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16. 報告
しおりを挟む「いや~、嬉しいよ。リリルが遂に婚約する事ができるなんて…ウッ…」
公爵様は口元を手で押さえて声がでないようにして涙ぐまれている。
私の心は罪悪感でいっぱいなんですが…。
偽装婚約と知ったらショックを受けるだろうな…。
リリル様とは御両親に話す前に打ち合わせをしました。
偽装婚約期間はどちらかに好きな人ができるまで。
もしくは、私が18歳になるまで。
解消する時は私に好きな人が出来て別れるとしても、リリル様から解消をしたということにする。
私は気にしないのだが、私が悪者になるのはリリル様が気にするらしい。
そして、お互いの両親には偽装だとは言わないこと。
まだ知り合ったばかりだからもう少し婚約者としてお互いの事を良く知りたいので結婚は私が18歳になってからという設定にした。
「リリル…良かったわ、こんな可愛らしい令嬢と婚約することができて…」
公爵夫人がハンカチで涙を拭いている。
「そんな…可愛いなんてとんでもないです」
私が否定すると、たまたま屋敷にいらしていた長女のナタリア様が夫人の背中を擦りながら話し出した。
「いえ、ミレーナさんはリリルの今までの事をお知りにならないからそう思うのよ。リリルを狙っている令嬢は派手な美人が多くて、おまけに私達の言うことなんか聞きもしない我儘な人達ばかり。家族は対応にウンザリしていたのよ。ミレーナさんの様に落ち着いてお話をできる令嬢なんていなかったわ…。まったく、我が弟ながら女運がないのよね…」
リリル様が苦笑いしています。
前にレッスン場に来たサリハ様もそう言えばそんな感じの令嬢でしたね。
なるほど…。
確かにあの人達に睨まれたら普通の令嬢達は寄ってきませんよね。
リリル様も家族の皆様も大変だったんですね。
『ミレーナ、ビリー嬉しい。ミレーナ婚約。リリル良い人』
ビリー様も喜んでくれているみたい。
リリル様との打ち合わせの時は連れて行かなかったので本当だと思っているみたいです。
ごめんね、ビリー様。
「ビリーちゃんも祝福してくれるの。ありがとう」
夫人がビリー様に話しかけています。
最近ビリー様はリリル様の家族全員と仲良くなったみたいで、私の部屋に帰って来ない日もあるんです。
ビリー様の浮気者!
この家の皆様は美男美女だから、ビリー様が浮かれているのはわかりますが…。
「ミレーナ、そろそろレッスンの時間だから行きましょう」
「はい、リリル様」
私達はリリル様の御両親に報告を終えて部屋からでた。
「「はあ~」」
レッスン場に入った途端に2人から安堵の溜め息が漏れた。
お互いに緊張していたみたい。
2人で顔を見合わせて笑った。
「騙しているのに、あんなに喜ばれると胸が痛むわね…ごめんなさい、ミレーナを巻き込んでしまって」
リリル様が謝ってきた。
「いえ、私も胸は痛みますが自分で考えてお受けしたのですから謝らないで下さい」
「優しいわね…」
リリル様が笑顔で私の頭をポンポンと軽く叩いた。
うわぁ~、イケメンの威力が半端ないんですけど~。
心臓のドキドキが止まりません。
こんなので、私はこれから大丈夫なのかな?
神様!どうか私にイケメンの免疫力を与えて下さい!
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