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72. 目映い光 〈クリフ視点〉
しおりを挟む真っ赤な血に染まったレオナの姿…。
私の腕の中で冷たくなっていき、息も弱々しくなっている。
悪い夢を見ているのだろうか…。
私にはそうとしか思えなかった。
だか、考えている時間はない。
私は急いで魔法省に取り次ぎ、レオナの命を何としても助けるように命令をした。
ここまでになっては医者だけの力では助からないかもしれないからだ。
身体に負担がかからない様に魔法を使いレオナを忌まわしい実家きら運びだし、王宮にある、離宮の部屋に寝かせた。
医者と魔法使いの治療魔法の両方をやらせているが…レオナはまだ目を開けることはない。
私は毎日レオナのいる部屋を訪ねるのが日課となった。
「レオナ…今日もまだ目を閉じているのかい?そろそろ開けてくれないか…」
レオナの髪や顔に触れながら優しく語りかける。
ピクリとも動かないレオナを見て不安になる。
このまま、目が覚めなかったら…。
最悪の事態を考えてしまう。
こんな事で亡くなってしまっては駄目だ。
母親に刺されて死ぬなんて…。
僕の考えが甘かった、許してほしい。
もっと、早くにあの腐った家から君を助け出していればこんな事にはならなかったのに…。
毎日、そんな事を考えながらレオナのいる部屋を訪ねていた。
そんなことが続いて1ヶ月くらいたったある日…。
いつもの様に仕事を終えてレオナのいる部屋に行き、レオナに触れながら話しかけていたら、急にレオナが目映いくらいの光に包まれた。
「な、何だ?!この光は?!」
眩しくてレオナに触れていた手を離した瞬間、レオナの身体が宙に浮いた。
そして、さらに一段と目映い光に包まれて目視できない状態になった。
「レオナ!」
必死でレオナの名前を叫び、目を隠しながら片手でレオナを掴もうとするがバリアのような物があり触れる事ができない。
「どうなっているのだ…」
暫くすると光が落ち着き、レオナもゆっくりとベッドに下りてきた。
姿を見て驚いた。
短かった髪の毛が伸びて腰くらいまである美しいロングヘアーになり、体型もグラマラスな女性らしい姿になっていた。
「私は夢を見ているのか…」
思わずレオナの美しく伸びた髪に触れた。
「レオナ…」
私はレオナの額にキスをした。
すると…。
レオナの瞼がピクッと動いた。
「レオナ!レオナ!気がついたのか?目を開けるんだ」
私はレオナの手を握り必死に声をかけた。
だが、レオナは目を開けない。
キスに反応したのだろうか…?
ならば…。
今度はレオナの手、頬、そして最後に唇にキスをした。
唇にキスをした時、何故かこの感触を知っている気がして、意識を失くしているレオナには悪いと思いつつ…もう1度唇にキスをした。
唇が離れた時だった、レオナが1つ大きな呼吸をして、息を吐いたのが分かった。
顔に赤みがさし、艶がでている。
「レオナ!」
それは、待ち望んだ瞬間だった。
レオナがゆっくりと閉じていた瞼を開けたのだった。
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