秘密の公爵と淑女レッスン

縁 遊

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27. ごめんなさい

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デートだと張り切って準備したものの、いざ外に出かけると自分の根性の無さにビックリした。

幼い頃はわりと人目を気にせずにいられたと思うのだけど、引きこもりが長かったせいで耐性が全く無いに等しい。

女性達の目線が矢のように突き刺さる感じがする。

これって、イケメンのリリル様に釣り合わない私が一緒にいるからなの?

せっかく美味しいと評判のショートケーキを食べていると言うのに~!

「ミレーナ、クリームついてるよ」

リリル様が私の口元についていたクリームを指でと取ってくれました。

周りからは小さな悲鳴が聞こえます。

いやいや、私の方が悲鳴をあげたいです。

何してるんですかリリル様!

そんなことをされて、ときめかない女性がいると思っているんですか?

しかも、取ったクリームをご自分の口に運びましたね!?

鏡を見るまでもなく自分の顔が赤いのが分かりますよ。

金魚のように口をパクパクさせて声もでません。

「ミレーナ…また百面相してるよ」

イケメンスマイルのリリル様キラキラ度が凄い…。

いつものお姉様言葉ならダメージは少なくて済みますが、今は普通にイケメンとお話をしている感じなので、キラキラ度が凄すぎてダメージが半端ないです。

言葉の影響力を改めて感じます。

いつもは、お姉様言葉なので緊張しなかったんだ。

不思議に思っていたんだよね。

男性が苦手な私がダンスの時に密着しても嫌な感じをうけないから…。

あれで、男性言葉でお叱りを受けていたらリリル様の事が苦手になっていたかも。

いや、今はそんな事を考えるよりこの状況を何とかしないといけない。

私はショートケーキを急いで食べた。

「慌てて食べるほど美味しいんだね」

リリル様が優雅にミルクティーを飲みながら話をしてくるけど、こっちはそれどころではない。

早く食べて屋敷に帰らないと、私の精神がやられます。

拭かれる前に自分で口元を素早く拭いてミルクティーも飲み干した。

きっと、落ち着いて食べたら感動もののケーキとミルクティーだったんだろうな。

でも、2度と来ることはないだろう。

引きこもりの私が苦手とするこのキラキラなカフェに1人でくる自信がない。

誘う友人もいない。

そう考えるとリリル様には感謝しないといけないよね。

「リリル様、こんな素敵なカフェに連れてきて下さってありがとうございました」

私は自分なりのとびきりの笑顔でリリル様にお礼を言った。

リリル様は少し驚いた様な表情をされた後、笑顔で

「気にいってくれたのなら良かったよ」

と言ってくれた。

帰ったら侍女さん達に何て言おう…。

可愛くしてもらったお礼を言って、それから…謝ろう。

私ではリリル様の婚約者として役不足だって…。

期待してもらったのに、ごめんなさいって…。
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