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ハンドメイドの魔法
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フェアリーがいなくなって、私は毎日茫然と過ごした。
でも、落ち込んでばかりもいられない。
毎日少しずつ、望みを明確にするために自分と向き合う時間を作った。
そしていよいよ、海斗の出発の日がやってきた。
空港は、報道陣やファンで溢れかえっている。
前日に海斗に指定された場所に向かうと、関係者らしき人と談笑する海斗がいた。
「海斗、」
「お、結華!ありがと、来てくれて」
「ううん、見送れてうれしいよ。おばさんたちは?」
「もうすぐ来るよ」
「…海斗、すごいね」
「ん?」
「夢、叶えたんだもんね」
「はは、まだだよ。あっち行って、一人前になるまでは」
「…でも、すごいよ。ほんとに。頑張ってね」
「結華も、ずっと応援しててよ」
もう、何も言えない。
涙で視界がにじむ。
お願い、どうか、早く時間が過ぎてほしい。
「結華、俺が次に帰ってくるとき、伝えたいことがあるんだ」
「え…?」
「それまで、待っててくれる?」
「待っててって、なに?どういう…」
「必ず結果出して、帰ってくるから。…そろそろ行くよ」
海斗は私の頭を一撫でして、関係者の方に歩き出す。
残された私は、茫然と背中を見送った。
でも、これがラストチャンスだ。
離れていく背中に、叫んだ。
「海斗!!海斗なら、大丈夫だから!私、ずっと応援する!ずっと、待ってるから!」
驚いたように振り向いた海斗が、やがて力強く頷いてエスカレーターに消えていく。
「行っちゃった…。」
次に海斗に会うときは、私から伝えよう。
何があっても、あなたの味方だよって。
愛しい理由が、言い尽くせないほどあるんだよって。
―――1年後
「来ちゃった」
なんと、あの後私が勤める会社が倒産し、私は強制的に暇ができたのだ。
それなら、こちらから会いに行ってやろう!結果がどうなってもいい!と覚悟して、海斗を追いかけてドイツに来た。
「地図全然わかんないな、こっちで合ってるのかな」
地図片手に大きなスーツケースを引いて、空港をウロウロしていると、声をかけられた。
「お困りですか?」
振り向くと、そこには。
ある日突然消えてしまったフェアリー・ゴッドマザーが立っていた。
「フェアリー…!」
「遅いのよ、待ちくたびれたわ」
「どうして?私、まだ何も叶えてないのに」
「まだ叶えてない?」
「むしろ叶えに来たというか…」
「言ったでしょ、願いは叶うって」
「え?」
フェアリーが、私の背後を指さす。
ゆっくりと振り向くと、そこには。
会いたくてたまらなかった、海斗の姿があった。
「結華」
「海斗!なんで?!」
「俺が聞きたいよ、今朝いきなり結華がこの時間に空港に着くってチームメイトから聞いて」
首を傾げると、フェアリーがパチンとウインクした。
そうだ、忘れてた。彼女は、魔法使いだった。
「海斗、あのね、言いたいことがあって来たの」
「ちょうどよかった、俺も、言いたいことがあるんだ」
「海斗、私ね、」
「俺、結華が好きだよ」
駆け寄って、飛びつけば。
今まで知らなかった、しっかりとした腕が抱き留めてくれる。
振り向くとそこに、フェアリーの姿はなかった。
…何年も動かなかった恋が、いや、動かせなかった恋が、動き出した。
ある日突然現れたフェアリー・ゴッドマザーのおかげで。
ねぇフェアリー?
願いは叶うって、本当なのね。
願いを叶えてくれて、ありがとう。
今度会ったときは、あなたの願いを叶えさせてね。
私にできることなら、何でもするわ。
親愛なる、フェアリー・ゴッドマザー。
――――その頃、空で
「あら?フェアリー。お嬢さんの夢は叶えたの?」
「ママ。叶えてきたわよ。というか、勝手に結華が頑張ったのよ」
「やっと気づいた?私たちは、人間の夢を叶える力はないのよ」
「…どうやらそうみたいね」
「途中、何度もステッキを振ったでしょう?」
「手っ取り早く叶えてやろうと思ったのに、星が降るだけで全然うまくいかなくて」
「でしょうね。叶える手助けはできるけど、最終的に叶えるのは人間自身なのよ」
「やっとわかったわ、ママ、いい勉強になった」
「それにしても、会社を倒産させるなんて、荒っぽい餞別だこと」
「粋な餞別って言ってよ」
「素敵な夢を見せてくれたわね、結華ちゃん」
「ほんと、なんか愛着わいちゃって離れるのが寂しかったわ」
「これからも、見守っていきましょ」
「うん」
どうか、幸せでいてね。
あなたは私のはじめての親友よ、結華。
でも、落ち込んでばかりもいられない。
毎日少しずつ、望みを明確にするために自分と向き合う時間を作った。
そしていよいよ、海斗の出発の日がやってきた。
空港は、報道陣やファンで溢れかえっている。
前日に海斗に指定された場所に向かうと、関係者らしき人と談笑する海斗がいた。
「海斗、」
「お、結華!ありがと、来てくれて」
「ううん、見送れてうれしいよ。おばさんたちは?」
「もうすぐ来るよ」
「…海斗、すごいね」
「ん?」
「夢、叶えたんだもんね」
「はは、まだだよ。あっち行って、一人前になるまでは」
「…でも、すごいよ。ほんとに。頑張ってね」
「結華も、ずっと応援しててよ」
もう、何も言えない。
涙で視界がにじむ。
お願い、どうか、早く時間が過ぎてほしい。
「結華、俺が次に帰ってくるとき、伝えたいことがあるんだ」
「え…?」
「それまで、待っててくれる?」
「待っててって、なに?どういう…」
「必ず結果出して、帰ってくるから。…そろそろ行くよ」
海斗は私の頭を一撫でして、関係者の方に歩き出す。
残された私は、茫然と背中を見送った。
でも、これがラストチャンスだ。
離れていく背中に、叫んだ。
「海斗!!海斗なら、大丈夫だから!私、ずっと応援する!ずっと、待ってるから!」
驚いたように振り向いた海斗が、やがて力強く頷いてエスカレーターに消えていく。
「行っちゃった…。」
次に海斗に会うときは、私から伝えよう。
何があっても、あなたの味方だよって。
愛しい理由が、言い尽くせないほどあるんだよって。
―――1年後
「来ちゃった」
なんと、あの後私が勤める会社が倒産し、私は強制的に暇ができたのだ。
それなら、こちらから会いに行ってやろう!結果がどうなってもいい!と覚悟して、海斗を追いかけてドイツに来た。
「地図全然わかんないな、こっちで合ってるのかな」
地図片手に大きなスーツケースを引いて、空港をウロウロしていると、声をかけられた。
「お困りですか?」
振り向くと、そこには。
ある日突然消えてしまったフェアリー・ゴッドマザーが立っていた。
「フェアリー…!」
「遅いのよ、待ちくたびれたわ」
「どうして?私、まだ何も叶えてないのに」
「まだ叶えてない?」
「むしろ叶えに来たというか…」
「言ったでしょ、願いは叶うって」
「え?」
フェアリーが、私の背後を指さす。
ゆっくりと振り向くと、そこには。
会いたくてたまらなかった、海斗の姿があった。
「結華」
「海斗!なんで?!」
「俺が聞きたいよ、今朝いきなり結華がこの時間に空港に着くってチームメイトから聞いて」
首を傾げると、フェアリーがパチンとウインクした。
そうだ、忘れてた。彼女は、魔法使いだった。
「海斗、あのね、言いたいことがあって来たの」
「ちょうどよかった、俺も、言いたいことがあるんだ」
「海斗、私ね、」
「俺、結華が好きだよ」
駆け寄って、飛びつけば。
今まで知らなかった、しっかりとした腕が抱き留めてくれる。
振り向くとそこに、フェアリーの姿はなかった。
…何年も動かなかった恋が、いや、動かせなかった恋が、動き出した。
ある日突然現れたフェアリー・ゴッドマザーのおかげで。
ねぇフェアリー?
願いは叶うって、本当なのね。
願いを叶えてくれて、ありがとう。
今度会ったときは、あなたの願いを叶えさせてね。
私にできることなら、何でもするわ。
親愛なる、フェアリー・ゴッドマザー。
――――その頃、空で
「あら?フェアリー。お嬢さんの夢は叶えたの?」
「ママ。叶えてきたわよ。というか、勝手に結華が頑張ったのよ」
「やっと気づいた?私たちは、人間の夢を叶える力はないのよ」
「…どうやらそうみたいね」
「途中、何度もステッキを振ったでしょう?」
「手っ取り早く叶えてやろうと思ったのに、星が降るだけで全然うまくいかなくて」
「でしょうね。叶える手助けはできるけど、最終的に叶えるのは人間自身なのよ」
「やっとわかったわ、ママ、いい勉強になった」
「それにしても、会社を倒産させるなんて、荒っぽい餞別だこと」
「粋な餞別って言ってよ」
「素敵な夢を見せてくれたわね、結華ちゃん」
「ほんと、なんか愛着わいちゃって離れるのが寂しかったわ」
「これからも、見守っていきましょ」
「うん」
どうか、幸せでいてね。
あなたは私のはじめての親友よ、結華。
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