39 / 176
第39話「俺の『勘働き』が、すげ~、嫌な予感を報せて来る」
しおりを挟む
俺が作った食事は全員に大が付く好評だった。
食事が美味いと会話が弾む。
これは、万国共通である。
という事で、最近饒舌気味なバスチアンさんも、
更に、にこにこと笑い、饒舌となった。
おいおい。
あの無口で無愛想なスキンヘッド魔人はどこ行ったんだ。
殺されるから、絶対に言わないけど。
「がははは、こりゃ、ほんとにうめえや! なあ、セレス」
「ええ、本当に美味しいわ」
こっちもにこにこ、料理を美味しそうに頬張り、追随するセレスさん。
バスチアンさんは更に言う。
「おい、新人1号。おめえ大したもんだなあ! 凄えよ!」
と、称賛された。
でも、俺が作ったメニューは真新しくない、ありふれたもんもばかり。
なので、俺は手を横へ振り、言う。
「いえ、大したことはありません。俺が作ったのは町中の居酒屋で出すようなモノですよ」
「おう! 確かにな。てめえが作った料理自体は平凡でありふれてる。だがな、どこでも食えるからこそ、味の良さが分かるんだよ」
おお、深い事を言う。
セレスさんも、うんうんと頷いている。
「ええ、バスチアンの言う通りよ。私もこれらのメニューは今までいろいろな所で散々食べたけど、エルヴェ君が作った料理は絶対に忘れないくらいの美味しさだわ」
そんな会話に刺激されたのか、シャルロットさんも割り込んでくる。
「うふふ♡ エル君。全部本当に美味しいわ。だからあ♡ さっきの約束守ってね♡料理を絶対に教えてよ♡」
しゅきしゅきビーム全開で、甘えるシャルロットさん。
当然、OKを出すしかない。
「ああ、王都へ戻ったら、じっくり教えるよ」
俺たちが、そんな会話をしている傍らでフェルナンさんは、無言。
黙々と食べていた。
言葉を発さないが、俺たちの会話に納得し、自身も美味しいと思っているのが、
放つ波動ではっきりと分かる。
但し、伯爵令嬢彼女へ食事を作ってあげるという発想には至らないようだ。
貧乏名誉貴族子弟の俺とは違い、貴族家において、料理などしょせん使用人が作るものだという先入観があるからだ。
シャルロットさんは平民女子らしいから、料理を作り作られる関係が成立するみたいだが、フェルナンさんの彼女さんは、上級貴族たる伯爵の令嬢。
普通に考えれば、自分で料理を作らないし、料理は苦手なフェルナンさんが、
進んで、料理を学ぼうとする可能性は皆無だ。
ここでバスチアンさんが言う。
「くくく、新人1号は、長い目で見る将来性頼みのロマン枠と思っていたが、とんだ誤算だな」
長い目で見る将来性頼みのロマン枠?
俺をじっくり育てるって事?
それが誤算?
どういう意味?
「新人1号は、完全に即戦力の大物ルーキーじゃねえか!」
おおお!!!
バスチアンさんから嬉しい事を言われてしまった!!!
だけど、はっきり言って褒めすぎでしょ。
「そうだ! おい! 新人1号。てめえが新人どものまとめ役、新人主将になれ!」
「あ、それいいかも! バスチアン! ナイスアイディア!」
セレスさんまたも追随。
ええっと、新人どものまとめ役、主将?
「新人1号! てめえが中心になって、新人全員をまとめるんだ。分かったな」
有無を言わさずという感じ。
断れるわけがない。
……こうして俺は、同期のまとめ役、新人主将となったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝。
バスチアンさんの指示で、午前4時起床。
昨晩寝たのが、午後8時。
はっきり言って、就寝時間午後8時はお子様スケジュールである。
なかなか寝付けなかったが、無理やり目を閉じていたら、
いつの間にか眠っていたけど。
1日1食。
夕食のみだから、朝食はなし。
いつもと生活ペースが違い過ぎて、違和感を覚えるが、
研修イコール仕事だから、仕方がない。
さてさて!
