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36. きょうのランチ
しおりを挟む「おい、聞いたか…社長主催で慰安パーティーがあるらしいな」
「ああ、何でも今季の会社の売り上げが良かったので社員に感謝したいとかで奥様が提案されたと聞いたぞ…」
会社の中でいろんな噂が飛び交っています。
真実はお母様が島岡さんと話をしたいだけ…なのですが。お父様もお母様には負けましたのね。確かに今季は社員の皆様のおかげで売り上げはかなり伸びたみたいなのでパーティー自体は良いと思いますがきっかけがね…。
島岡さん欠席しないかしら…。
出席した時の事を考えると頭が痛いですわ。
どうにかして島岡さんに欠席してもらえる様にしようかしら。
「藤堂さん」
噂をすれば?と言って良いのか島岡さんに声をかけられた。
「お疲れ様。今からお昼に行くの?」
「はい。今日はお弁当を持って来なかったので」
今日は静さんが、弟さんの所に行くとかでお休みしていたのでお弁当がないんです。自分で作ることもできますが、そんな気分にはなれませんでした。最近いろいろありすぎなんですよ。
「じゃあ、たまには一緒に行く?」
うわぁ~、お母様が聞いたら喜びそうですわ。
この爽やかな笑顔といい…お母様の好みなのは間違いないんですよね。
どうしよう…断るのも悪いし…。
「え…あ、はい」
「何が食べたい?」
あ!そうだ。御礼のプレゼントをいつ渡そうかと思ってロッカーにしまっているからアレを持ってこよう。
「すいません、ちょっとロッカールームに寄ってからでも良いですか?ランチはお任せします」
「分かった。会社の前で待ってるよ」
「はい、すぐに行きます」
急いでロッカールームに行きエコバッグを出してプレゼントを入れて戻った。
「おおい!こっち」
橘さんが手を振っている。
「あれ?橘さん…」
「橘くんも一緒に行くってさ」
プレゼント…渡しにくくなってしまいましたね。
「あれ…僕はお邪魔でしたか…藤堂さん?」
「い、いえ…そんな事はないです。意外なメンバーだったので驚いただけです」
イケメン2人に地味女が1人…どんな関係なんだろうと皆さんが思うだろうな。特に女性が…。すでに視線が痛いもの…。
「橘くんは何か食べたいものある?」
「そうですね…昨日ラーメンを食べたのでそれ以外なら何でも良いです」
「じゃあ、あの洋食屋にでも行こうかな」
「ああ、前に島岡さんが話していた店ですか?」
「そう、あの店」
2人は話が通じているみたいですね。
「何回か行っているんだけど美味しくて安いんだよ。ただそこの料理人の顔が怖いから客が少ないんだよね…」
島岡さんは私にお店の説明をしてくれた。
美味しい店を食べ歩いている島岡さんが美味しいと言うなら間違いないわね。顔が怖いくらいは平気だわ。
「私もそこに行ってみたいです」
「そう?じゃあ、ランチは洋食に決定だね」
路地を少し入った所にお店はあった。外観は可愛らしい感じの木のドアや窓があり怖い顔は想像できませんが…。
店の外にもメニューが貼ってあるので見てみると…安い。洋食屋セット(ハンバーグ、クリームコロッケ)+スープとパンかごはんで680円だ。
「とりあえず入ろうか…」
島岡さんが店のドアを開けた。
「いらっしゃいませ」
あら…聞き覚えのあるこえがしますわ?
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