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22. 再び登場サリハ様
しおりを挟む叩かれる…私は痛みを覚悟して目を閉じた。
…けど、叩かれる事はなかった。
「サリハ様…淑女が手をあげるなんて誉められた事ではないですよ」
リリル様がサリハ様の手を掴んで止めてくれたみたいだ。
ホッとした。
「リリル様…離して下さいませ。この女はリリル様を誑かす悪女ではないですか!リリル様に目覚めて頂く為にはこの女をどうにかしないといけませんわ」
世の中では私はリリル様を誑かした悪女になっているのか…。
「どうしてミレーナが悪女?」
「どう考えてもこんな平凡で何も特徴がないような女がリリル様と婚約するなど、何か怪しい術でも使ったとしか思えませんわ」
へえ~、そんな事を噂されているんだ。
まあ、確かに不思議に思うか…。
平凡な要素しかない私が、この国1番の結婚したい男と婚約したら驚きと不思議しかないし、一体どうやって婚約出来たんだと想像してしまうよね。
怪しい魔術を使ったと思われているのは驚きだけどね。
「婚約を申し込んだのは私からですが、それは騙されたとか術をかけられたとかではなく、ミレーナ様といるとありのままの自分でいられると感じたからです。それは、サリハ様や他の令嬢達といる時には感じなかったものです」
リリル様の話を聞いていたサリハ様はその場に座りこんだ。
「そんな…嘘ですわ。私よりあの女が良いなんて…私の方が女としての魅力も貴族としての地位も負けていませんのに…。その私がこの女より劣る?」
俯いたままのサリハ様の身体から怪しいオーラみたいな物が見え始めた。
「何…あれ…」
「危ない!魔力暴走よ!」
リリル様が私の側に駆け寄ってきた。
次の瞬間、レッスン室の中は強風に包まれた。
私は…リリル様の腕の中にいた。
咄嗟にリリル様が強風から守る為に私を抱きしめてくれたのだ。
私達は強風に飛ばされてしまった。
ドォーン!ゴー!
「ッ…」
リリル様の痛みに耐える声が漏れた。
私を庇ってリリル様は壁に強く打ち付けられたのだ。
「大丈夫ですか、リリル様?」
私は腕の中からリリル様を見上げた。
「大丈夫…。もうすぐ執事達が気がついて来ると思うからミレーナはもう少しこのままで我慢してね」
そう言うと、いっそう強く抱きしめられた。
リリル様は私を守ってくれようとしている。
元凶のサリハ様は…。
落ち着く様子がなく、何か叫びながらさまよっている感じだ。
私は怖くなりリリル様の服を握りしめた。
抱きつくのは…恥ずかしいから、服を掴むので精一杯だ。
抱きついたら私のこの心臓の鼓動の速さを知られてしまうしね。
意識しだしたら止まらない…。
リリル様って言葉以外は男らしくて好きにならない方が無理なんですけど~。
私の心臓…大丈夫かな?
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