秘密の公爵と淑女レッスン

37. お兄様達とビリー様

一週間はあっという間に過ぎて私は実家からリリル様の屋敷に帰る日になった。

正直言ってやる気に溢れている今の私は少しでも速くリリル様の屋敷に帰ってレッスンを受けたい気持ちになっていた。

そんな私とは正反対の人達がいる。

お父様とお兄様達だ。

「ミレーナ…もうレッスンしなくても良いぞ」

いやいや、お父様教育的に駄目でしょ。

「ミレーナ…お兄様がレッスンしてあげるから屋敷に居なさい」

ノエルお兄様、お仕事ありますよね。

お仕事暇なんですか？

「ミレーナ…これをお前にやるから常に持っておけよ」

アイドお兄様、短剣なんて女性に渡しますか？

いつまでたっても婚約者が決まらないのはそういう所ですよね。

「ミレーナ…これを常に身に付けておきなさい」

タミルお兄様、これは…魔道具なのではないですか？

怪しすぎますね。

「ミレーナ…リリル様と仲良くするのよ。そして公爵家の為にも立派な淑女になりさい」

さすがお母様！

やっとまともな言葉が聞けました。

「はい。お母様…頑張ります！」

馬車に乗ろうとしたらビリー様がお兄様達に囲まれていました。

「わかっているなビリー。お前の役目はミレーナを守る事だ」

ノエルお兄様。

「そうだぞ！怪しい奴がいたら助けを呼ぶんだぞ」

アイドお兄様。

「ビリーいざと言う時は鳥籠についてる石を壊すんだぞ。覚えているよね？」

タミルお兄様…石って？

『任せておけ！ビリーできる鳥！』

お兄様達…いつの間にそんな事をビリー様に仕込んだのですか？

そんな事をビリー様に言っていたなんて知りませんでしたよ。

「「「ビリー」」」

お兄様達はビリー様の鳥籠を3人で抱きしめている。

最初に屋敷を出る時はそんな事をしていなかったと思うんですけど、気のせいですか？

「お兄様達、ビリー様を返してください。行きますよビリー様」

私はお兄様達からビリー様の鳥籠を取り返し馬車に乗り込んだ。

「行ってまいります！」

馬車の扉が閉まる。

さあ、これから気合いをいれて淑女レッスン頑張ります！

『ミレーナ…鼻息荒い。気を付けろ…』

ビリー様…ご指摘ありがとうございます。