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38. レッスン再開
しおりを挟む「何か帰って来てから気合いが入ってない?どうしたの?」
リリル様が心配げに私に聞いてきます。
「そんな事はないです。ただ、気持ちを改めただけです」
そう、私は実家に帰省した時に決意しただけだ。
立派な淑女になって見せると。
リリル様はレッスン室に連れて来ていたビリー様の方を見た。
「ビリーちゃん、知らない?」
『ビリー、わからない。ミレーナやる気良いこと』
「そうなんだけどね…」
何だか急にやる気になった私を見てリリル様は何かあったのでは?と思っているみたいです。
「まあ、良いわ。じゃあ私もスパルタモードでビシバシとやっていくからついてきなさい」
「はい!」
因みに、今はダンスのレッスン中。
私はダンスが苦手なんですよね。
身体を動かすのは好きだけど、問題は踵の高い靴を履くことなんです。
いつも私は踵の高さがない靴を好んで履いているので慣れないんですよ。
グラグラするし、足が痛くなるし、靴擦れするし…良いことないと思うんだけど何故皆は履いているのか不思議です。
だけど、やる気モードの私はそんな事を言っていられません。
ヒールの高さ10センチがどうした!
履いて踊りますよ!
気合いは充分だ。
だけど…。
「ミレーナ!膝を曲げない!」
「はい!」
「膝カクカクしてる!」
「はい。すいません!」
「歩く時に膝が曲がったままになっているわよ!」
「はい!」
気合いは充分ですが、空回りしている状態です。
誰かヒールなくしてくれないかな?
「この高さのヒールの靴を履きこなせると脚が細く長く見えるし姿勢も良くなってカッコいい女になれるから頑張って!」
そうだったのか!?
リリル様は何でも知っているんですね。
もしかして…ご自分で履いたりしているのかな?
少し想像してしまいました。
自分より似合っていて負けた感じがします。
想像したリリル様に負けるなんて…。
でもリリル様はお化粧してドレスを着ていたら女性に見えるんじゃないかな。
首から下は細マッチョさんなので肩の開いたドレスにしなければ大丈夫だと…って妄想している場合ではない。
「ミレーナ…今レッスンに関係無いことを考えていたでしょ」
何故わかるんですか?!
「関係なくないですよ…。リリル様がドレスを着たらどんな感じなのかなあ…アッ」
…しまった。
つい、口から出てしまった。
「私にドレスを着せるつもり?まだ、レッスンが足りないみたいだから増やしましょうね」
リリル様の顔が怖い笑顔になっています~。
「次はこのピンヒールで歩きなさいね」
そんな底面が少ない靴なんか私には無理です~!
リリル様の鬼~!
…でも、カッコいい。
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