秘密の公爵と淑女レッスン

縁 遊

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26. 私には無理なのかな…

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玄関に急いで行くと、そこにはいつもとは雰囲気の違うリリル様がいました。

いつもはレッスンの為に動きやすいラフな格好をされている事が多いのですが、今はお出かけ対応のお洒落なお洋服を着用されています。

少し身体のラインが分かるくらいくらいのピッタリシャツと細身の黒のパンツ、しかもシャツは前のボタンを少し開けています。

目の毒…いや、セクシーすぎて目のやり場に困ります。

今日のリリル様は大人セクシーな雰囲気です。

対する私は侍女の皆さんに頑張ってもらいましたが、この仕上がりのリリル様を見てしまうと…先程までの自信はどこかに吹っ飛びそうです。

「雰囲気が違うわね。清楚な令嬢に見えるわ」

リリル様が誉めてくれました。

嬉しいですが、横に並ぶのは躊躇います。

下を向いていると、リリル様が私の手をひっぱって声をかけてくれました。

「ほら、早く行きましょう。せっかく綺麗にしてるんだから皆に見せてあげないとね」

イケメンのウインクをいただきました。

そうですね、せっかくだから楽しまないとね。

ドキドキは収まりそうにもありませんが、これも慣れなのかな。

馬車に乗って街に到着するとリリル様はお店を予約してくれていたみたいですぐにその店に向かいました。

馬車を降りた瞬間から周りの目線がリリル様に釘付けになっていました。

その後私に向けられて誰?あの子?と言う声が何回聞こえたか…。

リリル様人気恐るべし…。

「何ボーとしてるの?着いたよ」

見上げると目の前には可愛らしい外観のカフェがありました。

店内は若い女性が沢山いるみたいです。

店に入ると、やはりと言うか…女性達の視線がリリル様に集中しているのがわかります。

これは…緊張します。

「ここのケーキが美味しいと評判なんだ」

リリル様の言葉も外バージョンですね。

イケメン度が増します。

「甘いもの好きだったよね?」

「は、はい」

甘いものは大好きですけど、こんなに人に見られていたら緊張して味も分からない様な気がします。

「お待たせしました。本日のケーキはイチゴショートです。お飲み物はミルクティーでございます」

「ありがとう」

給仕していた女の子にリリル様が笑顔で対応すると、女の子は見とれているみたいで目がハートになっている様に見えますけど。

「さあ、食べて」

「はい。いただきます…」

イケメン+女性客の皆さんの視線を痛いほど感じながらのショートケーキ…。

やはりと言うか、味がしません。

せっかく楽しみにしてきたのにな。

でも、リリル様と婚約するとこういうのにも慣れないといけないんだよね。

大変だな…。

好きな人と一緒にいるだけでも緊張するのに、周りの目線も気になって緊張するなんて…。

私…無理なのかもしれない。

この気持ちは蓋をしたほうが良いのかな…。



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