104 / 205
第104話「勝利と覚醒」
しおりを挟む
俺はソフィアの魔法障壁の発動と同時に雑木林を飛び出すと大きく迂回。
奴等の背後を衝く為だ。
前面からの攻撃に気を取られており、奴等は全く俺に気付いていない。
音を立てないよう、俺は身を伏せて回り込んで行った。
イザベラの火弾で相手方の戦士とシーフは出鼻を挫かれたばかりか、相当混乱してている。
それが背後からでもはっきり分かる。
こちらからはアモンが出張っていったので、相手の戦士も盾役として対抗して直ぐ前に出た。
しかし、格が違い過ぎる。
大剣を振り回す戦鬼アモンの破壊力の前に全く動けず、周囲を索敵していたシーフらしい男が慌てて戦士のフォローに動いている。
つまり今が俺の思惑通り、僧侶と魔法使いを叩く絶好のチャンスという事だ。
瞬時に状況を把握すると、俺は気配を殺して神速で奴等の真後ろに回りこんだ。
その時、魔法使いはイザベラと同様に火弾の魔法を発動したが、威力があまりなかったのであろう。
ソフィアが発動した強力な魔法障壁に弾かれて、あっさりと霧散したのである。
目の前には、俺に対して無防備な背中を晒している魔法使いと僧侶。
魔法使いの使った火弾の魔法が、ソフィアの魔法障壁により俺達に全く通じなかったので、とても落胆しているようだ。
俺はすかさず背後から打ち込み、ふたりを戦闘不能にしてやった。
いわゆる峰打ちという奴だ。
前衛で戦っている戦士とシーフはアモンの攻勢に対応するのが精一杯であったから、後衛の仲間を気にする余裕は一切無い。
そのまま俺は、無防備に背中をさらす戦士とシーフを攻撃した。
後ろから攻撃なんて、凄く卑怯だって?
不意打ちなんて神の使徒として失格?
そんな文字は俺の辞書には存在しない。
アモンと言う脅威に晒され、防戦一方だった彼等を倒すのは簡単。
魔法使いと僧侶が援護してくれるという前提があった上での戦いだったので、それが崩れた今、彼等クランの作戦はあっけなく崩壊したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
襲って来た冒険者クランを締め上げて白状させた所……
奴等の正体――それはダックヴァル商店にガルドルド魔法帝国の、魔法の鍵《マジックキー》を売りに来たクラン大狼であった。
俺はリーダーの魔法使いを問い質す。
最初は不貞腐れていて無言だったリーダーも脅したり、なだめたりしてやっと話を引き出す事が出来た。
何とこいつらはダックヴァル商店襲撃事件の犯人でもあったのだ。
先日襲われて大怪我をしたダックヴァル商店の店主サイラス・ダックヴァル。
彼から魔法鍵を売ったクランを聞き出して襲い、俺達が手に入れたであろう『隠されたガルドルドの財宝』を手に入れようと画策したそうだ。
魔法使いは「ふん」と鼻を鳴らし、俺を睨みつけた。
「ついてねぇ! サイラスによ、あの鍵を売らせて、そのクランがガルドルドのお宝を手に入れる。お宝を手に入れたクランを襲って全てを手に入れる……こんな絵を描いていたのによ!」
はぁ!?
こいつら……
お宝を持ち帰ったクランが自分達より強くて返り討ちになるとか考えなかったのか?
今回みたいにさ。
ここで魔法使いが悔しそうに言う。
「だがよ、サイラスがどんな奴等に売ったか白状しなかったんだ!」
「白状しない?」
「そうさ! そんな事は教えられねぇと抜かして、全然白状しやがらなかった……だからヤキを入れて何とか最後にゲロさせたんだよぉ!」
成る程!
先日の強盗事件の真相はそういう事か!
