神様!モフモフに囲まれることを希望しましたが自分がモフモフになるなんて聞いてません

縁 遊

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86. 番外編 2 〈アデル視点〉

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今日は母上に呼び出された。

サファイアの事を報告して以来だから、ずいぶん会っていなかったな…。

「本当に薄情な息子だわ。呼び出さないと来ないんだから…」

その通りだから何も言えない。

「今日、呼び出されたのは何故だかわかる?」

「…恐らく、サファイアの事と…王位継承の事かな」

「あら、わかっているのね。オルハも呼んでいるからもうすぐ来ると思うけど…」

噂をすれば…弟のオルハが現れた。

「遅くなってすいません」

「良いのよ。じゃあ、皆が集まった所で本題を話しましょう。まずは、私の跡をどちらが継いでくれるのかよね」

「僕はお兄様が継ぐべきだと思います」

オルハが母上に向かって言った。

「僕はオルハが継いだ方が良いと思います」

「それでは話しにならないわよね…どうして、そう思うのかを言いなさい」

母上のいう通りだな。

「僕は今回のハイリの事件で、お兄様に言われた通り動いただけでした。僕だけならどうして良いかわらなかったと思います。王になるには、頭の回転がはやく、指示をすぐに出せる事が大事だと思うので…」

「…そう…オルハはそう思うのね。では、アデルはどう思う」

「僕は貴族達の評判が良くありません。もし、王になったとしても、貴族達が従わない可能性があります。その点、オルハは貴族達に評判が良く、支持されています。王になれば支えてくれる貴族達が大勢いるでしょう…だから、オルハがなる方が良いと思います」

「どちらの言っている事も理解できるわね…」

母上はそれだけ言って黙ってしまった。

「お兄様の場合は父親がハッキリしないということだけですよね。資質的には問題ないと皆もわかっていますよ」

父親ね…。

もう、誰かは知っているんだけど…人には言えないんだよね。これが、辛い所だよ。

「その事は私も、申し訳ないと思っている」

母上が謝るなんて珍しい…。

「その事に関しては…もう、わかったので僕は気にしていません」

そう言えば母上に報告するのを忘れてたな。

「…え?いつ…どうやって知ったの?」

また珍しく動揺している。

「ハイリの事件の時に…助けて頂いたので…」

「…そうだったの」

「…お兄様の父親はどなただったのですか?」

うん、気になるよねオルハも…。

「オルハには言っても良いかもね…アデルも知ったのだし…実は…」

僕の父親の正体を聞いたオルハは口が開いたままになるくらい、驚いて固まってしまった。

そうなるよね…僕も最初は信じられなかったんだから。

意識を取り戻したオルハは、すごい勢いで話しだした。

「や、やっぱりお兄様がなるべきです。父親が神様なんて、王になるしかないでしょう。僕は辞退させていただきます」

聞いたらそうなるよね…やっぱり。

「…アデル、覚悟を決めなさい。サファイアちゃんと結婚する前にね」

これも、運命だと思うしかないのかな。

「…わかりました」

「では、サファイアちゃんとの結婚式は次期王位継承者としてさせてもらうわね」

何だか大変な事になってきたよ。

帰ったら、サファイアに手紙を書かないといけないな。
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