秘密の公爵と淑女レッスン

縁 遊

文字の大きさ
9 / 50

9. リリル様の秘密

しおりを挟む


私はドアの前から動けなくなっていました。

あのビスクドールのようなイケメンのリリル様の言葉使いが…リリル様って実は女性だったの?

そういえば、昔にお会いした天使のようなお姉様のお名前…リリ様と聞いたような…。

あれって、リリル様の名前だったのでは…。

私は両手で口を押さえて声が漏れないようにしながら気配を消していた…つもりだった。

突然応接間のドアが開いた。

「あら、もう遅いみたいよ。聞かれてしまっているわ」

出てきたのはアリア様だった。

私は再び応接間に迎え入れられた。

「えー、どこから聞いていた?」

リリル様が罰悪そうに聞いてきた。

「ビリー様の声を誉めている辺りからです…」

「そう…」

リリル様のお顔が曇る。

「もうお話をしてしまいましょうよ。リリルの秘密」

のんびりとした口調で公爵夫人が話し始めた。

「リリルが姉5人に囲まれて育ったのは知っているわよね。その姉達に着せ替え人形のように女の子の服を毎日着せられて連れて歩かれていたら本人も男の子なのに自分は女の子なんだと思っていたらしいのよ…学校に行く前までね」

そんな事ってあるんですか、驚きです。

でも、リリル様はやはり男の人だったんですね。

男装女子なのかとドキドキしてしまいましたよ。

「だから、言葉も女の子の話し言葉になってしまって…男の子の話し方に変えようとしたんだけど、駄目だったのよ~、気を抜くとすぐに今みたいに女言葉になってしまうの…」

駄目だったのよ~って公爵夫人、軽くないですか?

お姉様たちも横で頷いているだけだ。

「私達もやりすぎたと反省してるけど…あの頃のリリルってば本当に天使みたいに可愛いかったんだもの」

「そうですわ。女の子の洋服がとても似合っていてリリルの為に何着ドレスを購入したか…」

お姉様たちはご満悦の表情をして話されていますが…反省の色は見えませんね。

「もう、バレたらしかたないわね。この事は絶対に秘密よ…誰かに話したら公爵の力を使って…」

リリル様公爵の力を使って何をする気なのでしょうか…。

私は黙って何回も頷いた。

『ミレーナどした?首痛いか?』

ビリー様…ビリー様のせいでとんでもない秘密を知ってしまったじゃないですか。

後で話し合いですよ。

でも、おかげで1つ謎が解けた。

イケメンなのに結婚できないのはこのせいなのね…もったいないな。

「あ~でも知られたらスッキリしたわ。ずっと秘密にしておくのも男の言葉で話すのも疲れるのよね~。これからは素でいかせてもらうわね」

リリル様…バレた途端に雰囲気が変わりすぎではないですか?

「宜しくね、ミレーナ。明日からの淑女教育を楽しみにしててね」

そう話しながらビリー様を渡された。

いや、笑顔が怖く感じるのは気のせいですか?

お手柔らかにお願いします。

『ミレーナ淑女無理』

いや、ビリー様…どこで言葉を覚えてきてるんですか?




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

君を探す物語~転生したお姫様は王子様に気づかない

あきた
恋愛
昔からずっと探していた王子と姫のロマンス物語。 タイトルが思い出せずにどの本だったのかを毎日探し続ける朔(さく)。 図書委員を押し付けられた朔(さく)は同じく図書委員で学校一のモテ男、橘(たちばな)と過ごすことになる。 実は朔の探していた『お話』は、朔の前世で、現世に転生していたのだった。 同じく転生したのに、朔に全く気付いて貰えない、元王子の橘は困惑する。

皇帝陛下!私はただの専属給仕です!

mock
恋愛
食に関してうるさいリーネ国皇帝陛下のカーブス陛下。 戦いには全く興味なく、美味しい食べ物を食べる事が唯一の幸せ。 ただ、気に入らないとすぐ解雇されるシェフ等の世界に投げ込まれた私、マール。 胃袋を掴む中で…陛下と過ごす毎日が楽しく徐々に恋心が…。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?

藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。 結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの? もう、みんな、うるさい! 私は私。好きに生きさせてよね。 この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。 彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。 私の人生に彩りをくれる、その人。 その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。 ⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。 ⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。

〜仕事も恋愛もハードモード!?〜 ON/OFF♡オフィスワーカー

i.q
恋愛
切り替えギャップ鬼上司に翻弄されちゃうオフィスラブ☆ 最悪な失恋をした主人公とONとOFFの切り替えが激しい鬼上司のオフィスラブストーリー♡ バリバリのキャリアウーマン街道一直線の爽やか属性女子【川瀬 陸】。そんな陸は突然彼氏から呼び出される。出向いた先には……彼氏と見知らぬ女が!? 酷い失恋をした陸。しかし、同じ職場の鬼課長の【榊】は失恋なんてお構いなし。傷が乾かぬうちに仕事はスーパーハードモード。その上、この鬼課長は————。 数年前に執筆して他サイトに投稿してあったお話(別タイトル。本文軽い修正あり)

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

処理中です...