「ようく分かったよ、さてこいつらの処分……どうする? 皆」
俺はクランのメンバーの意見を聞いてみた。
「当然、首をちょん切って始末するんじゃないのか?」これはアモン……
「こいつら……また同じ事をするよ。私はアモンに賛成だね」これはイザベラ。
「妾もアモンとイザベラに賛成じゃ。ガルドルドの秘密を知り、このような性悪の者共を生かしておいても仕方なかろう」これは――ソフィア。
そして最後に黙っていたジュリアに意見を求めたが……
「もう少ししたら……あたし達が手を下さなくても処理出来るよ」
これから起こるであろう、彼等の行く末を意味ありげに言ったのである。
何が? 起こるのか……
そう言えばこちらに近付く反応がある。
敵意は無いが、何か警戒しているような魔力波を発している一団だ。
ジュリアはすかさず一団の正体を言い当てる。
「多分、地区警護の騎士隊か、キャンプの衛兵隊のパトロールさ。こいつらを彼等に渡してしまおうよ」
俺達は戦闘態勢を取ったまま、その場で待つ。
するとその一団が俺達を認め、大声で呼び掛けて来た。
「おお~い、我々はヴァレンタイン王国騎士団だ。こちらで戦闘が行われていると通報があって来たが、どうしたぁ!? もし我々に歯向かう気なら容赦しないぞ! 武器を持っているなら速やかに捨てて投降しろ~!」
どうやら治安維持の為に巡回中であった王国の騎士達らしい。
ジュリアの言った事はビンゴである。
彼女は「にこっ」と笑い、親指を立てた手を俺に突き出して見せたのであった。
奴等の背後を衝く為だ。
前面からの攻撃に気を取られており、奴等は全く俺に気付いていない。
音を立てないよう、俺は身を伏せて回り込んで行った。
イザベラの火弾で相手方の戦士とシーフは出鼻を挫かれたばかりか、相当混乱してている。
それが背後からでもはっきり分かる。
こちらからはアモンが出張っていったので、相手の戦士も盾役として対抗して直ぐ前に出た。
しかし、格が違い過ぎる。
大剣を振り回す戦鬼アモンの破壊力の前に全く動けず、周囲を索敵していたシーフらしい男が慌てて戦士のフォローに動いている。
つまり今が俺の思惑通り、僧侶と魔法使いを叩く絶好のチャンスという事だ。
瞬時に状況を把握すると、俺は気配を殺して神速で奴等の真後ろに回りこんだ。
その時、魔法使いはイザベラと同様に火弾の魔法を発動したが、威力があまりなかったのであろう。
ソフィアが発動した強力な魔法障壁に弾かれて、あっさりと霧散したのである。
目の前には、俺に対して無防備な背中を晒している魔法使いと僧侶。
魔法使いの使った火弾の魔法が、ソフィアの魔法障壁により俺達に全く通じなかったので、とても落胆しているようだ。
俺はすかさず背後から打ち込み、ふたりを戦闘不能にしてやった。
いわゆる峰打ちという奴だ。
前衛で戦っている戦士とシーフはアモンの攻勢に対応するのが精一杯であったから、後衛の仲間を気にする余裕は一切無い。
そのまま俺は、無防備に背中をさらす戦士とシーフを攻撃した。
後ろから攻撃なんて、凄く卑怯だって?
不意打ちなんて神の使徒として失格?
そんな文字は俺の辞書には存在しない。
アモンと言う脅威に晒され、防戦一方だった彼等を倒すのは簡単。
魔法使いと僧侶が援護してくれるという前提があった上での戦いだったので、それが崩れた今、彼等クランの作戦はあっけなく崩壊したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
襲って来た冒険者クランを締め上げて白状させた所……
奴等の正体――それはダックヴァル商店にガルドルド魔法帝国の、魔法の鍵《マジックキー》を売りに来たクラン大狼であった。
俺はリーダーの魔法使いを問い質す。
最初は不貞腐れていて無言だったリーダーも脅したり、なだめたりしてやっと話を引き出す事が出来た。
何とこいつらはダックヴァル商店襲撃事件の犯人でもあったのだ。
先日襲われて大怪我をしたダックヴァル商店の店主サイラス・ダックヴァル。
彼から魔法鍵を売ったクランを聞き出して襲い、俺達が手に入れたであろう『隠されたガルドルドの財宝』を手に入れようと画策したそうだ。
魔法使いは「ふん」と鼻を鳴らし、俺を睨みつけた。
「ついてねぇ! サイラスによ、あの鍵を売らせて、そのクランがガルドルドのお宝を手に入れる。お宝を手に入れたクランを襲って全てを手に入れる……こんな絵を描いていたのによ!」
はぁ!?
こいつら……
お宝を持ち帰ったクランが自分達より強くて返り討ちになるとか考えなかったのか?
今回みたいにさ。
ここで魔法使いが悔しそうに言う。
「だがよ、サイラスがどんな奴等に売ったか白状しなかったんだ!」
「白状しない?」
「そうさ! そんな事は教えられねぇと抜かして、全然白状しやがらなかった……だからヤキを入れて何とか最後にゲロさせたんだよぉ!」
成る程!
先日の強盗事件の真相はそういう事か!
「ようく分かったよ、さてこいつらの処分……どうする? 皆」
俺はクランのメンバーの意見を聞いてみた。
「当然、首をちょん切って始末するんじゃないのか?」これはアモン……
「こいつら……また同じ事をするよ。私はアモンに賛成だね」これはイザベラ。
「妾もアモンとイザベラに賛成じゃ。ガルドルドの秘密を知り、このような性悪の者共を生かしておいても仕方なかろう」これは――ソフィア。
そして最後に黙っていたジュリアに意見を求めたが……
「もう少ししたら……あたし達が手を下さなくても処理出来るよ」
これから起こるであろう、彼等の行く末を意味ありげに言ったのである。
何が? 起こるのか……
そう言えばこちらに近付く反応がある。
敵意は無いが、何か警戒しているような魔力波を発している一団だ。
ジュリアはすかさず一団の正体を言い当てる。
「多分、地区警護の騎士隊か、キャンプの衛兵隊のパトロールさ。こいつらを彼等に渡してしまおうよ」
俺達は戦闘態勢を取ったまま、その場で待つ。
するとその一団が俺達を認め、大声で呼び掛けて来た。
「おお~い、我々はヴァレンタイン王国騎士団だ。こちらで戦闘が行われていると通報があって来たが、どうしたぁ!? もし我々に歯向かう気なら容赦しないぞ! 武器を持っているなら速やかに捨てて投降しろ~!」
どうやら治安維持の為に巡回中であった王国の騎士達らしい。
ジュリアの言った事はビンゴである。
彼女は「にこっ」と笑い、親指を立てた手を俺に突き出して見せたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる