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第20話「まあ、情けは人の為ならずと言うし、俺自身の訓練、経験値となるから、 ポジティブに考えるようにする」
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「きゅ!? 救済策う!?」
「そ、それって!? な、何ですか!?}
バスチアンさんへ、シャルロットさん、フェルナンさんの同期は、
すがるような眼差しを向けた。
必死なガチマジ表情。
まるで、か細い、わらにもすがるって感じ。
お客さん扱いされていたふたりにとって、
たったひとりで魔物や肉食獣に相まみえるなど、
想像さえも出来ないだろう。
想像するだけで怖ろしく、大いに命の危険を感じているに違いない。
ちょっと同情してしまう。
だが俺も気になる。
バスチアンさんの言う救済策って何だろうかと。
俺自身は、「単独でお散歩しよう」と決めていたから、一応聞くだけ聞いておこう。
聞いてメリットがあれば、その時考えれば良いしね。
視線を向ける俺達新人3人を見てにやにや笑うバスチアンさん。
セレスさんも微笑んでいる。
バスチアンさんは、いかつい風貌からぴったり来るのだが、
美貌のセレスさんも、『ど』がつく『S』かもしれないぞ。
そう思ったら、思わず俺は苦笑してしまった。
ここで、バスチアンさんが声を張り上げる。
「救済策とはな、今回に限り、同行者ひとりを伴うのが可能な事だ。てめえらが望めばふたりで散歩する事を許可してやるぜ」
「ええっ? 同行者ひとりを伴う?」
とシャルロットさんが驚きの声を上げ、
「それって、もしかしてバスチアンさん、セレスさんのどちらかですか?」
と、フェルナンさんが追随した。
対して、バスチアンさんは首を横へ振る。
「ちげ~よ、新人3号。俺やセレスじゃねえ。同行するのは、てめえらの同期である、新人1号だよ」
え?
俺?
いきなりの指名でさすがに驚く俺。
思わず聞き直してしまう。
「へ? 俺ですか?」
そんな俺へ、バスチアンさんは言う。
「おう! 新人1号! てめえはさっき、たったひとりで、あっという間にゴブリン5体を倒した。だから新人2号、3号が望めば、それぞれの散歩に同行してくれや」
何という話なのか、俺は思わず間の抜けた返事をしてしまう。
「はあ……」
「それに、ただとは言わねえ。もし同行したら、新人1号! てめえの散歩は免除だぜ!」
今更ながら念の為補足。
新人2号はドラフト2位指名のシャルロットさん。
新人3号はドラフト3位指名のフェルナンさんだろう。
……でも、ふうん。
同期に同行したら俺の散歩は免除。
そういう事か。
俺は別に良いけどさ。
もしもヘタレの同期がびびるなら、自分の身だけ守って貰い、
先に俺が、敵全てを倒してしまえばいいし。
「はあ……俺は別に構わないっすけど」
「よっしゃ! そうすりゃよ、てめえは、この訓練場を最低1周、最大2周する事になる。1周のふたりから文句はでね~だろ~よ」
「まあ、確かにそうですね」
「ああ、それによ。てめえがさっきの俺と同じで先頭切れば、シーフ、盾役、攻撃役の良い練習になるぞ」
成る程……シーフ、盾役、攻撃役の良い練習かあ。
それに俺と同期を組ませて、連携プレーの研修も行うのだろう。
そうか!
モチベーションが上がって来た。
「はい! 分かりました。納得です」
「よし、決まりだ」
へえ。
ちょっと驚いた。
バスチアンさんって、そこまで、いろいろ考えているんだ。
人間オーガみたいな見かけによらず、細やかでバランスの取れた人なんだ。
などと考えていたら……
「新人1号! てめえ、何か失礼な事考えてね~か!」
俺の心の内を見抜かれたように、
バスチアンさんから、じろりと、にらまれてしまったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
やはり見かけによらない。
まあ、ナンバーワンクラン、グランシャリオのシーフ職も務めているからだろうか、
バスチアンさんは戦うだけでなく、敵を察知したり、人の心の内面を見抜くのも得意そうだ。
うん!
勉強になる。
俺もバスチアンさんの域へ達したいものだ。
ごつい見かけだけは、絶対に似たくはないけれど……
さてさて!
