冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第53話「バスチアンさん! びびってるフェルナンさんをガンガン攻めてくださいよお!」

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先に痺れを切らしたというか……フェルナンさんは覚悟が決まったようだ。

「うおおおおおおお!!!!!」

雄たけびを上げ、剣を振りかざし、勢いよくバスチアンさんへ突撃した。

騎士見習いとして、鍛錬を積んでいたらしい、フェルナンさんの突進力は、
踏み込みも深く、結構なものだった。

しかし!

さすがに一騎当千、百戦錬磨のランクA。
ローラン様とともに、魔王を倒した強者である。
実力が天と地以上に違い過ぎた。

バスチアンさんは、まだまだ蒼い!と言うかの如く、あっさりかわし、
びしっ!と、フェルナンさんの胴を打った。

「ぎゃう!」

軽度の雷撃が、びりびりと身体を伝わったらしく、
フェルナンさんは短い悲鳴をあげ、無様に「ばたっ」と地へ伏した。

申し訳ないが、その間、俺はバスチアンさんの動きだけ凝視していた。

バスチアンさんは、さすがランクA。
予備動作が殆どない瞬間動作。
加えて、癖など分からない。
まあ、1回じゃ分からない。

だけど、俺の勘働きが報せてくれた。
バスチアンさんは、わずかにバックステップして、フェルナンさんの攻撃を躱し、
カウンター攻撃で、鮮やかに胴を打つと。

やはり攻撃の際の癖など簡単には見抜けないが、勘働きの先読みは、機能した。

……これは行けるかもと、俺は思った。

ここで、「ううう……」と、
痺れと痛みをこらえ、唸りながら、起き上がるフェルナンさん。

それを見て「はい!」と俺は手を挙げた。

間を置かず、声を張り上げる。

「バスチアンさん! 俺、同期として、フェルナンさんをフォローして良いですかね? しょせん稽古ですし」

すると、俺の声を聞いたフェルナンさんは、プライドがあってか、

「か、加勢は無用だ!」

と拒否を叫んだ。

対して俺は柔らかく微笑み、

「はい、加勢はしません。声援を送るだけです」

「せ、声援?」

何、言ってるんだ?
意味がわからねえ!

……って感じで、戸惑うフェルナンさん。

そんな俺たちの会話を聞いたバスチアンさんは、にやにやっと笑い余裕たっぷり。

「おう! 声援どころか、加勢したって構わねえぞ。そんなに堅苦しいもんじゃねえ。新人1号の言う通り、やっているのは所詮、稽古だ」

と、言い放った。

研修の方針は、指導担当の指示が絶対である。
不満たらたらでも、フェルナンさんも従うしかない。

「わ、分かりました」

よし、声援どころか、加勢もOKになったわけだ。

しかし、ここで俺は再び、声を張り上げる。

「さっき言ったように、フェルナンさんへ、声援を送りま~す!」

「あ、ああ、頼むよ、エルヴェ君」

加勢もせず、声で元気づけるだけとか、
こいつは、ふざけてるとか、全く意味がないと思っているのだろう。

不承不承、投げやりに受け入れたフェルナンさんであったが……
この後、とんでもない事が起こるとは、夢にも思わなかったのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

悔しそうに唇を噛み締めるフェルナンさんだが、先ほどより、慎重である。

やみくもに突撃し、バスチアンさんから、
カウンター攻撃を喰らったから、無理もない。

だが、いつまでもこうしているわけにはいかない。

攻撃をためらうフェルナンさんの背を、俺は押す事にした。

声を張り上げ、俺は言う。

「フェルナンさん!」

「あ、ああ……」

「このままでは! 何も状況は変わらず! 膠着状態こうちゃくじょうたいですよお!」

「むううう……」

フェルナンさんは、言葉を戻さないが、彼の心の波動が伝わって来る。

心の叫びと言って良いかもしれない。

バカヤロー!
てめえ! 安全な場所に居て、好き勝手言いやがってえ!

分かってるよ!
そんな当たり前の事を言われなくとも!

俺だって! 攻めたいんだよ! 
だけど! バスチアンさんは、隙がないんだよ!
下手に攻めたら! カウンター喰らうんだよ!
どうしたらいいんだよお!

成る程。
ごもっとも。
納得です。
そのお気持ちはよ~く、分かります。

だからこそ、俺の『声援』が必要なんですよ、フェルナンさん!

何とか、一矢でも報いさせてあげたい、
いや、一撃でも入れられるよう、フォローしたいですから。

俺はそんな事を考えながら、きっぱりと言い放つ。

「フェルナンさん! 俺がサポートしまあす! 魔物や肉食獣と戦った時のようにい!」

「むう……」

「フェルナンさんの願いを叶える為に、俺、協力して来ましたよねえ!」

「う、確かに……」

「これまで戦って来て、俺のサポート、役に立ったでしょ?」

「………………………………」

無言となったフェルナンさん。

反論なしの沈黙は肯定の証。
納得、同意の波動も伝わって来る。

「騙されたと思って、今回も、俺のサポートを受けてくださあい!」

「………………………………」

「わ、分かった!」

おお、フェルナンさん、遂に決意してくれた。

さあ、第二段階だ。

「バスチアンさん! びびってるフェルナンさんをガンガン攻めてくださいよお!」

「な、何~~!!??」

同期イコール味方だと思っていた俺が、
バスチアンさんへ、フルボッコOKを促したのを聞き、
フェルナンさんは驚き、大声をあげたのである。
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