10 / 100
10. 特異体質
しおりを挟むホテルに到着してしまいました…。
「ほら、菫ちゃん行くわよ」
私が車から降りるのを渋っているとお母様が私の手を引っ張りました。
行くしかないでんですね。
車から降りると人の視線を感じます。
久しぶりのこの感じ…。
いつもは地味活のおかげで目立つことなく慎ましくしているので忘れていた感覚です。
今日限定で派手活動にチェンジですね。
お母様も目立つので2人で歩いていると人目を惹くのかしら?なぜだか分かりませんが写真も撮られているみたい。
ランチのお店に入るともう相手の方は先に到着していました。
「お待たせしました?ごめんなさいね」
お母様がお相手のお母様を見つけた。
「いいえ、私も今到着しましたの」
お母様と同じくらいのお歳かしら?
綺麗な方ね…問題はその横の人物。
「初めまして有宗 瑠色(ありむね るい)です」
うわー、名前まで芸能人みたいなんですね…それに、椅子から立ち上がられると背が高くてモデルみたい。
180センチ以上はありますね。
私が165センチで7センチヒールを履いている状態で少し見上げてますからね…。
この人も嫌々見合いに連れて来られたのかしら…。
今時は写真も加工できるので見合い写真だけでは判断できないと思っていましたが、実物は写真以上でイケメンオーラも半端ないです。
周りの女性達がチラチラと視線を送っているのが良く分かります。
「ホホッ…、私は高宮 です。お会いできて嬉しいですわ」
お母様に相手に分からないように、つつかれた。
「初めまして、高宮 菫です」
挨拶が終わった所で全員が席についた。
「有宗さんの息子さんは噂にはお聞きしていましたが本当にイケメンですわね」
お母様、直球を投げましたね。
「嫌ですわ、高宮さんの娘さんこそ女優さんみたいにお綺麗な方ね」
とりあえずは愛想笑いが必要かしら…。
「高宮さんはお父様の会社にお勤めなんですよね?」
イケメンが質問してきた。
「はい」
「私も仕事で何回か訪問させていただいていますが…お見かけした記憶が無いのですがどの部署で働かれているのですか?」
何とも答えにくい質問をしてきましたね。
地味活をしている私を訪ねてきてもらっては困ります。
イケメンはたたでさえ目立つのに…。
私がどうお答えしようかと迷っていたらお母様が答えはじめてしまいました。
「働いているのは営業部なんです。でも、お恥ずかしいのですが…この子ったら目立つのが嫌だと言って地味に変装して会社に行ってるんですのよ。少し変わった子なんですの」
お母様…そこまで話してしまうのですか?!
「地味に変装?具体的にはどんな感じにされているのでしょうか…」
そこに食いつかないで良いです!
「そうですわね~、例えばお洋服を安い物しか着ないとか、メイクも目立たないようにしてますし、目も普段は黒色のカラーコンタクトをいれてますわね。極めつけはこの子顔立ちを地味にする為に、特殊メイクを習いに学校まで行ったんですのよ」
イケメンが興味津々で聞いている。
お母様…さすがに話しすぎだと思いますけど…。
「今日は…」
「今日はさすがにノーマル状態ですわ。朝から監視してましたから」
イケメン…今の私の顔が特殊メイクだと思ったの?
失礼しちゃうわね…。
…いえ、あの…そんなにマジマジと私の顔を見ないでほしいです。
男性にずっと見られているとアレルギーが出るんですが…。
「やだ!菫ちゃん湿疹がでてるわよ。あ…なるほど。有宗さん申し訳ありませんがこの子男性にずっと見つめられると湿疹が出てしまうんですよ。本当に特異な体質で信じられないと思うんですけどサングラスをかけさせても宜しいですか?」
お母様が鞄からサングラスを出して渡してきた。
謎なんですが、なぜかサングラスをすると湿疹が治まるんです。
視線が誘発原因なのかしら?
「ふう~、お見苦しいものをお見せして、申し訳ありませんでした。」
湿疹が落ち着いてきたのでお相手に謝罪した。
「いえ、高宮さんも大変なんですね…」
高宮さんも?
"も"って事はこのイケメンにも何かがあるということですよね。
一体何を隠しているのかしら…。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
155
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる