冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第37話「はい! 全て、エルヴェ君のお陰です! 彼は俺の恩人です!」

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そもそも、嘘は良くないという真実がある。

しかし、「嘘も方便」ということわざがある。

嘘をつくことは悪い事だが、時と場合によっては必要な事もある。
大きな善行の前では、偽りも認められるという事だ。

俺も本来、嘘は大嫌いだ。

性悪冷血女ミランダ・ベルグニウー以下、
クラン 『シーニュ』の腐れどもには散々嘘をつかれ騙されたから。
奴らの嘘には愛が全くと言っていいほどなかった。
あるのは俺を使い捨てようとする非情さだけだった。

話を戻そう。

俺はフェルナンさんへ大嘘をついた。
フェルナンさんが愛する彼女へ、訓練場のオークが、害を為す、
具体的に言えば、「さらおうとしている」と吹き込んだのだ。

悩んだ末、告げた、この嘘はフェルナンさんを変える為の賭けだった。
上手く行かない可能性もあった。

しかし、「嘘も方便」ということわざ通り、
時と場合には、ケースバイケースでは、嘘も悪ではないという稀有な例となった。

その嘘で、フェルナンさんの心の奥に隠れていた、
『勇気』と『愛』が引き出されたからだ。

自分の命に等しい、否それ以上の存在が、フェルナンさんの愛する彼女さん。
その彼女さんが穢され、殺される。
リアルに想像した心の底からの怒りが、フェルナンさん本来の実力も、
目覚めさせたと言えよう。

オークを1体倒し、自信がついたに違いない。 

この戦闘以降、フェルナンさんは著しく変わった。

まず歩き方が、 身のこなしが、剣さばき、格闘技が、
そして態度、物言いも変わったのだ。 

フェルナンさんは、俺の背後ではなく、真横へ並び歩いた。
それも普通に歩くのではなく、威風堂々と。

「よし! エルヴェ君、ガンガン行こう! どんな敵でもどんと来いだ!」

歩き方だけでなく、こんな頼もしい事も言った。

「おお、ガンガン行こう! どんな敵でもどんと来い、ですか?」

俺が聞き直せば、 きっぱりとフェルナンさんは言う。

「ああ、オークでも、ゴブリンでも、熊でも狼でも、何でも、ガンガン行って、どんと来いだよ!」

単純だなあと思いつつ、前向きさ、やる気が出たのは素敵な事。

先に話を聞いていたところ、フェルナンさんはいくつかの武道試合で優勝経験があった。
メンタル面だけが問題で、それさえ克服すれば、俺の代わりにドラフト一位指名されてもおかしくはなかったのだ。

オークの後には再びオーク、ゴブリン、熊、狼、オーク、ゴブリンと遭遇したが……
フェルナンさんは臆さず 戦い、最後は先駆けも務めるようになったのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

そんなこんなで、いろいろとあったが……
俺とフェルナンさんは、約3時間で、無事、ロッジへ戻った。

所要時間は、シャルロットさんと1周した時と、ほぼ同時間である。

既に射撃訓練は終わっていたらしく、俺たちが、

「ただいま戻りましたあ!」
「戻りましたあ!」

と、大声を張り上げると、
セレスさん、シャルロットさんが出迎えてくれた。

「ふたりとも、おつかれ~。けががなくて良かったわね~」
「お疲れ様でしたあ」

と、ねぎらいの言葉があった後、お約束というのか、
シャルロットさんは、俺へ抱きついて来た。

「エル君! エル君! エルく~ん♡ だいしゅき♡ だいしゅき♡ だいしゅき♡ 愛してるよおお!!」

再び、求愛行動さく裂の、さみしがりな子猫である。

セレスさんとフェルナンさんは苦笑。

俺も困ってしまったが……

「うふふ♡ 恋は女子の原動力。訓練後ずっと、シャルロットさんと恋バナしていてさ。エルヴェ君の話ばっかり。ほどほどならって許してあげたのよ」

と、セレスさんの公認発言。

そのセレスさん、フェルナンさんの変貌にすぐ気づいた。

フェルナンさんへ向き直ると、

「へえ! フェルナン君。君、出発の時とはだいぶ変わったね。凄く自信に満ちあふれて、堂々としてるよ」

するとフェルナンさん、にっこり笑い、

「はい! 全て、エルヴェ君のお陰です! 彼は俺の恩人です!」

そう、きっぱりと言い切ってくれた。

ここで、バスチアンさんも戻って来た。

「よお! お疲れ! この研修で、『でもでもだって』のヘタレが居なくなって何よりだぜ!」

と、相変わらずな毒舌を吐き、フェルナンさんを見据えると、

「おい! 新人3号! 俺は全部見ていたぜ! やっとマシになったじゃねえか! これでようやく3人全員、まともに訓練が出来る。新人2号のお姉ちゃんも、新人3号も、ドラフト一位の新人1号には感謝するこったな」

セレスさんに続き、散々怒られていたバスチアンさんにも認めて貰い、
フェルナンさんは凄く嬉しそうである。

「はい! バスチアンさん! 俺、頑張ります!」

はきはきと答えたフェルナンさんは、俺へ向かって深くお辞儀をし、

「エルヴェ君! 本当にありがとう!  どんなに感謝してもしきれないよ!」

と、熱く礼を言ってくれたのである。
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