冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第43話「俺にひたすらついて来るんよだって、どれくらい進めば良いんだ?」

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基礎訓練、体力増加の為の訓練。

……訓練場5周、50㎞持久走、走破が終わった。
途中、一行を何度も何度も追い越した俺は、そのまま同期シャルロットさんと伴走。
倍の100㎞とは言わないが、結構な距離を走る事となった。

さすがに少し疲れたので、規定3回の内、1回だけ、
セレスさんの最高位回復魔法『全快』で、体力を満タンにして貰った。

次回の走破では、何とか回復なしで行きたいものだ。
のべ100㎞を余力の残しで走る事が出来たら、結構な自信となる。

セレスさんの回復魔法は、まばゆい白光を放って、美しいし、効果効能は抜群だ。
白魚のような細い手で、魔法をかけて貰い、うっとりしていたら、
シャルロットさんが、焼餅を焼いたのは、お約束&ご愛敬。

その俺の同期はと言えば、ふたりとも、何とか完走した。
ホッとひと安心といったところ。

当然、回復魔法をかけ、体力を戻しながら、完走した。

シャルロットさんは、『全快』を8回。
5回分の規定オーバー。
やはり、魔法使いは体力がない。

シャルロットさんに、ずっと伴走していたら、凄く喜んでいた。
『彼女』であり、仲間でもあるシャルロットさんをしっかり守らなければと、決意を新たにした次第。

フェルナンさんは、『全快』を4回。
1回分の規定オーバー。
腐っても元騎士見習い。
やはり体力は相当ある。

俺をライバル視しているらしく、少しあおってやった。
「年下の俺にやられてばかりで、悔しくないですか?」って。
すると「畜生! 負けたくない!」を連発していた。
彼が負けじと奮起し、ヘタレを脱出する為なら、
俺は『生意気な後輩キャラ』になるのもいとわない。
これもフェルナンさんへの協力の一環である。

指導担当のふたりは凄かった。

バスチアンさんは、回復魔法なし。
50㎞走って「まだまだ物足りないぜ」と、ピンピンしていた。
「さすがですね」と言ったら、「余分な距離を走った、おめえもな」と言い返され、嬉しかった。
ただ「外見も中身も化け物ですね」と、本音を言ったら確実に殺されるから、
言葉には気をつけよう。

セレスさんは、自身へ『全快』を1回だけ使った。
完走直後は、さすがにふうふう息が上がっていたが、自らの『全快』で完全復活。
華奢なセレスさんだが、腰へ左手を当てる粋なポーズで、
右手に持った魔力ポーションをぐい飲みし、体内魔力も復活。

おお、セレスさん、かっこい~と思ったが、
シャルロットさんが焼餅を焼くので、オーバーリアクションはやめておく。

チラ見したら、シャルロットさんは、凄く悔しそうな顔をしていたから、
密かに、セレスさんを、自分のライバル設定したかもしれないな。

でも、本当に凄いよ、ランクAは。
憧れるよ。
ローラン様のランクSはムリゲーだとしても、
俺もいつか、ランクAにはなりたいよ。

ちなみに、行く手を阻んだ魔物、肉食獣は、俺が殆ど撃退した……と思う。
何度も何度も4人を抜き、3周を過ぎると、全然出現しなくなった。
俺をヤバイ奴だと認識して、魔物も、肉食獣も、
避けて近寄らなかったのかもしれない。

戦わずして、相手を屈服させる『威圧』のスキルがあるという。
俺は見た事がないが、マエストロ、ローラン様が習得しているらしい。
なので、俺もぜひ教授して貰い、習得したいと思う。

さてさて!

本日の訓練はこれで終わり!
とか、普通は思うだろ?
でもさすがに地獄の訓練と言われているだけある。

これで終わり!では、全然なかったのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

ロッジ前で、回復を兼ね、1時間ほど休憩した後、
バスチアンさんが言う。

「よっし! じゃあ、次の訓練だ! 移動するぞ!」

時間は午後2時。
正直「まだ何かあるな」と、予想していたので、俺は「はい!」と答えたが、
同期ふたりは、どよよよ~んん!と大ショックを受け、無言。
絶望的な顔をしていた。

俺は、「もうひと踏ん張り、頑張ろう」とふたりに励ましの声をかけた。

対して、シャルロットさんは、

「うん! エル君ありがと♡ 一緒に頑張ろうね!」

と何とか、無理くりカラ元気風な笑顔で、誓いの言葉を戻してくれたが、

フェルナンさんは、不満そうに無言。
もう嫌だオーラ全開バリバリ。

「………………………」

おいおい、あんたの人生がかかっているんだろ?
彼女さんが泣くぞ。
こんなに簡単に投げ出すな。
音を上げるなよな。

と思い、協力の約束もあったから、仕方なく、

「オークが彼女さんをお持ち帰り」とささやいたら、

フェルナンさんは、苦しそうな顔つきとなり、キッと俺をにらみ、

「くっそ! 負けてたまるか! 頑張る! 俺も! 絶対、幸せになってやるう!」

と悔しそうに言い放った。

「うふふ♡ 3人とも、思いっきり青春してるわね! 若いって良いわあ! さあ! 行くわよお!」

バスチアンさんに先導され、セレスさんからは背中を押され、
俺たち3人はロッジから近い、森の中へ連れて行かれた。

……一体、何が始まるんだろうか?

ぐるりと見渡せば……
ロッジから近いこの森は、青い空から暖かい日差しがさんさんと射しているが、
木々がうっそうと生い茂っていて、視界がさえぎられている。

そして、獣道のような細い道があちこちにある。

野鳥のさえずりが聞こえる中、バスチアンさんは告げる。

「よし! 特別大サービスだ! 俺が立ったまま先に進み、魔物ども、獣どもを完全に排除し、安全を確保してやる。てめえら新人どもは、ほふく前進で、俺にひたすらついて来るんだよ」

うわ!
おいおいおい!
ほふく前進か!

俺にひたすらついて来るんだって、どれくらい進めば良いんだ?
100mくらいか?
まさか、その10倍!?

補足しよう。
ほふく前進とは、腹這いになって、手と足で地面をするように前進する事だ。 
軍隊で、兵士などが周囲から目撃されないよう、
腹這って移動するイメージを思い浮かべてくれれば良い。

「私は後方を固めるからねえ! 安心して、バスチアンにほふく前進でついてってねえ!」

と、笑顔のセレスさんにもあおられ……

俺たち3人は、腹這いになって、手と足で地面をするように、
前進を開始したのである。
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