秘密の公爵と淑女レッスン

25. 侍女集合！

突然決まったリリル様とのお出かけデート。

パニックの私は侍女のナリスさんに慌てて相談した。

「ナ、ナリスさん！」

ナリスさんは相変わらず落ち着いている。

「そんなに慌てて、どうされたのですか？」

「今からリリル様とお出かけすることになったんですけど、何を着たら良いかがわからなくて。教えてほしいのです」

「リリル様とお出かけですか…。わかりました、すぐに準備しましょう。お待ち下さい」

ナリスさんは素早く動き出した。

5分もしない内に何人かの侍女さん達と沢山の荷物を持って部屋にやって来た。

「では、今から準備しますのでミレーナ様は黙って言われた通りに動いて下さいね。わかりましたか？」

凄い気合いを感じるんですけど、気のせいですか？

「皆さん、リリル様のチャンスを逃してはいけません。時間は20分です。完璧に仕上げますよ。宜しいですね」

　　　「「「はい！！！」」」

侍女の皆さんの気合いを感じる返事です。

リリル様のチャンスってどういう事なのかな？

「ミレーナ様、髪の毛のお色が少し変わっている様ですが…アレンジをしても大丈夫ですか？」

ナリスさんよく見ているんですね。

「はい。気にしないでください。皆さんに全てお任せします」

侍女さん達は目で合図しながら手早く仕事をしてくれている。

髪の毛担当、化粧担当、洋服担当と分担して１人は補助してくれているみたい。

あっという間に見たこともない私が出来上がっていく。

流石…公爵家に勤めている侍女さん達です。

平凡な私の姿が垢抜けていきます。

髪の毛はハーフアップにして可愛らしい花の形の髪飾りをつけてある。

頭を動かすと花飾りが揺れて可愛らしい。

お化粧はナチュラルな感じだけど唇はチェリーピンク色で潤いをもたせて、頬もうっすらとピンクのチークを入れてくれている。

清楚な仕上がりです。

洋服もお化粧に合わせて選んだみたい

淡い藤色のワンピースで街歩きにはピッタリの裾丈になっている。

フリルとかはなくシンプルなんだけど、よく見ると細かな刺繍がしてあり質が良いのがわかる。

このシンプルな感じはリリル様の好みなのかな。

『ミレーナ、綺麗！可愛い！』

私の変身を見ていたビリー様が誉めてくれている。

「ビリー様、ありがとうございます」

リリル様もそう思ってくれると嬉しいな…。

鏡の前でくるりと回って嬉しそうにしていたら、ナリスさんが泣いているのが見えた。

「え？ナリスさん、どうしたんですか？」

「嬉しいのです。リリル様がついに…良い人を見つけられて…一生独身なのかと心配しておりました」

そうなんだ。

ナリスさんはリリル様が幼い頃から知っているから感慨深いんですね。

ナリスさんは涙をふくと急に私の手を握ってきた。

「どうか、リリル様を宜しくお願いします」

リリル様は大切に思われているんですね。

だけど…偽装婚約なんです。

胸がチクリと痛みますね。

私はナリスさんの手を握り返して笑顔で頷いた。

皆さん…騙してごめんなさい。