バスチアンさんから『救済策』が提示された後、予想通りというか、
シャルロットさんもフェルナンさんも、俺との散歩同行を希望して来た。
これで、俺は同期の中で倍の距離、訓練場を2周する事となってしまった。
まあ、情けは人の為ならずと言うし、ここはふたりの為に頑張ろう。
それに俺自身の訓練、経験値となるから、ポジティブに考えるようにする。
……続いて、セレスさんから、貸与してくれる装備品の説明があった。
この装備品はふたつ。
ひとつは、非常通報用の魔導ベル。
押すと、けたたましい音が鳴り、危険が発生した事を報せるのだ。
最低限助けるという約束通り、指導役のクランメンバー、
バスチアンさん、セレスさんが駆けつけるという形となるらしい。
ふたつめは、魔法使いではなくとも、誰でも使用可能な魔法杖。
柄を握り、発射と念じれば、魔力が発射される。
魔法の装填数は20発。
射程距離は約200m。
基本的には護身用という事だ。
この魔法杖から放たれるのは、風の塊を相手へぶつける魔法『風弾』
俺は魔法を使えないから、こういう飛び道具はありがたい。
早く使い方を覚えて、ガンガン使いこなしたい。
加えて言えば、実はこの訓練場は、火気厳禁。
森林などに燃え広がるのを防ぐ為、火の魔法は緊急時以外、使用禁止なのだそうだ。
そして同期のシャルロットさんは火属性の魔法使い。
だから、翼を奪われた鳥の如く、敵に立ち向かえる術がない。
元々、研修に対して凄く不安があった上に、自身の魔法も使えないとなると、
彼女は不安でいっぱいだったのだろう。
ず~っとヘタレていたのも無理はないと、更に同情してしまった。
冷血女ミランダのせいで、女性不信になっているけど、あまり先入観を持つのも良くないし。
繰り返すが、せっかく縁あって同期の仲間となったのだから、
ふたりを助けるのはやぶさかでない。
フェルナンさんも俺と同じような貴族家の3男坊で、冷や飯食いの境遇らしいし、
とりあえず、頑張ってフォローしようと俺は決めたのである。
「そ、それって!? な、何ですか!?}
バスチアンさんへ、シャルロットさん、フェルナンさんの同期は、
すがるような眼差しを向けた。
必死なガチマジ表情。
まるで、か細い、わらにもすがるって感じ。
お客さん扱いされていたふたりにとって、
たったひとりで魔物や肉食獣に相まみえるなど、
想像さえも出来ないだろう。
想像するだけで怖ろしく、大いに命の危険を感じているに違いない。
ちょっと同情してしまう。
だが俺も気になる。
バスチアンさんの言う救済策って何だろうかと。
俺自身は、「単独でお散歩しよう」と決めていたから、一応聞くだけ聞いておこう。
聞いてメリットがあれば、その時考えれば良いしね。
視線を向ける俺達新人3人を見てにやにや笑うバスチアンさん。
セレスさんも微笑んでいる。
バスチアンさんは、いかつい風貌からぴったり来るのだが、
美貌のセレスさんも、『ど』がつく『S』かもしれないぞ。
そう思ったら、思わず俺は苦笑してしまった。
ここで、バスチアンさんが声を張り上げる。
「救済策とはな、今回に限り、同行者ひとりを伴うのが可能な事だ。てめえらが望めばふたりで散歩する事を許可してやるぜ」
「ええっ? 同行者ひとりを伴う?」
とシャルロットさんが驚きの声を上げ、
「それって、もしかしてバスチアンさん、セレスさんのどちらかですか?」
と、フェルナンさんが追随した。
対して、バスチアンさんは首を横へ振る。
「ちげ~よ、新人3号。俺やセレスじゃねえ。同行するのは、てめえらの同期である、新人1号だよ」
え?
俺?
