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46. リリルの驚き 〈リリル視点〉
しおりを挟む「良いですか、絶対に見惚れないでくださいよ」
侍女のナリスが今朝からずっと私に言っている。
「だから、分かっているって言ってるじゃない。しつこい!」
ミレーナが驚くべき変身をとげたらしく侍女のミレーナが紳士としてきっちりとエスコートをしなくてはなりませんよ、と口煩く言ってくる。
ミレーナの魔法が解けて綺麗になったのも見ているし、今更あれほどの驚きはないでしょう。
確かに私がプレゼントした宝石とドレスを着たミレーナは綺麗だろうなと思うけど…。
「いらっしゃいました。リリル様頼みましたよ」
「はい、は…い…」
目の前にやって来たミレーナは今までとは別人の様に光輝いていた。
まさか、これ程の美しさだったなんて…。
そうか、いつもレッスンの時は薄化粧できちんと化粧をしていなかったわね。
こんなに変わるの~!
この心臓のドキドキは何なの~?
「はあ~、だから先に言いましたのに…。しっかりしてくださいませリリル様」
ナリスが私の背中をバシッと叩いた。
「リリル様…プレゼントありがとうございました」
ミレーナが可愛らしく、いや天使の様な微笑みを見せてくれている。
更にドキドキが増すのがわかる。
ちょっと可愛すぎない?
「よ、喜んでもらえたのなら嬉しいわ…」
声がうわずっている。
しっかりしろ!私!
横でナリスが溜め息を連発しているのがわかる。
そんなに溜め息つかなくても良いでしょ。
「…忘れてませんか。まだ、ミレーナ様を褒めていませんよ」
は!本当だわ!
「ミレーナ…ドレスとアクセサリーがとても似合っていて綺麗よ」
私はやっとミレーナを褒める言葉を言った。
ミレーナは顔を真っ赤にして俯いた。
やだ…抱きしめたいんですけど。
「ありがとうございます」
小さな声で御礼を言うミレーナの可愛いこと…。
「リリル様…そろそろ出発しませんと遅れます」
執事のバートが私の耳元で囁いた。
見とれすぎて、思ったより時間が経っていたみたいね。
でも、今のミレーナを王宮に連れて行くのは嫌だわ。
絶対にミレーナは注目の的になるのがわかる。
他の男とダンスなんてさせたくないし、近づけたくもないわね。
でも、今更行かないというわけにもいかないし。
私がミレーナを守るしかないわね。
「ミレーナ、絶対に私から離れてはいけないわよ。他の男性から守ってあげるからね」
横でまた盛大にナリスが溜め息をついている。
「今から見てもいない男性に嫉妬してどうするんですか…」
ナリス…長年働いているだけあって私の気持ちが読めるのね。
「まあまあ、ナリスさん大丈夫ですよ。リリル様はやる時はやる男ですから」
執事のバートがナリスをなだめている。
2人とも私との付き合いが長いので通じ合うものがあるみたい。
わかってるわよ。
しっかり紳士としてミレーナのパートナーをつとめてみせるわ!
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