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40. お揃いですか?
しおりを挟む「先日は大変失礼しました。私を寝室まで運んでくれたそうで…ありがとうございました」
気づけば日が変わって…自分の寝つきの良さを恨みました。
「いいえ、私の方こそごめんね。ミレーナが男性が苦手だということを忘れていたわ」
「いえ…」
私も治ったと思っていたので仕方ないと思います。
「今日は大丈夫そう?」
「はい。体調は悪くないですし、靴擦れも昨日リリル様が手当てをしてくださったので痛みもありません」
「そう、良かったわ」
リリル様が爽やか笑顔を見せてくれた。
男の人なのにこの顔で良い匂いまでするんだから…世の中不公平だよな…。
「今日はダンスレッスンではなくてミレーナの得意な乗馬にしましょうか。ピンヒールを履かなくても良いしね」
爽やか笑顔が意地悪笑顔になっています。
「…ありがとうございます」
言い返したい所ですが何か言うとダンスレッスンになるかもしれないのでグッと堪えました。
でも、乗馬は好きだけど前回の事を思い出すと昨日の様にならないかと不安になります。
前回の乗馬の時に落馬しそうになってリリル様に抱えられた…あの時もリリル様の良い匂いと筋肉にドキドキして倒れそうになったけど堪えたのよね。
「せっかくだから息抜きに、遠出してみましょうか…デートも兼ねてね」
「デ、デート?!」
「あら、婚約者なんだから良いでしょ」
そうですけど…。
いつも急にですよね。
「じゃあ、お互いに乗馬しやすい格好に着替えてきましょう。できたら玄関で待ち合わせね」
「はい」
リリル様は足早にレッスン室から出ていった。
『ミレーナ、デート嬉しくないのか?』
ビリー様…デートの意味は誰から教えてもらいました?
『デート楽しい。アイド言ってた』
アイドお兄様か…。
アイドお兄様ってデートを楽しむ様な人ではないと思っていましたが…。
意外です。
こんな事をしている場合ではありませんでした。
私も部屋に帰って着替えないといけません。
「まあ、乗馬デートですか。わかりました、お任せ下さい」
侍女のナリスさんに今日もコーディネートをお願いした。
上は白のパフスリーブの長袖ブラウスで襟がスタンドで前にリボンがついている可愛い感じの洋服で、下はタータンチェックの柄のパンツだ。
靴はロングブーツとシンプルだけど全体に可愛いらしい雰囲気にまとまっている。
さすが、ナリスさん。
私はナリスさんにお礼を言って玄関に急いだ。
玄関には既にリリル様が待っていた。
格好いい…。
リリル様も上はシンプルなブラウスにジャケットとパンツ…あれ?
柄が…お揃い?
タータンチェックの色違いを着ています。
これって…ナリスさんの仕業かな。
リリル様が私に気づきました。
「似合ってるわね。可愛い」
お揃いなのには気がついていない?
「実は…この服私が頼んで作らせたの」
リリル様が?!
え?!なぜ?!
「さあ、行きましょう」
リリル様…行く前から何だか胸騒ぎがしますよ。
何事も起こりませんように…。
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