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第33話「俺は一切、手伝いませんから」
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災いを転じて福となす。
他には、
雨降って地固まる。
怪我の功名。
結果オーライなど。
もっとあるかもしれないが、
以上は、悪いことが起こった事が良い事に繋がることわざである。
まさに、今のこの状態は「災いを転じて福となす」だ。
「エルく~ん!! 本当に気をつけてねえ!! 私も訓練頑張るからあ!! 早く早く帰って来てええ!!」
という、俺へのシャルロットさんの見送りを受け、声を聞いて、
ひどく落ち込んだフェルナンさんであったが……
俺のささやきで、逆に伯爵令嬢彼女の事を思い出して奮起。
逆境を跳ね返すべく、やる気満々になってくれた。
よし!
予想外の出来事で、第一課題のモチベーションアップはOK。
後は敵に対しての耐性を強化する事が第二課題。
冷静に対応出来るようにする事が第三課題。
その上で、魔物、肉食獣との実戦を経験し、勝利するのが第四課題。
その先もあり、まだまだ目標にはほど遠いが、千里の道も一歩より。
まずはこの四つの課題クリアを目指そう。
そう、励ました。
俺はフェルナンさんの実力を知らない。
ドラフト指名されたのだから、そこそこだと思っていた。
実際、ロッジ前でストレッチの後に軽く、剣と格闘で模擬戦をやってみたが、
フェルナンさんの剣さばき、体さばきは悪くなかった。
やはり人間相手は平気で魔物が苦手というのは本当。
ランクも俺より上のランクEなのは、伊達ではなさそうだ。
これなら、ローラン様に認められるというのは、超困難度にしても、
ランクB以上のランカーを目指すのは「あり」だと思ったのである。
さてさて!
1回、回って勝手知ったる道となったコースを俺はすたすた歩いて行く。
やや後方から、おっかなびっくり、恐る恐るという感じで、
フェルナンさんは、ひょこひょこ歩いてついて来る。
ここで一発ガス抜きをしようと思い、俺はいきなり止まって振り返り、
「わ!」
と、脅かしてやった。
すると、フェルナンさん、びっくりした猫のように、
大きく後方へ飛び退った。
「冗談です」
と俺が言えば、さすがにフェルナンさんは怒る。
「エルヴェ君! いきなり脅かすなんて、ひどい!」
なんて食ってかかるから、俺は、
「フェルナンさん、このくらいで驚いていては、彼女は守れませんよ。もし彼女が、オークあたりに襲われたらどうするつもりなんですか?」
と、反省を促した。
更に俺は間を置かず、
「怖いと思う前に、彼女がオークにむりやり乱暴される事を思い浮かべてください。貴方は怖いと言い、彼女を見捨てて平気で逃げますか? それとも、身体が震えて、そのまま見守り、彼女をオークに、なすがままにされますか?」
と言ってやった。
するとフェルナンさんは、心底悔しそうに、
「ぐううううううう!!!」
と、言葉を戻せず唸ってしまったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺の戒めが相当こたえたのだろう。
フェルナンさんのおっかなびっくりはだいぶマシになり、普通に歩き、
ついてこれるようになった。
時たま、悔しそうに唸っている。
俺の勘働きで分かるが、フェルナンさんの恐怖心もだいぶ薄れていた。
少々荒療治だったが……ここまでしないと、フェルナンさんのヘタレぶりは、
そう簡単には治せない。
今後は逃げようとする度に、オークに襲われる彼女が発動するだろう。
でも以前の俺のように、場数を踏み、オークを倒す事で、
そのトラウマが薄れると、俺は信じている。
そんなこんなで、俺とフェルナンさんは、石畳を歩いて行く。
そして遂に敵が出現した。
猿のような魔物、ゴブリン10体だ。
俺たちの現在位置から、距離は約300m。
発する波動からして、ゴブリンはまだ俺たちに気づいていない。
俺は黙って、後ろ手を伸ばし、フェルナンさんへストップの合図。
「もう、悪戯はしない」と告げていたから、フェルナンさんは素直に足を止めた。
そのまま、俺は手招き。
ロッジで打ち合わせした時、敵出現の合図だ。
声を出さないよう、俺へ近づけと指示しているので、
少し緊張気味のフェルナンさんは、無言で俺の傍らへ。
俺は、フェルナンさんへ顔を向けず、そのまま言う。
「……フェルナンさん、敵です。ゴブリン10体が現れました。距離は約300mです」
「う! そ、そうか……」
「少し考えましたが……俺が10体のうち、9体を倒します」
「え!? じゅ、10体のうち、9体!? エルヴェ君、ひとりで!? だ、だ、大丈夫かい?」
「大丈夫です。問題ありません」
きっぱり言い切る俺の言葉を聞き、フェルナンさんは無言に。
自分へくだる指示を想像しているのであろう。
「………………………」
そんなフェルナンさんへ、俺は続けて言う。
「なので、フェルナンさんには残りの1体をお願いします。絶対ひとりで倒してください」
「え?」
「俺は一切、手伝いませんから」
「………………………」
「フェルナンさんが、ゴブリン1体ごとき倒せないようでしたら、彼女さん、オークにお持ち帰り、決定ですね」
ここまで言うと、フェルナンさんは俺を恨むかもしれない。
でもこのままでは、フェルナンさんはローラン様に認められず、彼女のお父上からも認められず、彼女と結婚する事は絶対に無理だ。
俺は心を鬼にし、敢えて鞭をふるったのである。
他には、
雨降って地固まる。
怪我の功名。
結果オーライなど。
もっとあるかもしれないが、
以上は、悪いことが起こった事が良い事に繋がることわざである。
まさに、今のこの状態は「災いを転じて福となす」だ。
「エルく~ん!! 本当に気をつけてねえ!! 私も訓練頑張るからあ!! 早く早く帰って来てええ!!」
という、俺へのシャルロットさんの見送りを受け、声を聞いて、
ひどく落ち込んだフェルナンさんであったが……
俺のささやきで、逆に伯爵令嬢彼女の事を思い出して奮起。
逆境を跳ね返すべく、やる気満々になってくれた。
よし!
