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34. 家族に監視されています
しおりを挟む『ミレーナ、元気ない。大丈夫か?』
「心配してくれてありがとうございます」
ビリー様はいつでも私の心配をしてくれますね。
実家に帰省してゆっくりできるかと思っていたけど、実際はかなり面倒な感じになってしまいゆっくりできない毎日になっている。
お父様とお兄様達は交代で仕事を休み誰かが屋敷に必ず居て私を監視している。
本人達は守っているつもりみたいだが、私からすれば監視にしか思えない。
お母様とお庭でお茶しようとすると危ないから屋敷の中でするようにとか、買い物に出掛けようとすると商人を屋敷に呼ぶから外出は駄目だ、とか言って自由が無い。
「はあ~…」
私は大きな溜め息を1つ吐き出した。
『リリルに会いに行くか?』
「ビリー様、どうしてリリル様に会いに行くのですか?」
私が溜め息をついたら、何故リリル様に会いに行く事になるのだろう?
『ミレーナ、リリルと一緒だと笑顔。楽しそう。綺麗になる』
ビリー様にはそんな風に見えているのか…。
リリル様と一緒にいる私は楽しそうに見えるんだ。
最後の綺麗になる?というのは謎だけど。
でも、あれかな…一般的に言われている、好きな人ができると綺麗になるっていう。
確かに私は大変身しましたけどね。
いつも頼んでいるドレスの仕立ての人も私を見て驚いていたな~。
目が点になるっていうのを初めてわかったわ。
帰ってきた時の屋敷の人達の反応があまり無かったから自分が思うほど変わって無いのかと思っていたのよね。
だけど、皆は私が魔法をかけられる前から屋敷で勤めている人が多いから知っているだけだった。
知らない人は仕立て屋さんの様に驚いていたものね。
綺麗になれたのなら正直…嬉しいと思うけど…。
外見が変わっても中身は変わることはないのよね。
リリル様の横に立って見劣りはしなくなったかもしれないけど、あの視線に耐えられるかは別物だ。
貴族子女達の刺すような視線…考えただけで身が震える。
でも、私も成人を迎えたからには今までみたいに引きこもりをしているわけにはいかないよね。
外に出て人の視線に慣れなければいけないのかな。
神様にお願いしたイケメンの免疫も未だに授からず…。
そろそろ覚悟を決めなくちゃね…。
リリル様の側にいたいならメンタルを強化しなくてはいけないし、リリル様と婚約を解消するとしたらその後どうするか…。
そもそも、家族とリリル様以外の男性と接する事がないから私のリリル様に対する反応が他の人と違うのかが自分でもわかっていない。
この家族に監視されている状態で難しいかもしれないけど実験してみないとわからないよね。
よし、決めた!
少し怖いけど歳が近い男性と話してみよう。
『ミレーナ!おやつまだか~!』
いけない、考え事をしていたら結構時間が経っていたのね。
「はいはい。ビリー様すぐに用意します」
実行は明日…家族を振り切る計画を考えないとね。
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