26 / 50
26. 私には無理なのかな…
しおりを挟む玄関に急いで行くと、そこにはいつもとは雰囲気の違うリリル様がいました。
いつもはレッスンの為に動きやすいラフな格好をされている事が多いのですが、今はお出かけ対応のお洒落なお洋服を着用されています。
少し身体のラインが分かるくらいくらいのピッタリシャツと細身の黒のパンツ、しかもシャツは前のボタンを少し開けています。
目の毒…いや、セクシーすぎて目のやり場に困ります。
今日のリリル様は大人セクシーな雰囲気です。
対する私は侍女の皆さんに頑張ってもらいましたが、この仕上がりのリリル様を見てしまうと…先程までの自信はどこかに吹っ飛びそうです。
「雰囲気が違うわね。清楚な令嬢に見えるわ」
リリル様が誉めてくれました。
嬉しいですが、横に並ぶのは躊躇います。
下を向いていると、リリル様が私の手をひっぱって声をかけてくれました。
「ほら、早く行きましょう。せっかく綺麗にしてるんだから皆に見せてあげないとね」
イケメンのウインクをいただきました。
そうですね、せっかくだから楽しまないとね。
ドキドキは収まりそうにもありませんが、これも慣れなのかな。
馬車に乗って街に到着するとリリル様はお店を予約してくれていたみたいですぐにその店に向かいました。
馬車を降りた瞬間から周りの目線がリリル様に釘付けになっていました。
その後私に向けられて誰?あの子?と言う声が何回聞こえたか…。
リリル様人気恐るべし…。
「何ボーとしてるの?着いたよ」
見上げると目の前には可愛らしい外観のカフェがありました。
店内は若い女性が沢山いるみたいです。
店に入ると、やはりと言うか…女性達の視線がリリル様に集中しているのがわかります。
これは…緊張します。
「ここのケーキが美味しいと評判なんだ」
リリル様の言葉も外バージョンですね。
イケメン度が増します。
「甘いもの好きだったよね?」
「は、はい」
甘いものは大好きですけど、こんなに人に見られていたら緊張して味も分からない様な気がします。
「お待たせしました。本日のケーキはイチゴショートです。お飲み物はミルクティーでございます」
「ありがとう」
給仕していた女の子にリリル様が笑顔で対応すると、女の子は見とれているみたいで目がハートになっている様に見えますけど。
「さあ、食べて」
「はい。いただきます…」
イケメン+女性客の皆さんの視線を痛いほど感じながらのショートケーキ…。
やはりと言うか、味がしません。
せっかく楽しみにしてきたのにな。
でも、リリル様と婚約するとこういうのにも慣れないといけないんだよね。
大変だな…。
好きな人と一緒にいるだけでも緊張するのに、周りの目線も気になって緊張するなんて…。
私…無理なのかもしれない。
この気持ちは蓋をしたほうが良いのかな…。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
君を探す物語~転生したお姫様は王子様に気づかない
あきた
恋愛
昔からずっと探していた王子と姫のロマンス物語。
タイトルが思い出せずにどの本だったのかを毎日探し続ける朔(さく)。
図書委員を押し付けられた朔(さく)は同じく図書委員で学校一のモテ男、橘(たちばな)と過ごすことになる。
実は朔の探していた『お話』は、朔の前世で、現世に転生していたのだった。
同じく転生したのに、朔に全く気付いて貰えない、元王子の橘は困惑する。
皇帝陛下!私はただの専属給仕です!
mock
恋愛
食に関してうるさいリーネ国皇帝陛下のカーブス陛下。
戦いには全く興味なく、美味しい食べ物を食べる事が唯一の幸せ。
ただ、気に入らないとすぐ解雇されるシェフ等の世界に投げ込まれた私、マール。
胃袋を掴む中で…陛下と過ごす毎日が楽しく徐々に恋心が…。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?
藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。
結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの?
もう、みんな、うるさい!
私は私。好きに生きさせてよね。
この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。
彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。
私の人生に彩りをくれる、その人。
その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。
⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。
⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。
〜仕事も恋愛もハードモード!?〜 ON/OFF♡オフィスワーカー
i.q
恋愛
切り替えギャップ鬼上司に翻弄されちゃうオフィスラブ☆
最悪な失恋をした主人公とONとOFFの切り替えが激しい鬼上司のオフィスラブストーリー♡
バリバリのキャリアウーマン街道一直線の爽やか属性女子【川瀬 陸】。そんな陸は突然彼氏から呼び出される。出向いた先には……彼氏と見知らぬ女が!? 酷い失恋をした陸。しかし、同じ職場の鬼課長の【榊】は失恋なんてお構いなし。傷が乾かぬうちに仕事はスーパーハードモード。その上、この鬼課長は————。
数年前に執筆して他サイトに投稿してあったお話(別タイトル。本文軽い修正あり)
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる