ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

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2-33 ある男の呟き ?視点

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 あの女…調子にのっているな。出会った頃とは態度が全然違うではないか!

 一人残された部屋の中で窓から外を覗く。見えるのはこの国の王子と聖女に仕立て上げた女だ。

 この作戦には使えると思ったから苦労してあの女を聖女にしてやったが…もはや用済みかもしれんな。

 あの女に今見えているのは金と権力に対する欲望だけだろう。

 私は、そんなことはどうでも良いのだ。

 若い頃を思い出す…。

 学生時代に通っていたお店で出会った、しなやかな肢体をもつ美しい獣人の女性…モアナ。

 私はすぐに彼女に夢中になった。

 そしてモアナも私を好きだと言ってくれた。

 両親にはモアナが獣人ということで付き合うことを反対されてしまい、モアナと話し合った結果二人でこの国を出ることにしたんだ。

 この国を出て行き着いたのは獣人の国だった。

 だが…私達の生活はあちらの国でも受け入れられる事がなかった。

 モアナはだんだんとやつれていき…そして私の前から姿を消した。

 私は意気消沈しながらも実家に帰宅したが…ここでも受け入れられる事がなかった。

「お前はもうこの家に戸籍はない!出ていってくれ!!」

 父親だった人からはそう言われて家から追い出された。

 知り合いを訪ねて歩いたが、どこも腫れ物に触るが如く当たり障りの無い会話だけはしてくれたが助けてはくれなかった。

 どこの国も人間も全てが憎くなるのに時間はかからなかった。

 底辺の生活をしながらも私の人生に関わった人や国にどうすれば復讐ができるのか…そればかりを考えて生きていた。
 

 私を捨てて姿を消したあの獣人の女のいた国と私の事をバカにしていたこの国の者達を滅ぼしたい。

 私の望みはそれだけだった。

 その時にあの女と出会った。

「誰も私の魅力には逆らえないのよ。だって私は魅了の力をもっているからね」

 その言葉を最初に聞いた時はただの頭のおかしな女だと思っていたが、だんだんと女の言っている事が本当だとわかると私の中にある考えが閃いた。

 復讐の方法を考えて読んだ本の中に魅了の力を使って魔王を呼ぶ方法というのがあったのを思い出したのだ。

 それからの私の行動は早かった。

 身なり貴族に見える様に整えて、知り合いになった女にもこれからの事を話し仲間になった。

 そして、教会の知り合いに聖女様を見つけたとほのめかした。同時にうつけ者として知られていた王子に女を聖女として偶然に見せかけて出会わせた。

 全ては上手くいっていたはずだった…。

 どこからおかしくなったのか…。


 

 
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