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64. 計画実行 〈キャルル視点〉

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おかしいですわね…?

いつもなら護衛の者がこの辺りにも沢山いたはずですけど…。
まあ、宜しいですわ。
きっと、何処かでサボっていますのね。

いない方が簡単に通れますものね…。
でも、せっかくのキャンドルが役にたちませんわね。
回収は明日の早朝にすれば良いですわね。
今のうちにマウル様のお部屋まで…。

足早にマウル様のお部屋までやって来た。

扉をノックすると、返答があった。


嘘…こんな深夜なのに、まだ起きているんですの…。
まだ、キャンドルもたいていなかったのね…。
予定とは違ってしまいましたわ…。

でも、良かったですわ、念のためにお母様からもらった薬を持ってきて…。

マウル様が出てきた。

「キャルル姫…こんな深夜に、どうしたのですか?」

夜着姿のマウル様も素敵ですわ…。

「どうしてもマウル様に会いたくなってしまったのですわ…」

私はマウル様の胸へ抱きついた。

「…キャルル姫…こんな時間に異性の部屋を訪れるものではありませんよ」

マウル様は、私を身体から離しながら言った。

「イヤ…嫌ですわ。昼間はお仕事が忙しいとか言って会ってもくださらないではないですか…」

この私を無視するなんて、酷いですわ。

「本当に忙しいのです。今度、昼間に必ず時間を取りますから今日はお帰り下さい」

ここで、大人しく引き下がりませんわ…。

「少し…ほんの少しだけお部屋にいれてくださらない?お茶を一杯だけ頂いたら帰りますわ」

マウル様は迷っているみたいですわ…。
もうひと押しですわ。

「本当にお茶を一杯だけ頂いたら帰りますから…」

「…わかりました。飲んだらご自分の部屋に帰って下さいね」


やりましたわ…。
お部屋に入れましたわ。

「私にお茶は入れさせて下さいませ。得意ですのよ」

私は紅茶を用意しながら、母からもらった薬をそこに混ぜた。

「どうぞ…。気持ちを込めましたわ」

笑顔でマウル様に出した。

「ありがとうございます…。いただきます」

マウル様は紅茶を口にした。

飲んでくれましたわ…これで…フフッ…。

私は薬の入っていない紅茶を飲みながらマウル様の様子を観察しましたの。

薬が効いてきたようですわ…。

マウル様の目が虚ろになって息が荒くなってきましたもの…。

「キャルル姫…申し訳けありませんが…帰っていただけますか…急に眠気が…」

そう言いながらベッドの方に歩いて行った。
ドサッ…マウル様がベッドに倒れこんだ。

私は近くにサイドテーブルに置いてあるキャンドルに火をつけて、マウル様に話しかけてみた。

「マウル様…大丈夫ですか?…マウル様…」

反応がない…。

やりましたわ。

薬が効きましたのね…。

私はマウル様の着ていた服を脱がして寝かせた。

…そして、わたしもドレスを脱ぎ下着姿になりマウル様と同じベッドに入った。

後は、マウル様が目覚めるのを待つだけですわ…。

恥ずかしがりやのマウル様でもキャンドルの効果で…。

マウル様、目を開けて下さい…。

目の前にあなたのキャルルがいますわよ…。












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