。
「ルナ、あなたはもうよいからここから離れなさい。後は私がやりますから。」
目が笑っていないお母様とお父様達を地下に置いて私は屋敷に戻ったのですが…あれからお父様達のお姿を見てません。
「お嬢様、ご心配は無用です。奥様がすべて上手くやってくれます!」
そうなんだけど…。それが一番心配でもあるのよ。
お母様…やりすぎないでくださいね。
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