真☆中二病ハーレムブローカー、俺は異世界を駆け巡る

東導 号

文字の大きさ
191 / 205

第191話「父の容認」

しおりを挟む
 だんっ!

 ミシッ!
 ピキン!

「ぐあうっ!」

 テーブルに、こぶしが打ち付けられる音。
 上板が軋み、壊れる音。

 それは、かつて何度も見た風景と同じであった。
 俺があっさりと、ジュリアの父エドヴァルドの右手を押し込め、テーブルに叩き付けたのだ。
 今回は絶対負けられないと思った上、相手の力の見当がつかなかったから、結構力を入れてしまった。
 エドヴァルドの手がテーブルの天板に触れた瞬間、鈍い音と共に大きなひびが入って割れてしまったのである。

「く、くそっ! も、もう1回だ! こ、今度は本気でやるぞ!」

「ああ、テーブルがっ!」

 ジェマさんの、宿の備品を心配する声が飛ぶが……

「構わないっ! そんなもの俺が買ってやるっ!」

 ああ、やっぱりだ!
 エドヴァルドの竜神としてのプライドが炸裂中……そんな感じである。

「もう! エドったら……昔っから変わらないよ! 負けず嫌いでさ」

 ジェマさんは腕組みをして苦笑している。
 古き良き思い出を懐かしむという感じだ。

「よ~い……どん!」

 だんっ!

 ミシッ!
 ピキン!

「ぐあうっ!」

 やっぱり……
 
 結局、その後俺とエドヴァルドの腕相撲勝負は5回行われたが、使ったテーブルを全部壊した上で、全て俺の圧勝であった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「どう? 納得した? エドヴァルドお父様?」

 神の使徒とはいえ、ここまで俺の実力が抜きんでているとは思わなかったのだろう。
 脱力して座り込んだエドヴァルドに対して、イザベラが悪戯っぽく笑う。

「ああ、悪魔王女イザベラよ。確かに……納得したぞ……トールは全然本気を出していないしな」

「うん、私や同じ上位悪魔にも、ちょちょいと圧勝したからね」

「成る程……もし私が竜化したとしても、力のみではあっさり負けるだろう! やはり闘神スパイラル様の使徒は凄い!」

 エドヴァルドは「参った!」という表情で俺を見ると、立ち上がって頭を下げた。
 さすがに竜神族の長だけあって潔い態度である。
 謙虚な彼の姿を見た俺も、吃驚してそれ以上に深く頭を下げた。

「トール、我が娘ジュリアを宜しく頼む! お前になら任せられる! 今迄同様可愛がってやってくれ!」

 エドヴァルドは笑顔で右手を差し出した。
 今度は腕相撲ではない。
 和解と懇親の握手である。

「こ、こちらこそ! ジュリアには俺、凄く助けて貰っていますから! 一生! た、大切にします!」

 そんな俺達に嫁ズが駆け寄って来た。
 
 今度こそ、全員で仲良くなれる。
 会話の内容も雰囲気も一変していた。
 基本的には各種族間で懇親を深めようという前向き且つ建設的なものだ。
 
 美少女嫁軍団に囲まれたエドヴァルドは、やはり……デレていた。

「よっし! 今夜は宴会。この宿で全員参加でね! 外に待たしているエドの家来さん達も入れてさ!」

 ジェマさんは上機嫌である。
 俺も当然同じだ。

 宴会か!
 良いねぇ!
 
 そういえば、嫁ズと結婚式をやっていなかったから、村での宴会を仮結婚式にしても良いかもしれない。

 しかしそこへジュリアからストップが掛かる。

「トール! その前に頼まれていた仕事を済ませておこうよ!」

 頼まれていた仕事?
 仕事なんかあったっけ?

 俺は思わず聞いてしまう。

「仕事って何?」

「ほら! モーリスから仕事を頼まれていただろう? 錬金術の素材購入さ!」

「ああ~っ、そうだった!!!」

 すっかり、忘れてた。
 村で万屋よろずやを営む元錬金術師モーリスさんから仕事を頼まれていたんだよな!
 請け負ってから、相当待たせてしまったけど……
 確か、俺の腕輪に金属塊インゴッドで入っている筈だ。

 傍らで腕組みして、俺達の話を聞いていたジェマさんが破顔する。

「あはは、何だ、仕事って相手はモーリスかい? じゃあ、皆で早く行ってきなよ。待っているからさ」

 さっきイザベラと打ち解けてから、ジェマさんはずっと笑顔だ。
 まるで今迄の無愛想さが嘘のようである。
 なので、俺はジェマさんのお言葉に甘える事にした。

「じゃあ皆で行こうか?」

「「「「「「了解!」」」」」」

 じゃあ、早速出発だ。
 俺は嫁ズを連れて、早速モーリスさんの店へ出掛けたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 俺達は今、タトラ村の中を歩いている。
 ジュリアが里帰りしたという話は、あっという間に村中へ伝わったようだ。
 何人もの男達が、俺に寄り添って甘えるジュリアを悔しそうに眺めている。
 その中には、例の『いじめっ子ダニー』も居た。

 ああ、あいつ……馬鹿だなぁ……
 好きな女の子をつい苛めてしまう心理は、理解出来なくもないが限度がある。
 俺みたいに転生したら、今度は幸せになってくれ。

 ダニーから見たら、俺は「リア充爆発しろ!」と呪いたくなる対象中の対象だろう。
 何せ、今や俺の嫁はジュリアを入れて6人も居るのだから。

 そんなこんなで、俺達はすぐモーリスさんの店へ着いた。

 ああ、懐かしい!
 この店から、俺の商人兼冒険者人生は始まったのだから。
 そしてモーリスさんから買い取った『賢者の石』のお陰で嫁ソフィアも助かったのである。
 さりげなく、礼を言っても良いかもしれない。
 店へ入ると、モーリスさんはいつも通り、店のカウンターに陣取っていた。

「こんちわぁ!」

「おう! トールじゃないか! ジュリアちゃんと一緒に里帰りしたって聞いたぞぉ! あ? え、えええっ!」

 俺達を見たモーリスさんが口をあんぐり開けている。
 その視線の行き先は……

「おおお、お前は! ソ、ソフィア!?」 

 何それ?
 こっちが「えええっ」だよ!
 でも、何だぁ!?
 何故、この辺境の村の万屋主人がソフィアを知っているのだろう?

 思わず俺は驚愕するモーリスさん、そしてソフィアを見比べてしまったのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

処理中です...