秘密の公爵と淑女レッスン

縁 遊

文字の大きさ
10 / 50

10. 淑女レッスン開始

しおりを挟む


リリル様の秘密を知ってしまった夜は、なかなか寝付けなかった。

リリル様って言葉遣いが女性なだけなのかな?

好きな人は女性?男性?どちらなんだろう。

気になるけど聞いてはいけないよね…。

でも、近寄りがたい雰囲気は、あの言葉遣いで半減したかもね。

フフッ…。

私は思い出し笑いをした。

だって、人形みたいに綺麗でハスキーな声なのに言葉は女性なんだよ…初めて会った…リリル様みたいな人。

そんな事をいろいろと考えていたら、いつの間にか朝になっていた。

いけない…今日からレッスンなのに寝不足です。

私は目の下にクマを作ってリリル様の元に向かった。

コンコン。

「お入りなさい」

本当に話し方が昨日までと違う…。

「失礼します。あの…」

私が顔を見せた途端にリリル様が声をあげた。

「ちょっと何、そのクマは…女の子は肌と髪が命なのよ」

リリル様が私の顔を両手で挟んでマジマジと見ている。

言葉は女性だが、見た目は紛れもなくイケメンなので私の心臓がヤバイくらいにドクドクと早く動いている。

顔が真っ赤になって熱を持ち始めた。

「やだ、熱い。熱でもあるんじゃない、大丈夫?」

リリル様って自分が綺麗だという自覚がないのかな?

「いえ、お兄様以外の男性に触れられる事がなかったので恥ずかしくて…」

「あっ…ごめんなさい。ついつい姉達と同じ感覚で接していたわ」

そう話すとリリル様は引き出しの中から何かを出してきた。

「これを今日から夜にするようにしてね」

渡されたのは瓶に入った液体と平たいコットン。

「これは…?」

「美容液よ。そのコットンに美容液を含ませてクマの所になりなさい。あっ、まずは顔全体にぬってからね」

「はあ…」

「なあに、気のない返事ね。年頃の女の子達はこれくらい毎日しているわよ」

そうなんだ、知らなかった。

私はお兄様達が遊び相手で社交の場にもほとんど顔を出していないから、同じ年頃の女の子と話す事がなかったんだよね。

「どうやら、基礎の基礎から教えないといけないみたいね…。やりがいがあるわ」

私の様子を見てリリル様は何か感じる事があったらしい。

「まずは、外見を整えながらマナーを学んでいきましょう」

「はい」

行儀見習いって皆こんな感じなのかな?

「さあ、今日から淑女レッスン開始よ!頑張って一流の淑女になるのよ」

リリル様が鼻息荒く気合いを入れている。

アイドお兄様の武術指導の時の気合いと同じだなと思ってしまう。

お兄様の時は元気良く返事をしないと怒られるんだけど、この場合も同じなんだろうか?

仕方ない、元気に返事してみるか…。

「はい!宜しくお願い致します!」

リリル様がニッコリ笑って頷いている。

どうやら、合っていたみたい。

はあ~、いよいよ淑女レッスンと言う名の行儀見習いスタートするみたいです。

…ビリー様部屋でなにしてるのかな~。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

君を探す物語~転生したお姫様は王子様に気づかない

あきた
恋愛
昔からずっと探していた王子と姫のロマンス物語。 タイトルが思い出せずにどの本だったのかを毎日探し続ける朔(さく)。 図書委員を押し付けられた朔(さく)は同じく図書委員で学校一のモテ男、橘(たちばな)と過ごすことになる。 実は朔の探していた『お話』は、朔の前世で、現世に転生していたのだった。 同じく転生したのに、朔に全く気付いて貰えない、元王子の橘は困惑する。

皇帝陛下!私はただの専属給仕です!

mock
恋愛
食に関してうるさいリーネ国皇帝陛下のカーブス陛下。 戦いには全く興味なく、美味しい食べ物を食べる事が唯一の幸せ。 ただ、気に入らないとすぐ解雇されるシェフ等の世界に投げ込まれた私、マール。 胃袋を掴む中で…陛下と過ごす毎日が楽しく徐々に恋心が…。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?

藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。 結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの? もう、みんな、うるさい! 私は私。好きに生きさせてよね。 この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。 彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。 私の人生に彩りをくれる、その人。 その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。 ⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。 ⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。

〜仕事も恋愛もハードモード!?〜 ON/OFF♡オフィスワーカー

i.q
恋愛
切り替えギャップ鬼上司に翻弄されちゃうオフィスラブ☆ 最悪な失恋をした主人公とONとOFFの切り替えが激しい鬼上司のオフィスラブストーリー♡ バリバリのキャリアウーマン街道一直線の爽やか属性女子【川瀬 陸】。そんな陸は突然彼氏から呼び出される。出向いた先には……彼氏と見知らぬ女が!? 酷い失恋をした陸。しかし、同じ職場の鬼課長の【榊】は失恋なんてお構いなし。傷が乾かぬうちに仕事はスーパーハードモード。その上、この鬼課長は————。 数年前に執筆して他サイトに投稿してあったお話(別タイトル。本文軽い修正あり)

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

処理中です...