今日の研修メニューは基礎体力鍛錬中心との事。
大変汚れるというので、クラン支給の迷彩革鎧に着替える事になった。
現在、俺は男子棟で、支給された迷彩革鎧に着替え中。
バスチアンさん、フェルナンさんも着替えてる。
さすがのバスチアンさんも今日は、ランニングシャツに短パンじゃなかった。
補足しよう。
迷彩革鎧とは、色はカーキ色等々。
服の模様や服の色合いで背景に溶け込んだりして視認性を下げ、
周囲にカモフラージュして敵から存在を見えづらくして欺く為の革鎧だ。
動物や昆虫が自然に溶け込む色を保護色というが、この迷彩革鎧も、
革鎧に保護色を施したものである。
う~む。
俺の『勘働き』が、すげ~、嫌な予感を報せて来る。
そういえば、フェルナンさんが聞いた話で、
指名されて入隊が叶わなかった人の話だと、
この基礎体力鍛錬でめげそうになった、HPを凄く削られたと愚痴っていたらしい。
バスチアンさんが、きちっと革鎧を着ている事も、俺の不安を煽る。
ちなみに、昨日とは違い、今日は新人全員が一緒に行動。
前と後ろを固める形で、バスチアンさん、セレスさんが引率するという。
俺とフェルナンさんを見て、バスチアンさんが言う。
「よし! 新人1号、2号、着替えたか? じゃあ、女子達と合流し、出発するぞ」
「はい!」
「はい!」
返事をした俺とフェルナンさんは、バスチアンさんに促され、
ロッジから出たのである。
食事が美味いと会話が弾む。
これは、万国共通である。
という事で、最近饒舌気味なバスチアンさんも、
更に、にこにこと笑い、饒舌となった。
おいおい。
あの無口で無愛想なスキンヘッド魔人はどこ行ったんだ。
殺されるから、絶対に言わないけど。
「がははは、こりゃ、ほんとにうめえや! なあ、セレス」
「ええ、本当に美味しいわ」
こっちもにこにこ、料理を美味しそうに頬張り、追随するセレスさん。
バスチアンさんは更に言う。
「おい、新人1号。おめえ大したもんだなあ! 凄えよ!」
と、称賛された。
でも、俺が作ったメニューは真新しくない、ありふれたもんもばかり。
なので、俺は手を横へ振り、言う。
「いえ、大したことはありません。俺が作ったのは町中の居酒屋で出すようなモノですよ」
「おう! 確かにな。てめえが作った料理自体は平凡でありふれてる。だがな、どこでも食えるからこそ、味の良さが分かるんだよ」
おお、深い事を言う。
セレスさんも、うんうんと頷いている。
「ええ、バスチアンの言う通りよ。私もこれらのメニューは今までいろいろな所で散々食べたけど、エルヴェ君が作った料理は絶対に忘れないくらいの美味しさだわ」
そんな会話に刺激されたのか、シャルロットさんも割り込んでくる。
「うふふ♡ エル君。全部本当に美味しいわ。だからあ♡ さっきの約束守ってね♡料理を絶対に教えてよ♡」
しゅきしゅきビーム全開で、甘えるシャルロットさん。
当然、OKを出すしかない。
「ああ、王都へ戻ったら、じっくり教えるよ」
俺たちが、そんな会話をしている傍らでフェルナンさんは、無言。
黙々と食べていた。
言葉を発さないが、俺たちの会話に納得し、自身も美味しいと思っているのが、
放つ波動ではっきりと分かる。
但し、伯爵令嬢彼女へ食事を作ってあげるという発想には至らないようだ。
貧乏名誉貴族子弟の俺とは違い、貴族家において、料理などしょせん使用人が作るものだという先入観があるからだ。
シャルロットさんは平民女子らしいから、料理を作り作られる関係が成立するみたいだが、フェルナンさんの彼女さんは、上級貴族たる伯爵の令嬢。
普通に考えれば、自分で料理を作らないし、料理は苦手なフェルナンさんが、
進んで、料理を学ぼうとする可能性は皆無だ。
ここでバスチアンさんが言う。
「くくく、新人1号は、長い目で見る将来性頼みのロマン枠と思っていたが、とんだ誤算だな」
長い目で見る将来性頼みのロマン枠?
俺をじっくり育てるって事?
それが誤算?
どういう意味?
「新人1号は、完全に即戦力の大物ルーキーじゃねえか!」
おおお!!!
バスチアンさんから嬉しい事を言われてしまった!!!
だけど、はっきり言って褒めすぎでしょ。
「そうだ! おい! 新人1号。てめえが新人どものまとめ役、新人主将になれ!」
「あ、それいいかも! バスチアン! ナイスアイディア!」
セレスさんまたも追随。
ええっと、新人どものまとめ役、主将?
「新人1号! てめえが中心になって、新人全員をまとめるんだ。分かったな」
有無を言わさずという感じ。
断れるわけがない。
……こうして俺は、同期のまとめ役、新人主将となったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝。
バスチアンさんの指示で、午前4時起床。
昨晩寝たのが、午後8時。
はっきり言って、就寝時間午後8時はお子様スケジュールである。
なかなか寝付けなかったが、無理やり目を閉じていたら、
いつの間にか眠っていたけど。
1日1食。
夕食のみだから、朝食はなし。
いつもと生活ペースが違い過ぎて、違和感を覚えるが、
研修イコール仕事だから、仕方がない。
さてさて!
今日の研修メニューは基礎体力鍛錬中心との事。
大変汚れるというので、クラン支給の迷彩革鎧に着替える事になった。
現在、俺は男子棟で、支給された迷彩革鎧に着替え中。
バスチアンさん、フェルナンさんも着替えてる。
さすがのバスチアンさんも今日は、ランニングシャツに短パンじゃなかった。
補足しよう。
迷彩革鎧とは、色はカーキ色等々。
服の模様や服の色合いで背景に溶け込んだりして視認性を下げ、
周囲にカモフラージュして敵から存在を見えづらくして欺く為の革鎧だ。
動物や昆虫が自然に溶け込む色を保護色というが、この迷彩革鎧も、
革鎧に保護色を施したものである。
う~む。
俺の『勘働き』が、すげ~、嫌な予感を報せて来る。
そういえば、フェルナンさんが聞いた話で、
指名されて入隊が叶わなかった人の話だと、
この基礎体力鍛錬でめげそうになった、HPを凄く削られたと愚痴っていたらしい。
バスチアンさんが、きちっと革鎧を着ている事も、俺の不安を煽る。
ちなみに、昨日とは違い、今日は新人全員が一緒に行動。
前と後ろを固める形で、バスチアンさん、セレスさんが引率するという。
俺とフェルナンさんを見て、バスチアンさんが言う。
「よし! 新人1号、2号、着替えたか? じゃあ、女子達と合流し、出発するぞ」
「はい!」
「はい!」
返事をした俺とフェルナンさんは、バスチアンさんに促され、
ロッジから出たのである。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
231
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる