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15. 本当は美少女なんです
しおりを挟む「はあ~」
『溜め息、幸せ逃げる。ミレーナ不幸』
ビリー様本当に人の言葉知りすぎですね。
「いろいろありすぎて…どうして良いのかわからないから溜め息をついたんですよ」
だって、いきなり婚約者にならないか…なんてリリル様に言われたんだよ。
私みたいな普通…いや、今は普通以下だな周りの人達には引きこもり令嬢とかって言われてるしね。
話を聞いたらリリル様の苦労も気持ちも、わかる気がするし。
実は私は幼い頃は天使の様な美少女と言われていた。
自分で言うとかなり痛い気もするが…。
その頃は人を疑うこともない、天真爛漫で誰にでも話しかけるコミュニケーション力の高い子供だった。
しかし、見た目が良いというだけである日誘拐されて売られそうになった。
すぐに助けられたけど、その日から私の世界は変わったのだ。
人が怖いし、女の子らしくするのが苦手になった。
私を誘拐した男達が私の顔や髪、身体を触り、これは高く売れるから傷をつけるなよ…美少女は高く売れるんだ…と話しているのを聞いたからだ。
両親は魔法使いに目立つ容姿の私にある魔法をかけてもらえるように依頼した。
それは、本当に好きな人ができるまで目立たない容姿にする魔法だった。
他にも、私はお兄様達に身体と心を鍛えてもらい、いろいろな知識をつけた。
何があっても困ることがないように。
だから、容姿が良いと大変だという事もわかるのだ。
その人達の好意に答える事ができれば良いが、答えることができない場合は最悪だ。
有ること無いこと噂をされる様になる。
こちらの気持ちは関係なくね。
だから、リリル様を助ける事になるなら婚約者に…いや、でも目立つよね。
せっかく、地味令嬢になって人に構われなくなったから伸び伸びとさせてもらっているけど、リリル様の婚約者になると逆にそれが目立ってしまう。
イケメンと地味令嬢…貴族の令嬢達の噂の的になるのは間違いない。
どうする私。
困っているリリル様を無視できる?
だけど…本当の婚約者になるわけではないし、リリル様に好きな人ができたら解消するわけだし…。
暫く考えた結果、リリル様の話を受ける事にした。
まあ、最初から私のお父様はそうなれば良いなと思っていたみたいだし、きっと喜ぶだろう。
一時だけどね。
1回も誰とも婚約しない娘よりは1回婚約破棄された経験があります…の方が後々良いかも。
だって、私は結婚する気がないから一生独身の予定だし、お兄様にも家の手伝いをするから離れにでも住まわせてくれとお願いして了解をもらっている。
両親には内緒だけどね。
『ミレーナ眉間しわ、ブサイク…』
「ビリー様おやつなしです」
『ギャー!ミレーナ様』
暫くビリー様の叫び声が響いていました。
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