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48. いざ出陣!
しおりを挟むいよいよ淑女レッスンで学んできた成果を見せる時がやってきました。
ダンスは苦手で何度もリリル様の足を踏んでしまっていましたが今日は絶対に失敗できません。
それに、会場のどこかには私の家族がいると思うので少しでも成長した私を見てもらわないとね。
新しい曲が流れ始めました。
いざ、出陣です!
リリル様から差し出された手の上に自分の手を重ねます。
リリル様のもう一方の手が私の腰にまわってきます。
その直後…。
「大丈夫よ、きっちりとリードするからね。安心してダンスを楽しみなさい」
リリル様が私の耳元で囁きました。
違う意味で緊張してドキドキが凄くなったんですが~!
でも、曲は待ってくれません。
2人でフロアーに出てダンスを踊り始めました。
レッスンの時から思っていましたが、リリル様のリードが素晴らしすぎます。
私の体がフワフワと宙に浮いてしまうのではないかと思うくらいに足取り軽やかに踊れています。
今までに感じたことがない楽しさを味わっています。
ダンスって上手く踊れるとこんなに楽しいんだ…。
気がつくとリリル様と3曲続けて踊っていました。
あれ?
確か、同じ人と続けて踊ってはいけないんじゃなかったかな?
何か意味があったような気がするけど…。
でも、リリル様がお相手だし、まあ…いいか。
「そろそろ休憩にしよう。飲み物を持ってくるよ。直ぐに戻ってくるから、ここにいてくれる」
「はい」
ホールの端に行きリリル様が飲み物を取りに行かれました。
不思議だわ。
あんなにダンスが苦手だったのに、こんなに楽しいなんて…。
しかも、ずっと嫌いだったピンヒールを履いているのに今日は痛くないなんて。
慣れって凄い!
世の中の女性の皆さんは苦労して女性らしさを手に入れているのがよくわかりました。
私はサボりすぎだったんだね。
「ミレーナ嬢、今度は私と踊っていただけませんか?」
声のする方に振り返るとそこには…。
「フェン王子様…」
え?何で私と?
いやいや、それよりもこれは断れないのでは?
どうしたら良いかと悩んでいたら、凄いスピードで早歩きしてくる人影が見えました。
「フェン王子申し訳ありませんがミレーナはダンスが不得意ですし、今は慣れないダンスを続けて踊った為に疲れておりますので、どうか他のご令嬢をお誘い下さい」
息があがったリリル様がフェン王子様と私の間に入って話をしてくださっています。
「リリル…お前がそこまで可愛がるとますます気になってしまうよ。王子の僕の誘いが断れるとでも?」
リリル様の背中からフェン王子様を見ていましたが、今の顔はノエルお兄様を彷彿とさせる黒い笑顔です。
威圧感が半端ないです。
リリル様とフェン王子様の無言の冷たい時間が流れています。
このままだとリリル様に迷惑がかかるかも…。
「あの…私で良ければ…」
「ミレーナ!」
リリル様が振り返り私を見つめます。
「大丈夫です。リリル様に特訓していただきましたから。足は踏まないと思います」
「ほら、本人がそう言ってるよ。では、行こうか」
フェン王子様の手が私に出される。
鳥肌はたつが少しの辛抱だ。
「行ってまいります」
「ミレーナ…」
リリル様が呆然とした様子です。
「男の嫉妬はみっともないよ」
フェン王子様がリリル様の耳元でなにかを囁かれていますが、私には聞こえませんでした。
何を言っているの?
気にはなりますが、今は集中しないとね。
王子様とのダンスを失敗するわけには行きません。
2回目の出陣です!
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