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17. まさかの出会い
しおりを挟むまさかこんな事になるなんて…想像できなかった。
こんな広い所で何故…会うの。
しかも、男装していない時に…。
お姉様は何と答えるのだろうか…。
私は黙っていた方が良いのだろうか…。
そんな事を考えていたら、気持ちの悪さがなくなって変なドキドキが身体を支配している。
「レオンは私の弟ですが…。隣国までレオンを訪ねて来られたのですか?」
クリフ様の顔がパアッと明るくなったのがわかった。
「やはり…。雰囲気が似ていると思ったのですが、血縁者の方でしたか。良かった…レオンに会いにお屋敷にうかがったのですがお留守だったので帰ろうかと思っていたのです」
「そうでしたか…」
「あのー、一つ気になる事をお聞きしても良いですか?」
「何でしょうか」
「そちらの女性はどなたですか?確か、妹さんは亡くなったんでしたよね?」
やはり、そうなりますよね。
レオナは死んだと言ったのだから、他に姉妹はいないとご存知ですものね。
「…私の親しくしている商家の者で、妹の様な存在です」
お姉様は少し沈黙した後、そう答えた。
あまり、深く聞かれるとどう説明して良いか、わかりませんよね…。
まさか、お探しのレオンですとも言えないですしね。
「…そうなのですね。雰囲気がレオンに似ていたので、てっきり御親戚かと思いました…」
そんなに、わかるものですか?
確かにクリフ様とは幼い頃からレオンとして度々お会いしていましたけど…。
でも、少し嬉しいです…ウィッグをつけていても、ドレスを着ていても、私に気づいてくれるんですね。
「…会いに来ていただいているのに、申し訳ありませんが今日はレオンは、病院で検査をしておりますのでお会いすることは出来ないと思います」
お姉様が事態を回避しようと、私と会うのを断ろうとしてくれている。
「…そうなんですか。わかりました…では、レオンに私が来ていた事を伝えてもらえますか」
クリフ様は少し寂しそうな表情をされている。
せっかく来ていただいたのに申し訳ありません。
私はクリフ様のお姿を見ることができて嬉しかったです。
クリフ様が私の目の前に来た。
「宜しければ…またお会いできませんか…」
え?
私と…。
「…あの…私は…」
どう言えば良いのかがわからない…どうしよう。
すると、お姉様が助けてくれた。
「申し訳ありません。この子は婚約者がおりますので…」
そういいながら、頭を下げた。
「…そうか、それはすまなかったね。今のは忘れてほしい。では、私はもう帰るとするよ」
そして、クリフ様は帰って行った。
クリフ様が見えなくなってからお姉様が私に言った。
「お腹の子が誰の子なのか…わかったわ。あなたの表情が違っていたもの…」
「お姉様…」
私は何も言えなかった。
どうしよう…。
お姉様に全てを話した方が良いのかしら…。
どうしたら良いだろう…。
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