冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

文字の大きさ
19 / 176

第19話「くくく、まあ安心しろ。てめえらに救済策を用意してあるからよ」

しおりを挟む
ロッジの空棟へ、セレスさん、シャルロットさんが到着。

ついに『打合せ』が始まった。

まず話をするのは、人間離れした、魔物オーガのような、たくましい男。

日焼けした浅黒い褐色の肌で、スキンヘッド。

顔は超こわもて、感情をあまり表に出さない。

クラン、グランシャリオの盾役タンクを務める屈強な戦士、
バスチアン・ガスパルさんだ。

現在のバスチアンさんの上半身はぴちぴちのランニングシャツ一枚、

下半身は、『もも』までしかない超短パンだけ。

薄着だから、全身「むっきむき」の筋肉男たるバスチアンさんは、
がっつり腕組みをし、べらんめえ口調で言い放つ。

「おい! 新人ども! てめえら! これからグランシャリオの地獄の研修がスタートするぜ! ガンガン行くから覚悟しやがれえ!!」

こわもて顔のバスチアンさんは、矢のように眼光鋭く、どすのきいた凄みのある声。

地獄とか、ガンガンとか、心へ刺さるキーワードが、
相当なダメージを与えたのだろう。

「ひいいっ」

「うわ!」

と、シャルロットさん、フェルナンさんは、思わずのけぞり小さな悲鳴をあげた。
ガタガタと、身体を小刻みに震わせている。

一方、俺はといえば、

「はい! 了解っす」

と、シンプルに、はっきりと返事をした。
まあ若干の緊張感はあったけど、わりと普通に話す事が出来た。

え?
同期ふたりと違い、何故怖くないかって?

そもそも俺は、クラン『シーニュ』仮所属時代に散々メンタルを鍛えられている。

見殺しとか、実験台とか、置き去りとか、言葉だけでなく、
実地でリアルに経験しているもの。
ああ、虐待に誹謗中傷、最後に悪口、罵詈雑言もあった。

なので、地獄とか、ガンガンとかは、言われるくらい、生易なまやさしい。
正直言って、へでもない。

それに闘技場における、バスチアンさんとの初対面の際のインパクトは薄れているし、彼の顔も声も、何度も見て聞けば怖くない。

先ほども間近でバスチアンさんと正対して話していたからね。
もう慣れたとは言わないが、さすがにびびる事はないのだ。

ヘタレ、びびる同期ふたりに比べ、落ち着き払い、泰然自若とする俺を見て、
バスチアンさん、セシルさんは顔を見合わせ、にやりと笑う。

俺達に顔を向き直しバスチアンさんは言う。

「くくく、てめえら、まあ今日くらいは楽をさせてやる」

楽をさせてやる……

その甘い言葉に、シャルロットさん、フェルナンさんは、飛びつく。

「ほ、本当ですか!?」

「まじですか!?」

喜びに目を輝かせる同期ふたりだが……

俺だけはそう簡単に信じない。

例によって危機をしらせる『勘働き』が発動していたからである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

そう……俺の勘が報せていた。

バスチアンさん、セシルさんが浮かべる微笑みが、相当ヤバイ。
真っ黒なダークサイドに染まっている。

これは何かある!
ピンと来た。

俺は軽く息を吐き、バスチアンさんが次に告げる言葉を待った。

バスチアンさんは俺達を見て、更に冷たい悪魔の笑みを浮かべる。

「くくくくく……ようく聞け。今日はな、てめえら新人どもは今後の為、この訓練場の見学のみとするぞ!」

は?
見学?

でも、おかしいぞ。

ただの見学だけで、
こんなに凶悪な笑みを浮かべられるはずはない。

バスチアンさんは話を続ける。

「もう少し説明してやろう。てめえら新人はな、各自たったひとりで、この訓練場を一周するんだよ……まあ散歩だと思えや」

おお、成る程。
俺達新人が、この訓練場を一周。
単独で『散歩』するのか。

つまりさっきみたいにオークやゴブリン、狼、熊が襲って来るかもしれない中を、
ひとりで歩き、一周するのか。

ラッキーだ……それなら何とかなりそうだな。
さっきのゴブリンの延長戦みたいなもんだ。
シーニュ仮所属時代には、オークやゴブリンは勿論、
狼、熊とも戦わされた事があるし。

安堵しながら、表情を変えない俺。

しかし、チラ見すると、同期ふたりは顔が青ざめ、絶望の表情を浮かべていた。

バスチアンさんと俺が戦った、オーク、ゴブリンの群れを思い浮かべたに違いない。

冒険者でも戦闘経験がないものは、単独で挑むなど、
恐怖以外なにものでもないだろう。

「そ、そ、そんな!! ま、魔物がうようよ居る訓練場を!! た、たったひとりで一周なんて!! ……わ、私には到底無理です!」

絞り出すように声を出すシャルロットさん。

「そ、そ、そうですよ!! し、新人がいきなりひとりは無理です!! そ、それにこんなの散歩じゃありませんっ!!」

シャルロットさんに続き、同意したフェルナンさんにも泣きが入った。
ふたりとも歯の根が合わず、大いに噛んでいる。

そして俺はといえば、

「………………………………」

ノーリアクション、無表情、無言を貫いた。

こういう時は沈黙は金。

俺自身は全く問題ない課題というか、訓練であるから。
なので、余計なコメントは不要だもの。

バスチアンさんは、そんな俺達を見てまたまたにやり。
冷たい悪魔の笑みを浮かべる。

「くくく、まあ安心しろ。てめえらに救済策を用意してあるからよ」

ん?
救済策?
それって、一体、何だろう?

?マークを飛ばす俺。

面白そうに笑うバスチアンさん。

「きゅ!? 救済策う!?」
「そ、それって!? な、何ですか!?} 

そんなバスチアンさんへ、シャルロットさん、フェルナンさんは、
すがるような眼差しを向けたのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

処理中です...