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18. 乗馬のレッスンはドキドキです
しおりを挟む「出来ることもあったのね…」
リリル様が笑いながら言っている。
「基本、身体を動かすことは得意です」
ふて腐れて私が言うと、リリル様がニヤリとしたのがわかった。
「あら、でもダンスは全然よね?身体を動かすことだと思うのだけど…」
リリル様は意地悪だ。
「ヒールが苦手なのです。あんな靴で踊る女性を尊敬します」
「そうなのね、今日はヒールではないから良いのね」
今日はヒールを履くようなレッスンではなく、乗馬靴を履いて乗馬をしています。
元々、動物好きで身体を動かすのが好きだったので乗馬は幼い頃から大好きだった。
お兄様達と一緒に遠乗りも行くことがある。
お母様には怒られるけど…。
乗馬は嗜む程度で良いらしい。
「ミレーナ!前!」
リリル様の大きな声で我に帰って、前を見ると子供が馬の前に飛び出してきていた。
「うわぁ!」
子供が驚いて倒れた。
このままでは子供を蹴ってしまうと思い、強く手綱を引いた。
ヒヒーン!
馬の鳴き声が響きわたる。
「ミレーナ!」
リリル様の慌てたような声を聞きながら、私は落馬した…と思った。
「ミレーナ!しっかりして」
地面に落ちる痛さを覚悟していたのに、今いるのはリリル様の腕の中。
落ちる寸前にリリル様が私をキャッチして下さったみたい。
落ちると思って固く閉じていた目をゆっくりと開けるとそこには、イケメンのドアップがあった。
しかも、私を抱えてもびくともしない腕力と触れる事でわかったリリル様の筋肉…。
私は直ぐに茹でダコ状態で真っ赤になった。
リリル様を男性として意識してしまう。
だって、女性みたいな話し方だから力はないだろうな~って思っていたのに、こんなギャップがあったなんて…。
「顔が真っ赤だけど、どこか痛む?」
私はリリル様の問いかけに首を横にふった。
「違うのね、良かったわ~。落馬すると思って慌てたわよ。間に合ってホッとした」
リリル様は私をゆっくりと下に下ろすと、倒れていた子供の所に行った。
「大丈夫か?急に飛び出してきては危ないぞ、以後気をつける様にな…」
リリル様はそう子供に話して頭を撫でた。
子供もケガはしていない様子だ。
良かった…。
でも…今更だけどリリル様ってやっぱり男性なんだと思ってしまいドキドキがおさまらない。
お兄様達とハグしたりもするけど、それとは全然違うのね。
リリル様は良い匂いもするし…。
でも、今は落馬しそうになった恐怖のドキドキかもしれないわ。
うん、そうよね。
まだ、リリル様へのドキドキと決めつけるのは早いと思う。
だって、婚約はいずれ解消しなくてはいけないんだから好きになってはいけないんだよ。
ギャップ萌えしてる場合ではないよ!
しっかりして私!
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