頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話

東導 号

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第106話「王都探索デート⑥」

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 シモンがデートの最中に楽しむよう提案したトレジャーハントゲーム。
 そのシモンが見届け役&警護役となり、エステルとクラウディアが競う。
 ゲームを簡単に言うのなら、制限時間1時間以内に、金貨1枚を使い、市場の露店でついている値札より高い商品を購入した方の勝ち。

 ルールの説明と質疑応答が終わり……
 シモンが、エステルとクラウディアを促す。

「さあ、ふたりとも行こう。この市場の露店なら、どこでも構わないぞ」

「はい、局長」
「シモン様、分かりました」

「どこの店へ行くのかは、その都度、ふたりで相談すれば良い」

「分かりました、局長」
「かしこまりました。シモン様」

 シモンの言葉を聞き、エステルとクラウディアは会話を始める。

「行きましょう、クラウディア」
「ええっと、お姉様、どこのお店に致しましょうか?」

 目の前に建ち並ぶ店を、あえて表現するならば、混沌カオスのひと言だ。
 ありとあらゆる種類の品物が、店主も老若男女問わず、そして様々な種族が売り込みの声をからしている。

「うふふ、クラウディア。何か、どきどきしますね」
「はい! わくわくも、どきどきも致しますわ」 

「うふふっ。それにたくさん商品があるから、目移りもしそうですね」
「でも、お姉様。あまりゆっくりしていると、すぐに時間がなくなります。まずは手前のお店から見て行きませんか?」

「了解!」
「では! シモン様、お姉様と私をしっかり守ってくださいませ」

「ははは、分かった」

「では、もっともっと局長にくっつきましょう」
「ですねっ! シモン様に超接近!」

「お、おいおいっ!?」

 シモンはエステルとクラウディアに腕を絡まれた上、ピタッと密着され、どぎまぎしてしまう。
 女子ふたりからは、温かさと柔らかい身体の感触が伝わって来る。

「な、何か!? あ、当たってるぞ!?」

 シモンの腕に当たっていたのは……
 ふたりのふくよかな胸……であった。

「う、うわお!?」

 しかし、シモンに身を預けたエステルとクラウディアは、全く動じていない。
 却って、強烈な『はっぱ』をかけた。

「局長! もっとしっかり私達を抱いてくださいっ! 危険ですからっ!」
「シモン様! もっと抱き締めていただかないと、先ほどのような外敵を防げませんわっ!」

 シモンは仕方なく? 寄り添うふたりを更に引き寄せたのである。
 
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「局長ぉ」
「シモン様ぁ」

 エステルとクラウディアに、超密着されているシモン。

「けっ!」
「爆発しろ!」
「バカヤロ!」
「クソ!」

 当然ながら、こうなると男子達の怨嗟えんさの声が半端無い。

 しかし、シモンがごくごく軽度の威圧のスキルを発動すると、皆目をそらし、そそくさと去って行く。

 これで、ゆっくりと買い物が出来る。
 安堵した3人は露店を物色しながら歩いて行く。

 やがてエステルとクラウディアの意見が一致し、一軒目の店に選ばれたのは……
 30代後半と思しき、女性が店主を務める魔道具&骨董の店である。
 あまり高価な値札は付いていない。
 可愛い一般雑貨も少々おいてあり、こうなると何でも売る店だといえよう。

「ええっと」
「どうかしら?」

 エステルとクラウディアは、早速店と商品のチェックに入った。

「う~ん」
「やっぱり、迷いますね。お姉様」

 しばしふたりのチェックが続くが……
 露店で買い物初体験の女子達は、中々店主へ話しかけられない。

 ここはシモンの出番である。
 ぐいっと身を乗り出し、店主へ微笑む。

「お姉さん、調子はどう?」

「うふふ、まあまあよ」

 シモンの問いに対し、店主はやんわりと営業スマイルで応えた。
 さりげなくシモンは魔法を使った。

 店主の心から、邪悪な波動は感じられない。
 大丈夫。
 善良な店主のようだ。

 更にシモンは言う。

「実はさ、今日、俺達初デートなんだ」

「へえ? 初デートで男ひとりに対女ふたり? それも女子達は、べったりじゃない。あんた普通っぽいのに、超モテモテなのね」

「いや、俺は全然もてないよ。いろいろあってさ、今日は一生に一回の奇跡みたいなイベントなんだ」

「一生に一回の奇跡? あはは、まあ確かにね。今あんたにぶら下がってるのは、とんでもない美女だし、それもふたり……なんだもんね」

「ああ、それでさ。こんな事、もう二度とないかもしれないじゃないか」

「ええ、そうかもね」

「だからさ、記念に、この子達へ何か素敵なモノを買ってあげたくて、良いモノがないかと探しているんだ」

「成る程ねぇ。事情は分かった! となれば私も、ウチのおススメ商品を出して、値段も勉強させて貰うよ」

「ああ、助かるよ」

 低姿勢のシモンを見て……
 ひどく上機嫌となった店主は、ウインクすると、在庫保管用の宝箱を開けた。
 そして、ふたつのペンダントを取り出した。
 
 ペンダントからはわずかに魔力を感じる。
 「そこそこ」の魔道具らしい。

「よっし! これとこれ、2品がウチのとっておきのお買い得品だ。お嬢さん達にピッタリだろ?」

「ああ、ふたりに似合うかもな」

「うんうん! 値段は大サービス。ふたつセットで金貨2枚に負けとくよ」

 店主は勢い込んで売り込む。
 予算の範囲内……だが、シモンは顔をしかめる。

「う~ん。良い品だけど……残念ながら予算がトータル金貨1枚しかないんだ」

「ええっ? たった金貨1枚かい? さすがに半額には出来ないねぇ」

「そっかぁ。じゃあ他の品を見せてくれる? この子達にも説明してくれるかな?」

 シモンが丁寧に頭を下げると、店主はここぞとばかりに意気込む。

「ああ、どんどん見てっておくれ。金貨1枚の半額大銀貨1枚で買えるものも、たくさんあるよっ! お嬢さん達、何でも私へ聞いておくれよっ!」

 セールストークをまくしたてた店主はエステルとクラウディアへ向かい、にっこり笑った。

 これで女子ふたりの緊張は完全に解けた。
 
「て、店主さん。これ見せて」
「私は、これを」

「あいよっ!」

 以降、和気あいあいと、やりとりする事が出来たのである。
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