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29. 嫌な予感の正体は…
しおりを挟むすぐに有宗さんと別れて営業部に戻ったのですが…
気になります。お父様は有宗さんと何を話しているのかしら…。
お父様って私に対して過保護過ぎる所があるのが難点なのよね。
普段は優しくて良いお父様なんてすけど、私の事に関しては人が変わると言いますか…。
お見合いの話の時も困ったけど婚約の話をした時なんか酷かったですからね…。
探偵に有村さんについて調べあげさせて私に報告してきましたからね。こんな男はダメだ~!って何回聞いたことか…。仕方がないのでお母様には内緒にしておくという約束でお父様には婚約は偽装だとお話しをしたのですが、あの時のお父様の喜び様はすごかったです。あれではすぐにお母様に知られてしまうと思った程でしたわ。
そのお父様が有村さんにお話し?
気になるのは当然ですわよね。
ああ…気になります。
そう考えながらも橘さんに頼まれている書類の作成をおこなっていた。
プルルル…内線の電話が私のデスクで鳴った。
嫌な予感しかしません。
「はい、藤堂です」
「あ、菫ちゃん。ちょっと社長室まで来てくれない?」
やはり…いやな予感は当たっていたようですわ。
お父様からのお呼びだしです。
「今急ぎの仕事がありますので後ではダメですか?」
「そうなの?でもすぐに終わるし、お願いだから来て欲しい」
仕方がありませんよね…。
「分かりました。すぐに伺います」
はあ~、今からの事を考えると溜め息しかでませんわ。
パソコンのデータを保存して席を立ち上がる。
社長室へ向かう足取りは重い。
やっぱり有宗さんとの話は仕事の話ではなかったということよね。
お父様が仕事中に私を呼び出すのも珍しいですし、あんなに嫌がっていたお見合いの相手を呼び出すのもありえません。
社長室についてしまいました…。
「失礼します藤堂です」
戸をノックして入室すると、やはり有宗さんがいらっしゃいました。
それと、なぜあなたがここに?
「ラウル様…」
親友の兄のラウル様がなぜか社長室に…。
頭の中がパニックですわ。
なぜラウル様が有宗さんと一緒にお父様の会社にいるのでしょうか?
「菫ちゃん大丈夫かい?」
お父様が心配そうな声を出していますね。
心配なら早く今のこの状況の説明をお願いしますわ。
「早く説明しろって顔だよね…」
分かっているじゃないですかお父様。
「いや~実はさ今度ラウルくんの会社と有宗くんの会社とコラボして商品を作る事になったんだけどね…」
あら?普通に仕事のお話しですね。
心配しすぎでしたわ。
「2人がね…コラボ商品が多く売れた方が菫ちゃんと本当に婚約するって言い出して…」
はああ~~!!??!!
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