冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第26話「スピードでは敵わないが、同じやり方は出来る」

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「おう!」

俺は大きな声でシャルロットさんへ返事を戻し、思い切り大地を蹴って、
走り出した。

シャルロットさんと熱く会話をしながらも、
オーク5体の気配をうかがい、様子もばっちり把握していた。
こういう時も、『勘働き』はとても役に立つ。
このスキルというか、特技は武道以上に俺の『命綱』だ。

俺達人間ふたりを見て、おぞましい本能の塊であるオークどもの注意は、
麗しき女子であるシャルロットさんへ集中するのではという、
推測だったが、その通りとなっていた。

やはりというか、息を荒げ、舌なめずりするオークどもの視線はすべて、
シャルロットさんへ集中。

それゆえ計算通り、俺への注意は散漫となり、奴らの油断をく事にする。

念の為、オークどもとは充分に距離を取っているから、
後方に待機したシャルロットさんの安全には問題はない。
俺が彼女の盾になり、戦うから、襲われる危険はほぼない。

だが結果的にシャルロットさんは『囮』となる。
申しわないが、そこがつけめだ。
彼女には、自分自身を守り、俺の戦いを見守る事で、
こういう現場に徐々に慣れて貰おうという意図。
そうじゃないと、これから冒険者としては到底やっていけないから。

さてさて!
心は冷静、身体は熱く、が俺の基本モットー。
そこまで見込んで俺は戦いにのぞむ。

戦法は、先ほどのゴブリンと一緒。
そして、バスチアンさんがオークと戦った時のやり方も加味する。

既述したが、ゴブリン、オークとは戦い慣れているから、俺は臆する事がない。
堂々と優位に、見下ろす気分で戦える。
まあ、絶対に油断はしないけど、余裕を持って戦えるのはありがたい。

先ほど同様、ジグザグ不規則に俺は走った。
相手を混乱させ、考える間を与えない為だ。

まあ、オークなんて上位種でなければ、思考はひどく単純。
考える事なんてあまりしないのだが、万全を期して。

……あと10mに接近し、ようやくシャルロットさんから視線を外し、
オークどもは迫る俺を認識。
身構え、威嚇し、歯をむき出す。

しかし!

動きが遅い!
反応も遅い!
隙もありすぎる!

ジグザクに走る俺の動きに幻惑され戸惑い、オークどもは完全に混乱していた。

対して、俺にはオークの動きがほぼ完璧に、予測出来る。
『勘働き』により、奴らが動こうとする意志の波動がはっきり読み取れるからだ。

……奴らまで、あと5m。

俺は冷静に右手で、魔法杖を抜き、

どしゅっ!

狙いを定め、心で念じ、風弾をぶっ放した。
まあ、至近距離だから外しようがない。

どしゅっ!

左端に居たオークが、腹に硬く重い大気の塊を受け、「ぎゃ!」と短い悲鳴をあげ、
間抜けな万歳ポーズで吹っ飛んだ。

次に俺は右端のオークを風弾を撃ち込んだ。
ほぼ同じように悲鳴をあげ、吹っ飛ぶ。

2体のオークはごろごろ転がって止まった。
ピクリとも動かない。
この距離で風弾の直撃を受けたら、即死だろう。

よし!
魔法杖のテストはOK!
全く問題なし。

俺の攻撃のバリエーションは、確実に増えた。
そう確信出来た。

今後は、少しずつ距離をとって、命中精度を上げたいと思う。
そんな事を考える余裕があった。

残りは3体。

俺は躊躇ちゅうちょなく、オーク3体へ、更に肉薄したのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

相手の表情まではっきり分かる距離3m強。

ここまで肉薄したら、さすがにオーク達も戦闘態勢をとっていた。
かといって、フォーメーションを組むとかではなく、ただ身構え唸るだけ。

俺は先ほど、バスチアンさんが攻撃したのと同じ死角で攻める事にした。

バスチアンさんは、彼が持つ類まれな身体能力で、神速ともいえるスピードで
オークの背後に回り込み、急所へ拳と蹴りを打ち込んでいた。

なので俺も、真似させて貰おう。
スピードでは敵わないが、同じやり方は出来る。

既述したが、俺はもう騎士ではなく冒険者。
魔物相手に背後から攻撃するのに、何のためらいもない。

という事で、俺は素早く左のオークの背後に回り込み、思い切り左の拳を打ち込む。

どが!
ぐがっ!

口からぶしゅっ!と青い血を吐き散らし、オークは悲鳴を上げて倒れ込む。

残りは2体。

鋭いステップで、移動した俺は右のオークを背後から蹴り飛ばす。
背後から蹴られたオークは、無様につんのめった。

うつぶせに倒れたオークの背中を容赦なくどごん!とストンピング。
背中を踏み抜かれオークはすぐに絶命した。

残りは真ん中に居た1体。
ノーマルタイプのオークだが、こいつが一応リーダーのようだ。

怒りの唸り声をあげ、俺へ向き直る。
俺はリーダーオークへ、手加減した左拳を腹へ打ち込む。

苦悶の表情を浮かべ、腹を押さえるリーダーオーク。

そろそろ、シャルロットさんにも、戦いに参加して貰おう。

「お~い!! シャルロットお!! 5秒後に撃てええ!!!」

叫んだ俺は魔法杖を持った右手をあげ、大きく打ち振った。

待機場所で、魔法杖を構えるシャルロットさんがはっきり見える。

そこまで確認し、俺はその場を離れた。
充分な距離を取る。

……1,2,3,4,5と間があって、
時間とともに、痛みが鈍くなったリーダーオークがようやく手を離した瞬間。

どしゅっ!

という独特な音とともに、リーダーオークは、シャルロットさんの魔法杖から放たれた大気の塊を背に受け、無様に吹っ飛んでいたのである。
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