冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

文字の大きさ
14 / 176

第14話「いきなり全て真似する事は不可能だが、部分的に取り入れて行こうと思う」

しおりを挟む
バスチアンさんは、すたすたすたと正門まで歩き、何かを取り出し、かざした。

すると、ごごごごごごごご………

重い音が鳴り響き、巨大な正門が開いて行った。
正門が開いたのは何か魔法の仕掛けであろう。

バスチアンさんが、かざしたのは開閉装置に違いない。

ここでセレスさんが声を張り上げる。

「バスチアンが出現する敵を蹴散らし、馬車の行く手を守ってくれるわ! さあ! 新人のみんなは危険だから馬車に乗って訓練場へ入るわよ! 急いでっ!」

「は、はいっ!」
「す、すぐ乗りますっ!」

シャルロットさん、フェルナンさんは馬車へ乗り込んだが、
俺は手を挙げ、セレスさんへ言う。
結構な大声で。

「セレスさん! 俺、馬車に乗らずこのままで行くっす! 後学の為に間近まぢかで見学したいんです! バスチアンさんの戦いぶりを!」

「え? どうして? エルヴェ君!」

と御者台で驚くセレスさん。

俺は更に言う。
声のトーンを落とさずに。

「なので! 申し訳ありませんが! 許可してくださいっす!」

俺の大声はバスチアンさんにも聞こえたようだ。

振り向かず、俺へ背を向けたまま、バスチアンさんは叫ぶ。

「おい、新人1号!」

ええっと、名前で呼ばれず新人1号って……ドラフト指名1位という事か?

まあ、良いや。

俺は素直に、元気よく返事をする。

「はいっ!」

「てめえが俺について来るのは勝手だが、てめえの身はてめえで守れ! 万が一何かあっても責任は取らねえぞ」 

「はい! 当然っす」

「死んでも自己責任だ」

「はいっす!」

「よっし! 良い返事と覚悟だ! ついて来いっ!」

「うす! ついて行きまっす!」

俺の返事と同時に、バスチアンさんは猛ダッシュした。
凄まじい速度で駆けて行く。

当然俺も猛ダッシュ!
バスチアンさんを追いかける。

と、そこへ!
現れたのはオーク10体である。

どうやら正門に馬車が近づいたのを察知し、待ち伏せしていたらしい。

補足しよう。

オークは猪を思い切り醜く、凶悪にしたような風貌の人型魔物ヒューマノイドである。

人間を捕食する恐ろしい敵だ。

そして『女性の敵』と忌み嫌われるいまわしい性癖を持つ、
とんでもない魔物でもある。
ちなみにどういう性癖なのかは、たやすく想像出来るだろう。

この世界では面白い対比がある。

強さの対比だ。

ゴブリンという魔物が居る。
小さな猿のような魔物で、やはり群れで人間を襲い、喰い殺す。
このゴブリンは1体が、常人の1,5倍の強さだと言われている。

そして出現したオークの強さは1体がゴブリンの倍、
すなわち常人の3倍の強さだと言われている。

つまりオークが10体……常人の30人分という単純計算。
常識的に考えれば、ひとり対30人の戦いなど、絶望的な状況である。

しかし!
バスチアンさんは全く怖れずにオーク10体の中へ、突っ込んで行ったのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

先述した理論によれば、単純に考えて、ひとり対30人。
一見すれば無謀ともいえる戦い。

加えて、バスチアンさんは兜、鎧、盾などの装備品なしで、
着ているのは、何と、ランニングシャツに短パン。

剣や斧などの武器もなし。
唯一、手に鋼鉄製のカイザーナックルを装備しているくらい。

でも俺は全く心配していない。
まあ世の中に絶対こそないから、強者たるバスチアンさんが、
99%負けるはずはないと確信に近い思いで見ていた。

そんな心配より、一騎当千といわれるランクAの超一流戦士。
加えて王国ナンバーワンクラン、『グランシャリオ』のメンバー。

そんなバスチアンさんの戦いを超が付く間近で見られる。

絶好のチャンスを俺が逃すはずはない。

馬車へ乗り込むなど出来るはずがない。

さてさて!
俺はバスチアンさんの後方3mほどにつき、
戦いをじっと見守った。

この状況でも決して油断はしない。
戦闘態勢をとり続ける。
なぜならバスチアンさんをかいくぐり、オークが俺に向かって来る事もありえるからだ。

そして、俺が注目したのは、双方の動き。
オークの動きの癖の見極めと、
そのオークの動きに、バスチアンさんがどう対処するのか?

ここで活躍するのが俺の『勘』相手の動きの先読み。
そして、該当者が見極められる動体視力だ。

そもそも何度か戦って分かっていたが、オークは基本力任せ。
隙が生まれやすい大味な攻撃を行う。

対してバスチアンさんもそれを踏まえ、オークの攻撃を楽々と見切って躱し、
相手のパワーを利用するカウンター攻撃で対応する。

やはりランクA。
バスチアンさんの身体能力は凄すぎる。
とんでもないスピードだ。
俺の動体視力でなんとか……常人では絶対にとらえられない。
動きも「きれきれっ」というのがぴったり来る。

それもオークの死角から急所を攻めるような形だから、全く隙がない。
真逆といっていいくらい、対照的だった。

うん!
大いに参考となった。

俺とバスチアンさんではタイプは違うが、戦い方の良い参考例となるには間違いない。

いきなり全て真似する事は不可能だが、部分的に取り入れて行こうと思う。

加えて、パワーもバスチアンさんの方が圧倒的。

一撃必殺という言葉があるが、まさにそれ。
また蝶のように舞い、蜂のように刺すとも言うのか……

どご! どご! どご! どご! どご!
どご! どご! どご! どご! どご!

肉を打つ鈍い音が10発。

あっという間にオークどもは屠られ……
倒れ伏した10体の死骸の真ん中で、
ランニングシャツに短パン姿のバスチアンさんは、
「ふう」と軽く息を吐いたのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

勇者パーティー追放された解呪師、お迎えの死神少女とうっかりキスして最強の力に覚醒!? この力で10年前、僕のすべてを奪った犯人へ復讐します。

カズマ・ユキヒロ
ファンタジー
解呪師マモル・フジタニは追放された。 伝説の武器の封印を解いたあとで、勇者パーティーに裏切られて。 深い傷と毒で、死を待つばかりとなったマモル。 しかし。 お迎えにきた死神少女との『うっかりキス』が、マモルを変えた。 伝説の武器の封印を解いたとき、体内に取り込んでいた『いにしえの勇者パーティー』の力。 その無敵の力が異種族異性とのキスで覚醒、最強となったのだ。 一方で。 愚かな勇者たちは、魔王に呪いを受けてしまう。 死へのタイムリミットまでは、あと72時間。 マモル追放をなげいても、もう遅かった。 マモルは、手にした最強の『力』を使い。 人助けや、死神助けをしながら。 10年前、己のすべてを奪った犯人への復讐を目指す。 これは、過去の復讐に燃える男が。 死神少女とともに、失ったはずの幼なじみや妹を取り戻しながら。 結果的に世界を救ってしまう、そんな物語。

処理中です...