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14. 覚醒
しおりを挟むたぶんいつものヴァン様の能力を使って窓を開けたと思うんだけど…ヴァン様は人が出てくるのがわかっていたのかな?
「ヴ、ヴァン様姿を見られても大丈夫なんですか?」
だって僕は姿を消すのも中途半端にしかできないよ。夜に人が見たら顔だけが浮いているオバケだよね?
…怖くない?
『大丈夫だ!催眠をかけてあるから姿を見られても驚かない』
「催眠?」
催眠って…あの人を眠らせたりするアレのこと?
え!ヴァン様って催眠術も使えるの?!
え!格好いい~!!!
ヴァン様って何でもできるんだね。ちょっと性格はどうかなと思うけど…。
『お前…また何か変な事を考えているだろ?よけいな事は考えるな!早くこっちに来い!』
ヴァン様に怒られちゃった。
ヴァン様は開いた窓に向かって一直線に飛んで行っている。
窓から見える人をじっと見てみる。夜だから月明かりが頼りなんだけど…雲隠れしているから見にくいんだよね。
その時雲が動いて月が顔を覗かせてくれた。
僕は元々が暗いところでも目が鳥目になることはないから、これくらいなら昼間よりも良く見える。
「…綺麗な人」
窓に居たのは月光でキラキラと輝く金色の長い髪に白い肌の美人さん。年齢は僕より少し上くらいかな。…あれ?…目は美しい緑色なんだけど焦点があっていないような…。
これってヴァン様の催眠術のせいなのかな。
ヴァン様が窓枠にぶら下がっても驚いている様子がないし…。普通はコウモリが突然自分の所にやって来たら驚くよね?
『何をしているのだ。早くここに来い!』
また怒られちゃった。
「はい。でもヴァン様…僕は一体何をすれば良いのですか?」
この人の部屋に入ってブラッディーボールを探すのかな?
でもそれって泥棒みたいで少し罪悪感があるんだけど…。
『お前はこの娘と地の契約を結ぶのだ』
「へ?」
血の契約を結ぶ?僕がこの美人さんと?
「ナゼ…?」
いけない!驚きすぎてタメ口になっちゃったよ。また、ヴァン様に怒られるかな。
『やはりそれも教えられてないのか…。一体子孫達はどうなっているのだ!?』
怒っているけど、僕に怒っているわけではなさそうなのでホッとしたよ。
『はあ~、説明は後でしてやる。早くしないと夜が明けて催眠が解けてしまうから血の契約をするのが先だ』
「え!でも…この人は意識がないんですよね。そんな人に何かをするのは…ちょっと…」
犯罪ぽくて嫌だな。この人にも説明して契約を結ぶことはできないのかな?
『大丈夫だ!この娘は先祖から伝承されているだろうから心配しなくても良い!』
え~、そんなのわからないよね。
ヴァン様無責任な発言だと思います。
『な、なんだ!その目は…信じてないな!チッ!仕方ない…催眠を緩めてやるから本人から聞くが良い』
そんな事もできるんだ…。
ヴァン様がまたキーキーと鳴き始めると女性の目の感じが変化してきた。
すると女性は窓枠にいるヴァン様と僕を交互に確認して…。
「え…コウモリと空飛ぶイケメン?!え!!」
やっぱり驚くよね…。っていうかイケメンって僕の事!?
…というかこれって大丈夫?!
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