頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話

東導 号

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第96話「喜んでぇぇっっ!!」

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「終わったぞぉ~! 討伐は全て完了! あ、念の為、生きたまま捕虜にして殺してないぞぉ~!」

 捕虜の自白により、森の奥にあると判明した山賊どもの本拠地へ単身乗り込み……
 首領以下残党200人を、そしてトータル1,000人以上の山賊を討伐したというのに……
 シモンは、疲れも全く見せず……
 「簡単な仕事を終えた」という雰囲気で、「しれっと」と村へ戻って来た。

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!」」」」」

 怖ろしいオークの大群に続き、非道な山賊集団も退けてくれた……
 感動に目を赤くした村長以下、歓声をあげる村民達に囲まれ、ねぎらいを受けるシモンであったが……

「局長ぉぉ!! わああああああああああん!!」

 怪我ひとつないシモンの無事な生還を祈りに祈り……
 気が張りつめていたエステルは安堵し、叫ぶと取りすがって大泣きしてしまった。

「ああ、ごめんな、エステル」

 泣きすがるエステルを優しく抱き締めるシモン。

 ジュリエッタが苦笑する。

「局長、あまり、かよわい女子に心配かけるものではないですよ。私も含めてね」

 たくましい騎士のジュリエッタが? かよわい?
 シモンは訝し気な表情となる……が。

「え? かよわいって?」

 シモンが思わず言えば、ジュリエッタは冷たい視線を向けて来る。

「局長……何か? 異論でも?」

「い、いや、何でもない」

 口ごもるシモンへ、イネスとペリーヌが追随する。

「こら、局長! 私たちだって、すっごく心配していたんですよぉ」
「そうだ、そうだぁ!」

 ジョゼフとバルテレミーも、渋い表情だ。

「女子だけじゃない、俺達男だって、大いに心配していたぞ」
「その通りです! 局長は無茶しすぎです! 万が一何かあったらどうするんですか!」

「スマン、スマン。前職のトレジャーハンターだと、これくらいは当たり前の展開だったからな」

 当たり前の展開……
 シモンの言葉に反応したのは、とりすがっていたエステルである。
 キッとシモンを睨む。

「局長!」

「お、おお、エステル。どうした、そんなに怖い目をして」

「王国にとって、いえ、私にとって! 貴方はなくてはならない人です。……本当に! 無茶はやめてくださいっ!!」

 きっぱりと言い切ったエステルは、再びシモンにしっかりと抱き着いたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 なんやかんやで、落ち着いたところで、シモンは相変わらず「しれっ」と言う。

「という事で、改めて仕事再開だなっ!」

 まず反応したのは、やはりエステルとジュリエッタである。

「改めて!? な、何言ってるんですか、局長!」
「そうだ! こんな戦いの後で! 仕事など、やれるわけがないっ!」

 対して、シモンは苦笑。

「いや、俺、全然疲れていないし、時間だって、まだ午後2時過ぎだし……午後6時くらいまでちょっち頑張らないか?」

 確かに……
 見る限りシモンに疲れの色はなく、太陽は真ん中よりやや西に傾いたくらいだ。

「全然疲れてないって!? 局長ぉぉ!!」
「はあぁ……午後2時過ぎだしって……局長の言う通りだが、ホント呆れたよ」

「いやいや……あいつらが襲撃して来たせいで、だいぶ予定より遅れただろ? 他の仕事もあって押してるし、少しでも進められないかな?」

 シモンの『希望』を聞き、ジョゼフも苦笑する。

「ははは、仕方がない。今回の戦いを開始し、完結させたのは局長ひとり。俺達は準備して、見守っていただけ……だからな」

 エステルとジュリエッタも呆れながら、同意するしかない。

「……うふふ、局長ったら、今日、一番働いた本人がそう言うんじゃ仕方ないですね」
「ああ、私たちにほとんど負担はかかっていない。それではダークサイド……とは言えないからな」

 イネスと、ペリーヌも……

「ホント、超人というか……」
「もう、黙ってついて行くしかないですねっ!」

 ここで、エステルが「はいっ」と手を挙げる。
 シモンへ質問があるようだ。

「局長」

「ん?」

「捕縛した山賊どもって……腕輪へ放り込んだままで宜しいのですか? あの食事とかトイレとか、もろもろは?」

「ああ、それなら大丈夫。腕輪の中は魔法の力で時間の流れが止まっている。だから腹も減らないし、トイレも必要ない。大気だけは充分あるから、当然ながら死なない」

「な、成る程」

「奴らは束縛の魔法により身体の自由だけを奪われているから、当然意識はある。王国の司法へ引き渡されるまで、ず~っと、恐怖と後悔の中で生きるのさ」

「わ、分かりました」

 という事で、最後に締めるのは、やはりシモンである。
 向き直って、村長へ告げる。

「村長」

「は、はいっ!」

「という事で……悪いけど、仕事再開。俺は奴らに踏み荒らされた村道を、作業員とともに修理する。他の者も各自、担当した業務を続行する。悪いけど、村民の皆さんも、全面的に協力してくれるよう、貴方からフォローしてくれ」

 村長は、シモンの『意向』を聞き、再び感極まったようである。

「あ、ありがたい事ですっ! シモン様のおかげで、村民も疲れはありませんし! 当然自分達の事ですから、ガンガン働かせていただきますっ!! そうだな? みんなぁっっ!!」

「おおおおおっっっ!!! 喜んでぇぇっっ!!」

 村長の呼び掛けに対し、村民達は大きく頷き、快く応えたのである。
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