秘密の公爵と淑女レッスン

縁 遊

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14. 婚約しませんか?

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サリハ様が公爵夫人に連れて行かれてレッスン場は静かになった。

「…ごめんね、ミレーナ」

リリル様が申し訳なさそうに話しかけてきた。

「いえ、こちらこそビリー様が暴れてしまって申し訳ありませんでした」

  「「………」」

2人とも次の言葉がでない。

話し出したのはリリル様だった。

「さっきのサリハ様は以前に行儀見習いで家に来ていた令嬢なの。でも、来てわかったのは私目当てに来たって事。レッスンは全然しないし、私の寝室に夜中に来たり…と酷かったからすぐに帰ってもらったんだけどね。それでも今みたいに突然やってきたりすることもあってね…本当に困ってるの」

モテる人も大変なんですね。

リリル様は身分も高いし、イケメンだし、仕事もできると評判だから、女性にしたらお婿さんにしたい人No.1かもしれないですね。

私はそういうのに、疎いので知りませんでしたが…。

貴族の子女は優良物件ならぬ優良人材を日々探しておられるみたいですからね。

私はふと気になる事を聞いてみた。

「リリル様が婚約でもなされば落ち着くのではないのですか?それとも、女性はお嫌いなのでしょうか?」

驚いた様な表情でリリル様が私を見た。

「直球な質問ね。誤解されているみたいだから言うけど言葉だけが女言葉で好きなのは女性です。だけど、これを隠して一生過ごさないといけないとなるとね…結婚するのを考えてしまうんだよね」

そんなものなのかと思った。

「隠さなくても良い相手をお選びになればよいのでわ?」

「そんな人はめったにいないわよ…。特に貴族の令嬢なんかは私に理想を押し付けてくるからね。うん?…いや、待って…いる、いるじゃない」

誰か思い当たるお相手がいたみたいだ。

急にリリル様が私に向かってきた。

「ねえ、ミレーナ…私を助けると思って婚約しない?」

「へ?」

思わぬ提案に変な声が出てしまった。

「いい加減疲れてたのよ…サリハ様だけではないのよね。私目当てにくる令嬢。確かに婚約していれば今みたいな事にはならないと思うし、お見合いの話もやってこなくなるから…いろいろな煩わしさから解放されると思うのよ。だから、お願い!暫くの間で良いから、婚約者になってくれない?」

「え…でも」

私が返事を渋っていると、ビリー様が会話にはいってきた。

『婚約!リリル良い奴!ミレーナ婚約!』

「ビリーも良いと思うわよね」

2人の私を見つめている…。

頷けと言うことですか?

あ~、考えさせてくだいよ~。
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