予想外の出来事で、第一課題のモチベーションアップはOK。
後は敵に対しての耐性を強化する事が第二課題。
冷静に対応出来るようにする事が第三課題。
その上で、魔物、肉食獣との実戦を経験し、勝利するのが第四課題。
その先もあり、まだまだ目標にはほど遠いが、千里の道も一歩より。
まずはこの四つの課題クリアを目指そう。
そう、励ました。
俺はフェルナンさんの実力を知らない。
ドラフト指名されたのだから、そこそこだと思っていた。
実際、ロッジ前でストレッチの後に軽く、剣と格闘で模擬戦をやってみたが、
フェルナンさんの剣さばき、体さばきは悪くなかった。
やはり人間相手は平気で魔物が苦手というのは本当。
ランクも俺より上のランクEなのは、伊達ではなさそうだ。
これなら、ローラン様に認められるというのは、超困難度にしても、
ランクB以上のランカーを目指すのは「あり」だと思ったのである。
さてさて!
1回、回って勝手知ったる道となったコースを俺はすたすた歩いて行く。
やや後方から、おっかなびっくり、恐る恐るという感じで、
フェルナンさんは、ひょこひょこ歩いてついて来る。
ここで一発ガス抜きをしようと思い、俺はいきなり止まって振り返り、
「わ!」
と、脅かしてやった。
すると、フェルナンさん、びっくりした猫のように、
大きく後方へ飛び退った。
「冗談です」
と俺が言えば、さすがにフェルナンさんは怒る。
「エルヴェ君! いきなり脅かすなんて、ひどい!」
なんて食ってかかるから、俺は、
「フェルナンさん、このくらいで驚いていては、彼女は守れませんよ。もし彼女が、オークあたりに襲われたらどうするつもりなんですか?」
と、反省を促した。
更に俺は間を置かず、
「怖いと思う前に、彼女がオークにむりやり乱暴される事を思い浮かべてください。貴方は怖いと言い、彼女を見捨てて平気で逃げますか? それとも、身体が震えて、そのまま見守り、彼女をオークに、なすがままにされますか?」
と言ってやった。
するとフェルナンさんは、心底悔しそうに、
「ぐううううううう!!!」
と、言葉を戻せず唸ってしまったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺の戒めが相当こたえたのだろう。
フェルナンさんのおっかなびっくりはだいぶマシになり、普通に歩き、
ついてこれるようになった。
時たま、悔しそうに唸っている。
俺の勘働きで分かるが、フェルナンさんの恐怖心もだいぶ薄れていた。
少々荒療治だったが……ここまでしないと、フェルナンさんのヘタレぶりは、
そう簡単には治せない。
今後は逃げようとする度に、オークに襲われる彼女が発動するだろう。
でも以前の俺のように、場数を踏み、オークを倒す事で、
そのトラウマが薄れると、俺は信じている。
そんなこんなで、俺とフェルナンさんは、石畳を歩いて行く。
そして遂に敵が出現した。
猿のような魔物、ゴブリン10体だ。
俺たちの現在位置から、距離は約300m。
発する波動からして、ゴブリンはまだ俺たちに気づいていない。
俺は黙って、後ろ手を伸ばし、フェルナンさんへストップの合図。
「もう、悪戯はしない」と告げていたから、フェルナンさんは素直に足を止めた。
そのまま、俺は手招き。
ロッジで打ち合わせした時、敵出現の合図だ。
声を出さないよう、俺へ近づけと指示しているので、
少し緊張気味のフェルナンさんは、無言で俺の傍らへ。
俺は、フェルナンさんへ顔を向けず、そのまま言う。
「……フェルナンさん、敵です。ゴブリン10体が現れました。距離は約300mです」
「う! そ、そうか……」
「少し考えましたが……俺が10体のうち、9体を倒します」
「え!? じゅ、10体のうち、9体!? エルヴェ君、ひとりで!? だ、だ、大丈夫かい?」
「大丈夫です。問題ありません」
きっぱり言い切る俺の言葉を聞き、フェルナンさんは無言に。
自分へくだる指示を想像しているのであろう。
「………………………」
そんなフェルナンさんへ、俺は続けて言う。
「なので、フェルナンさんには残りの1体をお願いします。絶対ひとりで倒してください」
「え?」
「俺は一切、手伝いませんから」
「………………………」
「フェルナンさんが、ゴブリン1体ごとき倒せないようでしたら、彼女さん、オークにお持ち帰り、決定ですね」
ここまで言うと、フェルナンさんは俺を恨むかもしれない。
でもこのままでは、フェルナンさんはローラン様に認められず、彼女のお父上からも認められず、彼女と結婚する事は絶対に無理だ。
俺は心を鬼にし、敢えて鞭をふるったのである。
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