いきなりの指名でさすがに驚く俺。
思わず聞き直してしまう。
「へ? 俺ですか?」
そんな俺へ、バスチアンさんは言う。
「おう! 新人1号! てめえはさっき、たったひとりで、あっという間にゴブリン5体を倒した。だから新人2号、3号が望めば、それぞれの散歩に同行してくれや」
何という話なのか、俺は思わず間の抜けた返事をしてしまう。
「はあ……」
「それに、ただとは言わねえ。もし同行したら、新人1号! てめえの散歩は免除だぜ!」
今更ながら念の為補足。
新人2号はドラフト2位指名のシャルロットさん。
新人3号はドラフト3位指名のフェルナンさんだろう。
……でも、ふうん。
同期に同行したら俺の散歩は免除。
そういう事か。
俺は別に良いけどさ。
もしもヘタレの同期がびびるなら、自分の身だけ守って貰い、
先に俺が、敵全てを倒してしまえばいいし。
「はあ……俺は別に構わないっすけど」
「よっしゃ! そうすりゃよ、てめえは、この訓練場を最低1周、最大2周する事になる。1周のふたりから文句はでね~だろ~よ」
「まあ、確かにそうですね」
「ああ、それによ。てめえがさっきの俺と同じで先頭切れば、シーフ、盾役、攻撃役の良い練習になるぞ」
成る程……シーフ、盾役、攻撃役の良い練習かあ。
それに俺と同期を組ませて、連携プレーの研修も行うのだろう。
そうか!
モチベーションが上がって来た。
「はい! 分かりました。納得です」
「よし、決まりだ」
へえ。
ちょっと驚いた。
バスチアンさんって、そこまで、いろいろ考えているんだ。
人間オーガみたいな見かけによらず、細やかでバランスの取れた人なんだ。
などと考えていたら……
「新人1号! てめえ、何か失礼な事考えてね~か!」
俺の心の内を見抜かれたように、
バスチアンさんから、じろりと、にらまれてしまったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
やはり見かけによらない。
まあ、ナンバーワンクラン、グランシャリオのシーフ職も務めているからだろうか、
バスチアンさんは戦うだけでなく、敵を察知したり、人の心の内面を見抜くのも得意そうだ。
うん!
勉強になる。
俺もバスチアンさんの域へ達したいものだ。
ごつい見かけだけは、絶対に似たくはないけれど……
さてさて!
バスチアンさんから『救済策』が提示された後、予想通りというか、
シャルロットさんもフェルナンさんも、俺との散歩同行を希望して来た。
これで、俺は同期の中で倍の距離、訓練場を2周する事となってしまった。
まあ、情けは人の為ならずと言うし、ここはふたりの為に頑張ろう。
それに俺自身の訓練、経験値となるから、ポジティブに考えるようにする。
……続いて、セレスさんから、貸与してくれる装備品の説明があった。
この装備品はふたつ。
ひとつは、非常通報用の魔導ベル。
押すと、けたたましい音が鳴り、危険が発生した事を報せるのだ。
最低限助けるという約束通り、指導役のクランメンバー、
バスチアンさん、セレスさんが駆けつけるという形となるらしい。
ふたつめは、魔法使いではなくとも、誰でも使用可能な魔法杖。
柄を握り、発射と念じれば、魔力が発射される。
魔法の装填数は20発。
射程距離は約200m。
基本的には護身用という事だ。
この魔法杖から放たれるのは、風の塊を相手へぶつける魔法『風弾』
俺は魔法を使えないから、こういう飛び道具はありがたい。
早く使い方を覚えて、ガンガン使いこなしたい。
加えて言えば、実はこの訓練場は、火気厳禁。
森林などに燃え広がるのを防ぐ為、火の魔法は緊急時以外、使用禁止なのだそうだ。
そして同期のシャルロットさんは火属性の魔法使い。
だから、翼を奪われた鳥の如く、敵に立ち向かえる術がない。
元々、研修に対して凄く不安があった上に、自身の魔法も使えないとなると、
彼女は不安でいっぱいだったのだろう。
ず~っとヘタレていたのも無理はないと、更に同情してしまった。
冷血女ミランダのせいで、女性不信になっているけど、あまり先入観を持つのも良くないし。
繰り返すが、せっかく縁あって同期の仲間となったのだから、
ふたりを助けるのはやぶさかでない。
フェルナンさんも俺と同じような貴族家の3男坊で、冷や飯食いの境遇らしいし、
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