8 / 88
8. 偽装結婚
しおりを挟む突然、父に部屋に来るように呼ばれた。
いつもは、私の事を無視しているくせに…。
ドアをノックして父の部屋に入った。
「何か御用ですか?」
「用がないとお前を呼ばない。そこに座れ」
相変わらずの言い方だな。
「今日呼んだのは、お前の結婚についてだ。何人か選んでいるから、会ってこい」
はぁ?結婚…?
お相手の絵姿を見ると…やはり、女性だ。
「お父様、私は女性と結婚できません。理由はお分かりですよね」
何を言っているんだろう。女性同士はこの世界では結婚できない。
宗教で同性結婚を禁じているからだ。
まさか、本当に私の事をレオンだと思っているのか?
「お前はレオンとして生きなければならない。その為には結婚しなければ…世間の目があるだろ」
世間の目?そんな事の為に偽装結婚するのですか?
「お相手の方に失礼ではないですか?それに、絶対に私が女だと知られてしまうと思いますが、宜しいんですね…」
「だから、会ってこいと言ったのだ。大人しく、口が固い、お前の言う事に逆らわない女性を見つけてくる為にな」
酷すぎる…。
私は耐えられるが…他人を巻き込んで不幸にするのは許せない…。
ただ、この人に何を言っても聞かないだろう。
ここは、納得をしたふりをしておこう。
「…わかりました。ですが、少し時間を頂けますか、今は仕事が忙しいので落ち着いてからにしてほしいです」
「…わかった。落ち着いたら私の所に来なさい」
「…はい。失礼します」
私は父の部屋を出た。
…怒りで震える手を抑えるのに必死だった。
何を考えているんだろう。
やはり、この家の人は狂っている。
他人を巻き込んでは絶対にいけない。
どうすれば、偽装結婚を避けられるのか…。
…病気だと噂を流せば避けられるかな?
病気の男と娘を結婚させようなんて親はそんなにいないだろう…。
いや、身分だけを欲しがるのならば関係ないか…。
公爵家の妻という肩書きが欲しい人は沢山いるな。
そういう人は結婚して肩書きが手に入れば、後は遊び相手を作って楽しんでいる。
そういう人を探したが方が良いのか…。
しかし、1回も夫婦の営みがないと言うのはマズイよな…。絶対に…。
最初から愛人がいて、理由があって結婚できない人とかなら大丈夫かな?
それなら、最初から身体の関係は持たない、白い結婚の契約をしておけば…イケるな…。
最悪はこれでいくしかないな。
あー、色々と考えていたら気分が悪くなってきた。
少し横になろう。
部屋に戻ると侍女のマリーがお茶を用意してくれていた。
「ありがとう、マリー」
「レオ様、最近お食事も召し上がる量が減っている様子ですが、大丈夫ですか?」
「そうかしら?そう言えばそうかもね…食べようと思うんだけど、匂いを嗅ぐと気持ち悪くて耐えられないのよね…」
それを聞いていたマリーの顔が青くなった。
「レオ様、明日は町の医者に一緒に行って頂けませんか?」
「良いけど…。どうしたの急に?」
マリーの顔は真剣だ。
「幼なじみが医者をしております。レオ様の診察をしてもらおうかと思いまして…秘密は守る人ですので」
マリーは私を心配してくれている。
「わかったわ。明日ね」
久しぶりの仕事休みに医者に行く事になってしまった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる