頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話

東導 号

文字の大きさ
21 / 160

第21話「驚きのライトサイドな見学②」

しおりを挟む
 アレクサンドラは「つかつか」と、ひとつの部屋の扉の前に立った。
 掲げてある部屋の名札をシモンが見れば、次官室のようである。

 いろいろなケースはあるが、ティーグル王国においては……
 次官とは大臣、長官等のトップに続くナンバー2である。
 
 アレクサンドラは、スカウト中のシモンを紹介する意図のようだ。
 この次官が、今回の案件を遂行するひとりなのだとシモンは聞いている
 
 笑顔のアレクサンドラ曰はく、次官もシモンと同じ『転職組』との事。
 前職は、女子の魔法学校『ロジエ魔法学院』の主任教師だったらしい。
 
 軽く息を吐くと、アレクサンドラは扉をリズミカルにノックする。

「は~い」

 女性の声で返事があった。
 対して、アレクサンドラは大きな声且つ砕けた口調で告げる。

「お~い、リュシー、私だぁ~」

「は~い、長官、今開けるよ~」

「入室OKなら、私が扉を開ける。例の子を連れて来たからさぁ。リュシーへ紹介するよ」

「え? 例の子? うわ、お宝ハンターでしょ? 楽しみ~」

「違う! お宝ハンターじゃなく、トレジャーハンター」

「わお! 失礼! でもやる事は一緒だよね」

 明るい声が返って来る。
 次官も女性で……
 アレクサンドラ同様、細かい事にあまりこだわらない性格らしい。

 苦笑したアレクサンドラは、シモンへ告げる。

「まあ、良いか……シモン君」

「は、はい」

「君はまだウチと契約を交わしていないから、正式な紹介は次官と、次官に同行する次官補だけにしとくよ。……他の人は成り行きかな」

「はあ、ですよね」

「さあ、入って、次官を紹介するわ」

 にっこり笑ったアレクサンドラはゆっくりと、次官室の扉を開けたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 アレクサンドラと共に、次官室へ入ったシモン。
 正面に次官が立っていた。

 シモンが見やれば、アレクサンドラより少し年下くらいのすらりとした女性である。
 放つ魔力から相当な術者だとすぐ分かる。

 容貌は金髪碧眼のアレクサンドラと好対照の綺麗な栗毛。
 優しそうな少したれめ気味の目と鳶色の瞳を持っていた。
 やはり貴族らしい。

「リュシー、今回の案件、レナと行くじゃない。この子も一緒に連れて行って、見学させて欲しいんだ」

「OK、了解です、長官!」

 次官はアレクサンドラへ敬礼した後、シモンへ向き直る。

「王国復興開拓省次官、リュシエンヌ・ボードレールです! リュシーと呼んで構わないわ。宜しくねぇ、シモン君」

 成る程、リュシエンヌだから、愛称がリュシーか。
 明るくて気さくだ。
 この人なら、女子が苦手の自分でも何とか話せそうだ。

「シ、シモン・アーシュです。は、初めまして」

 シモンが挨拶すると、リュシーは感嘆したように頷いた。

「へぇ、シモン君……君は相当な術者ね。魔力量がもの凄いもの」

「あはは、さっすが。リュシーにも分かる?」

「もう! 分かりますよ、長官。それに彼が持っている魔法やスキルも相当な高レベルですよね?」

「うん! 凄いわよ。それなのにとっても奥ゆかしいの。世間には自分の力を過信して根拠のない自信を振りかざすやからが多いじゃない? 謙虚なシモン君はウチには適任よ」

「うんうん、長官の人を見る目は確かですもの」

「あはは、リュシーを除いてね」

「ひっど! ……それで理事長、シモン君と正式な契約は?」

「まだよ。いろいろ見てから決めたいって」

「そっか! シモン君」

 リュシーはシモンへ向き直った。

「は、はい」 

「ウチは働きやすい職場だよ。私も転職して正解だったと思ってる」

「そ、そうっすか」

「ええ、教師も確かに素敵な仕事。だけど話を聞いて、私は新たな大きい仕事をしたいと思ったの。それに、先輩を助けたいと思ったのよ」

「成る程」

「長官から条件面はいろいろ聞いたと思うけど、シモン君を迎える為に、私もいろいろ考慮しようと思ってる。正式契約したら、気軽に相談してねぇ」

 ほがらかに笑うリュシー。
 そして、アレクサンドラも柔らかく微笑む。

「うふふ、シモン君」

「は、はい」

「リュシーもね、ティーグル魔法大学の卒業生なの。つまり君の先輩。面倒見が良い子よ。私が4年の時、新入生として入学して来たわ」

「うふふ、以来、腐れ縁って事になりましたね~。当時サーシャ先輩はすっごく怖かったけど、だいぶ丸くなりましたよね~」

「それは、お互い様。貴女だって、昔は相当とんがってたでしょ?」

 サーシャ リュシーと愛称で呼び合う長き付き合いの先輩と後輩。
 ざっくばらんに話すふたりを見ていると、シモンは心が温まる。
 微笑ましく、羨ましくもなる。
 苦学生の自分は大学とバイト先の往復だった。
 このような交流は学生時代、皆無であったから。

 シモンは修行の末、習得したスキルで分かるのだ。
 ふたりが交わしているのは普段通り。
 演技などしていない。
 そんな魔力の波動が伝わって来る。

 こんな素敵な上司達と一緒に仕事をしてみたい。

 シモンの心は、大きく王国復興開拓省の就職へと傾いたのである。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!

IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。  無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。  一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。  甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。  しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--  これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話  複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

処理中です...