冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第34話「今度は、ジグザグではなく、一直線に進む」

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「フェルナンさんが、ゴブリン1体ごとき倒せないようでしたら、彼女さん、オークにお持ち帰り、決定ですね」

という俺の言葉を聞き、フェルナンさんは、

「まるで君は鬼だな、そこまで言うのか?」

と、にらみつけて来た。

俺は臆さず、言い返す。

「ええ、迷わず きっぱり言いますよ。俺マジで協力すると決めたから半端はんぱはしません」

平然と返し、無表情でフェルナンさんを見た。

そんな俺を見て、フェルナンさんは、はあ……とため息を吐き、

「まあ、これくらいらい荒療治しないと、俺の意気地のなさは治らないかもな……」

と、自嘲気味につぶやいた。

そして、まっすぐに俺を見つめ、言う。
フェルナンさんの目には涙がたまっていた。

「ありがとう! エルヴェ君! ……感謝するよ」

「…………………………」

「俺がヘタレそうになる時、彼女がオークどもに襲われるシーンが目に浮かぶ。現実ではない、ありえないと考えながらも、俺はそんな事は絶対にさせないと強く決意出来るんだ」

「その意気ですよ。必ずとか、約束は出来ませんが、俺も出来る限り、フェルナンさんが彼女さんと結婚出来るよう、全力で応援しますから」

「彼女と結婚出来るよう、全力で応援か……本当にありがとう! エルヴェ君が居てくれて、協力してくれると聞いて、俺は元気と勇気が出た……実はもうほとんど、彼女との結婚をあきらめていたんだ」

「いやいや! フェルナンさん、駄目ですよ、あきらめちゃ。あきらめたら、そこで全てが終わりです」

「あきらめたら全てが終わり……ああ、そうだな」

「ええ、巻き返しはこれからです。シャルロットさんもそうですけど、俺たち縁あって、このクラングランシャリオにドラフト指名されて、偶然巡り合ったんです」

「ああ、偶然だ。不思議な縁だな」

「です! 俺たち同期で助け合い、グランシャリオと何とか本契約を結んで、馬鹿にした奴らを見返してやりましょうよ」 

「ああ、そうだな」

フェルナンさんの決意を聞きながらも、
俺は油断せず、『勘働き』の索敵を発動させていた。

その索敵にゴブリンどもの動きは、ばっちり、とらえられていた。

相変わらず、木々で遮蔽しゃへいされて見えないが、
ゴブリンどもは、あと100mの距離まで近づいている。

放つ波動から、奴らも俺たちに、気づいているのは確実だ。
   
という事で俺は手を挙げ、会話をストップ。

「この話は一旦、終わりです。また後で。……ゴブリンの奴ら、そろそろ来ます。戦闘準備しましょう」

「お、おお! そうか! 了解だ。でも本当に大丈夫かい? ひとりでゴブリン9体なんて?」

「はい、楽勝です、俺の戦いを見ていてください。9体目を倒したら合図をしますから、フェルナンさんも覚悟を決めて、突撃してくださいね」

「うん! 分かった! いつでも行けるよう、スタンバっているよ」

フェルナンさんの目には、前向きな光と気力が戻っていた。

これなら行ける。

俺は10体のゴブリンを迎え撃つべく、「ふう」と息を吐き、
気合を入れ直したのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

やがて、ゴブリン10体が現れた。
俺にとっては、既に散々戦っている相手だ。
人間を襲い、喰い殺す魔物にかける情けはない。
全くない。
思い切りやってやる。

「すう」と息を吸い込み、思い切り吐く。

そして、俺は気合を込め、

「エルヴェ! いきま~す!」

だん!
と大地を蹴り、猛ダッシュ。

今度は、ジグザグではなく、一直線に進む。

中央突破を図り、同胞に守られた群れのリーダーを倒し、
群れ全体を一気に瓦解させる作戦を取ったのだ。 

真ん中のゴブリンを、鋼鉄のつま先のついた靴で蹴り飛ばして即死させ、
死骸を乗り越える。

その背後に居たリーダーたるゴブリンの上位種、ゴブリンソルジャーの顔面へ、
これまた鋼鉄製の手甲装備の手で、思い切りパ~ンチ!!

俺の渾身のパンチを受けたゴブリンソルジャーの頭が砕け散った。

これで早くも2体があの世逝き。
残りは8体。

案の定というか、計算通り、リーダーを失った小群は大混乱へ陥った。

ぎゃあ、ぎゃあ、ぎゃあ、ぎゃあ、騒いで収拾がつかない。
向かって来る俺をまともに相手など出来やしない。

ここで俺は、「しゅらっ」と剣を抜いた。
格闘だけで充分倒せる相手だが、俺の戦いぶりを見て、
フェルナンさんが勘違いしてもよろしくない。

格闘のみで倒す。
剣などは使わない。
そういう『縛り』をかけていると、誤解されるのはまずいのだ。

しゅば! ざんっ! しゅば! ざんっ!

俺は大混乱するゴブリンどもを、片っ端から斬り捨てて行く。

あっという間に、更に6体を斬り捨てる。

残りは2体。

俺の分を斬り捨てる前に、左手を大きく挙げ、
「来い!」という合図をフェルナンさんへ送った。

「お、おう! フェルナン! い、行くぞ!」

俺はフェルナンさんへ背を向けていたが、放つ波動で、
彼が走り出したのを感じた。

よし!
と俺は9体目を斬り捨て、残る最後の10体目へ威嚇し、逃げられないようにした。

これでは研修時と変わらない。
最後の最後にとどめを刺させるというやり方だが、致し方ない。

自信を失ったフェルナンさんには場数を踏ませる。
段階的に戦いのレベルを上げ、失った自信を取り戻させた上で、
新たな自信をつけさせるしかない。

つまり、急がば回れである。

俺は、最後のゴブリンが怯え、逃げられなくなったのを確かめてから、離脱した。

そこへ剣を抜いたフェルナンさんが突っ込み、
怯えるゴブリンを、袈裟懸けに斬り捨てたのである。 
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