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20. 母の友人
しおりを挟む今日は、母と一緒にはるばる王都まできた。
いつきても王都は大勢の人がいて活気があふれている。
それに、王都の女性達はみんな、お洒落で綺麗な人が多い。
私とは大違いだ。
今日も母の言い付けで、アイボリーのワンピースの上に黒いフードのポンチョみたいなのを被っている。
怪しい占い師みたいな格好だ。
王都に行く時は、何故かこの黒いフードのポンチョを着てないと連れて行ってもらえないのだ。
でも、年頃の女の子としては可愛い格好がしたいなと思ってしまう。
別に誰かに見てほしいって、わけではないけど…気持ちの問題だよね。
「シャルル、早く来なさい」
考え事していたら母に怒られた。
「母さん、今日は何のお仕事なの?」
「今日は仕事ではないの。シャルルの16歳のお祝いのプレゼントをしようと思って来たのよ」
「え!良いの?」
王都でプレゼントを買ってもらうなんて初めてだ。
凄い嬉しい。
「16歳は大人の仲間入りでしょ。友人が洋裁店をしているから、そこで服を作ってもらおうかと思っているの」
母さん、そういうことはもっと早く言ってよ。
「ここよ」
「え?ここ?」
見るからに高級そうなな店構えだけど…。
オルガ洋裁と緑色の看板が店前に出ている。
店の扉も緑色で持ち手が金色。
店も大きい…。お金は大丈夫なのかな?
本当にここであってるの?
母さんは躊躇せずに扉を開けて店のなかへ入っていった。
「「いらっしゃいませ」」
店員さん達が一斉に私達の方を見た。
やっぱり場違いなんじゃ…。
「カロン?カロンじゃないの!久しぶり!」
緑色の髪の母さんと同じくらいの年の女性が駆け寄ってきた。
「久しぶりね、オルガ。元気にしていた?」
母さんが嬉しそうだ。
「アッ………。」
オルガさんが私を見て動きを止めた。
「はじめまして。娘のシャルルです」
黒色のフードを脱いで挨拶をした。
オルガさんが私を見て止まっている。
すると、急に泣き出した。
「カロン…ありがとう…ありがとう」
なぜか、母さんに感謝の言葉を言いながら泣いている。
「オルガ、従業員が見ているわよ」
母さんはオルガさんを抱きしめながら言った。
「ごめんなさい、カロン。奥で話しましょう」
そういうと、店の奥にある小さな部屋に通された。
「今日は、あなたにシャルルの16歳のお祝いの服を作ってほしいとお願いに来たのよ」
母にはソファーに座るなり話し始めた。
「もう、16歳になられるのね。お母様によく似ていらっしゃるわね」
オルガさんが私の顔を見て言っているが、私と母が似ている?
初めて言われましたよ。
なんだか、しんみりとしていたオルガさんが急に
「まかせて!気合いをいれて作らせて頂きます!」
と椅子から立ち上がりガッツポーズで言った。
その時、店の方が急に騒がしくなり、店員さんらしき人の声が聞こえてくる。
店で、何かあったのかな?
オルガさんも気になったらしい。
「何かあったのかしら?ちょっと見てくるから、このまま待っててくれるカロン?」
「わかったわ」
母と私に布の見本を渡して、オルガさんが急いで店内に向かって行った。
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