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21. お母様来襲
しおりを挟む話し合いをしたが結局結論は出ずに終わった。
それから何週間も過ぎた頃…それは本当に突然だった。
「レオナ!隠れなさい」
お姉様?どうしたの突然…。
「そんなに慌ててどうされたのですか?」
「貴女こそ落ち着いている場合ではないわよ。…お母様が突然やって来たのよ…」
「…え?」
「今の貴女の姿を見られる訳にはいかないわ…何をされるか。考えただけで恐ろしいわ…」
お姉様が手当たり次第に荷物をカバンに詰めて行く。
「マリアの家に行きなさい。しばらく帰ってきては駄目よ」
「…はい」
驚きすぎて頭がはたらかない…。
お母様が来た…。
何故…。
何をしに来たの…。
「はい。これを持って早く行きなさい。お母様は私が引き留めておくから…その間にそっと出ていくのよ」
「わかりました」
お姉様が部屋を出ていき、お母様をお茶でもてなしているようだ。
この間に気づかれない様に出ていかなければ…。
扉を開けて周りを確認しながら、足音をたてないように玄関に向かった。
ガチャ…。
嫌な音がした…。
「お母様!」
お姉様が焦っているのがわかる。
「あら、貴女はどちら様なのかしら?」
私は今お母様に背を向けた状態だ。
お母様の方に振り向く勇気がない。
どうしよう…。
「お母様…あの者は私が呼んだ店の者です。商品を部屋に置いたら帰る様に言っていましたので、帰る所だと思います。お母様ぎ気にする様な者ではありません…」
「………」
お母様の無言が余計にこの場の空気を凍らせている。
「…そう」
ホッとして扉を開けて出ていこうと外に出た時…。
お母様が私に駆け寄ってきた。
「どうしてそんな嘘をつこうとするのかしら…それに、その姿は何?そのお腹は何?…女装なんて男のすることではありません。…反省なさいレオン」
そう言うと、お母様は私の背中を後ろから押した…。
玄関を開ければ長い階段がある…。
ここを落ちればお腹の子が危ないと思い咄嗟に手すりを掴もうとしたが、失敗した…。
気がつくと私は背中から階段を落ちていった。
まるでスローモーションの様に周りが見えた。
泣き叫び私の名前を呼ぶお姉様…。
対象的に…お母様は無表情でただ落ちていく私を見ていた…。
やはり、お母様は変わらないわね…。
神様お願いします。
私はどうなっても構いません。
死んでもかまいません。
どうかお腹の子供だけはお守り下さい。
私から子供を奪わないで下さい。
お願いします…。
私の命でも何でも差し上げますから…。
私とクリフ様の子供をどうか…どうか…。
助けて………。
そして私の目の前が真っ暗になった…。
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