秘密の公爵と淑女レッスン

縁 遊

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19. ギャップ萌えがやめられません

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今日はテーブルマナーのレッスンです。

講師は今日もリリル様。

できれば、リリル様のお姉様達にお願いしたかったです。

あの落馬事件があってから、どうにもリリル様を意識してしまうんです。

もとから、自分が男の人の筋肉を見るのが好きだと自覚はしていましたが、まさか…見てもいない触れた筋肉にドキドキさせられるなんて。

しかも、一見すると筋肉とは無縁な感じのするリリル様の筋肉に…。

私の2番目の兄の仲間の皆さんは身体を鍛えている方が多いので筋肉美というものをこっそり目にしていました。

お母様には変態みたいだからやめなさいと言われましたが…やめられなかったのよね。

「ミレーナ、ボーとしない!」

怒られてしまった。

「スープは音をたてないで飲む。スプーンは丸い形のがあるでしょ。間違えない」

だって、こんなに沢山のカトラリーがあると何に使うのかが分かりません。

何か…このスプーンはこれに使うとか、印みたいな物はないのですかね?

「貴女…今、印でもあれば分かりやすいな~とか考えていたでしょ」

リリル様鋭い。

でも、何で分かったんだろう?

「ミレーナ…貴女は貴族子女なのに顔に感情を出しすぎよね。貴族は顔に感情をだしてはいけないのよ。わかっているの?」

それ、お母様にもよく言われていました。

そんなに分かりやすいのかな。

リリル様が私の後ろに立ってカトラリーについて説明を始めた。

「だいたい、外から順番に使うのよ。デザートとスープのスプーンだけは違う所にあるけどね」

そうなんだ…。

今までは面倒だから1種類のナイフ、フォーク、スプーンだけを使用してました。

公式な場所には行かなかったからね。

自慢にはならないけど、引きこもりだったから…。

その時、リリル様が後ろからナイフとフォークの使い方が悪いと私の両手を触ったというか、掴んだ…。

「ヒャ!」

「何で変な声を出してるの?」

リリル様は冷静です。

「すいません、驚いてしまって…」

自分だけが意識しているようで恥ずかしいです。

「あれだけお兄さん達がいたら男性には慣れているんじゃないの?」

確かに…兄達のお友達とかもよく家にきていましたし、いろんな鍛えぬかれた筋肉…いえ、男の人達を目にすることはありましたが、近付くことも話をすることもなかったんですよね。

遠くから見るだけだったんです。

幼い頃の誘拐のトラウマがまだぬけないんですよ。

誘拐の犯人は若い男性達だったので、若い男性は苦手なのです。

リリル様は話し方が女性らしくて緊張が少なかったんですが…。

「ほら、ボーとしない」

リリル様の声が耳元でしています。

「ひゃい!」

あっ…また変な声になってしまった。

『ミレーナ赤い。リリルイケメン…』

ビリー様…何となく気づいている?

「ビリーちゃん、イケメンって言ってくれてありがとう」

リリル様とビリー様安定の仲良さです。

まさか、ビリー様に嫉妬する日がくるなんて…考えてませんでした。
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