47 / 50
47. 淑女レッスンの成果
しおりを挟む「エルゼン公爵様と婚約者のゴルダ侯爵長女ミレーナ様御到着でございます」
大きな扉が開き豪華なホールに大勢の着飾った人々が見える。
その大勢の人達の視線が自分達の方を一斉に見ている。
こ、怖い…。
私は思わずリリル様の腕をギュッと強く握りしめた。
「大丈夫」
リリル様はそう言いながら強く握りしめていた私の手をポンポンと軽く叩く。
それだけで私は安心してしまう。
うん…リリル様がいてくれるから怖くないよね。
私はリリル様に笑顔を見せて頷いた。
大勢の人達の視線を感じながら王様達のいる前まで向かう。
「あの方がエルゼン公爵の婚約者…」
どこからかそんな声が聞こえてきて私は下を向きそうになるが、リリル様の婚約者らしくしなければいけないという思いが込み上げてきて周りの人達に微笑んでみる。
すると、なぜだか静かになった。
良かった…こういう時は微笑むと静かになるのね、覚えておかないと。
「エルゼン公爵久しぶりだな。元気そうでなりよりだ。今日は婚約者と一緒とは…とうとう身を固める決意をしたのだな」
王様はにこやかにリリル様に話しかけていらっしゃる。
随分仲が良さそうですね。
「リリル、お前だけそんな可愛い婚約者を作って狡いぞ!どこに隠していたんだ」
今日の主役、フェン王子がリリル様を呼びすてにしています。
王族の皆様と仲が良いんでしょうか?
「そうですね、私には勿体ないくらいの婚約者です。ミレーナ挨拶を…」
うっかり、見とれていました。
「は、はい。はじめてお会いさせていただきます。エルゼン公爵様の婚約者、家の長女ミレーナと申します。以後お見知りおきください」
強ばる顔の筋肉に気合いを入れて笑顔でカーテシーをした。
「本当によく今まで噂にならなかったな…。リリル、まだ婚約して日が浅かったよな。私にもまだチャンスはあるかもしれないな」
王子様が何かを言っているが緊張マックスの私の耳には聞こえない。
リリル様は聞こえていたらしく、何故か顔をヒクヒクとさせて怒っているみたい。
一体なんておっしゃっていたのだろう?
ご挨拶を済ませてダンスを踊る事になった。
淑女レッスンの成果の見せ所だ!
…と思って気合いを入れていると、リリル様に笑われた。
「プッ…、ビリーの代わりに言うね。ミレーナ鼻息が荒い」
へ?嘘!またやってしまっていたの~!
私は顔を真っ赤になったのがわかったので、両手で顔を隠した。
すると、リリル様が私の耳元で…。
「真っ赤になったミレーナも可愛いね」
って……リリル様私を萌え殺す気ですかー!!
ただでえ、今日のリリル様は私と同じ色の布を使ったスーツをビシッと格好良く着こなしていて、しかも言葉も女言葉ではないのでイケメン度が増し増しで私はドキドキが凄すぎているというのに~!
こんな私の気持ちもリリル様は知らないんですよね。
「さあ、ミレーナいつものレッスンだと思って踊るよ」
「はい、リリル様」
やってやりますよ。
いつもの淑女レッスンの成果を皆様どうぞ御覧ください。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
君を探す物語~転生したお姫様は王子様に気づかない
あきた
恋愛
昔からずっと探していた王子と姫のロマンス物語。
タイトルが思い出せずにどの本だったのかを毎日探し続ける朔(さく)。
図書委員を押し付けられた朔(さく)は同じく図書委員で学校一のモテ男、橘(たちばな)と過ごすことになる。
実は朔の探していた『お話』は、朔の前世で、現世に転生していたのだった。
同じく転生したのに、朔に全く気付いて貰えない、元王子の橘は困惑する。
皇帝陛下!私はただの専属給仕です!
mock
恋愛
食に関してうるさいリーネ国皇帝陛下のカーブス陛下。
戦いには全く興味なく、美味しい食べ物を食べる事が唯一の幸せ。
ただ、気に入らないとすぐ解雇されるシェフ等の世界に投げ込まれた私、マール。
胃袋を掴む中で…陛下と過ごす毎日が楽しく徐々に恋心が…。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?
藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。
結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの?
もう、みんな、うるさい!
私は私。好きに生きさせてよね。
この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。
彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。
私の人生に彩りをくれる、その人。
その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。
⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。
⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。
〜仕事も恋愛もハードモード!?〜 ON/OFF♡オフィスワーカー
i.q
恋愛
切り替えギャップ鬼上司に翻弄されちゃうオフィスラブ☆
最悪な失恋をした主人公とONとOFFの切り替えが激しい鬼上司のオフィスラブストーリー♡
バリバリのキャリアウーマン街道一直線の爽やか属性女子【川瀬 陸】。そんな陸は突然彼氏から呼び出される。出向いた先には……彼氏と見知らぬ女が!? 酷い失恋をした陸。しかし、同じ職場の鬼課長の【榊】は失恋なんてお構いなし。傷が乾かぬうちに仕事はスーパーハードモード。その上、この鬼課長は————。
数年前に執筆して他サイトに投稿してあったお話(別タイトル。本文軽い修正あり)
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる