秘密の公爵と淑女レッスン

縁 遊

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11. レッスン始まりました

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「ミレーナ…今まで何をやっていたの?それでも年頃の女の子なの?はあ~、ちょっと休憩しましょ…」

「…はい」

只今、淑女レッスンの真っ最中…ですが、リリル様に呆れられてしまいました。

今日のレッスンはお化粧の仕方。

お化粧なんて、今までしたことなかったんだよ。

着飾って出かける所になんか行かないし、ほぼ屋敷に引きこもりの私としては必要を感じなかったんだよね。

『ミレーナ化け物…目ぶつけた?青い痛そう。口も大きい腫れてる』

ビリー様が私の化粧した顔を見て散々な事を言ってる。

「ビリーちゃんもそう思うわよね。どうしたら、こんな風にできるのかしら…不器用なの?」

リリル様とビリー様は気が合うらしく、2人?(正確には1人と一羽だけど)でよく話している。

レッスンの時も部屋にビリー様だけ置いておくのは可哀想だから連れて来なさいと言われて、レッスン中は同じ部屋にいる。

『ミレーナ不器用。針、手を刺す』

「ビリー様!」

今、ビリー様が言ったのは以前に自宅でお母様が刺繍を教えてくれた時のこと。

私は刺繍針で指を刺しまくり布が血で染まったのだ。

お母様には努力すれば大丈夫って言われたけど、全然上手にならなくて…。

結局…刺繍はしなくなった。

「へえ~、縫い物系も駄目なのね…何ならできるの?」

リリル様…ビリー様に聞かないで下さい。

『ミレーナ、勉強・魔法・武術できる』

「男性ならモテそうな得意分野ね…残念ながら女の子だけど」

そんな事は自分でもわかっています。

お父様にもミレーナが男の子だったら出世できただろうな…と言われているんです。

「まあ、でもそんな女の子がいても良いと思うわ。私みたいな男もいるんだしね。個性よ、個性」

「リリル様…」

私はキラキラした目でリリル様を見た。

そんな事、初めて言われました。

「でも、貴族社会ではそれを隠さないと駄目よ。使い分けをしなくちゃね。私みたいに…」

そんな器用な事はできません。

出来るならやってますし、行儀見習いに来てませんよ。

「そのへんも教えないと駄目みたいね…」

えっ…レッスン内容増えるんですか?

勘弁してください。

レッスンが始まってわかった事はリリル様がスパルタの教師だということです。

口調がお姉さんだから、優しいのかな~と期待していたら、見事に裏切られました。

今日も何回「やる気があるの?」と聞かれた事か…。

ビリー様がいなければホームシック確定でしたよ。

「とりあえず、その顔で見つめられると怖いから化粧落としてきなさい」

怖いって…酷い。

私は顔を洗いに部屋を出た。

廊下ですれ違った何人かの侍女達が「ヒッ!」と言って驚いたということは、リリル様達には内緒にしておこう…。

ビリー様も部屋に帰ったら、餌で買収して余計な事を話さないようにしておかないと…。



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