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第52話「俺は目を皿のようにして、バスチアンさんを観察し続ける」
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「お、お願いしますっ!!!」
気合の入った声を出し、バスチアンさんへ、稽古を志願したのは、
こういう場合、いつもなら、及び腰になるフェルナンさんだった。
少しだけ驚いたが、これまでフェルナンさんの話を聞き、行動を共にして来たから、
俺には彼の気持ちがすぐに分かった。
……そもそも、恋人である伯爵令嬢彼女との結婚話が上手く運ばず、
相当焦っていた事。
結婚話を円滑に進める為、冒険者となって、クラン『グランシャリオ』から指名されたまでは良かったが……
魔物、肉食獣に臆し、怯える自分が本当に情けないと感じていた事。
このままではローラン様に認められず、『グランシャリオ』の本契約を勝ち取るのは超高難度だと、絶望に近い気持ちを持っている事。
年下で生意気?な俺が、度々見せるパフォーマンスに気圧され、
引け目を感じていた事。
新人主将に指名された俺を認め、従う事に忸怩たる思いがあった事。
俺とシャルロットさんの仲にあてられ、気ばかり焦っている事。
バスチアンさん、セレスさんまでも、俺を認め、大物即戦力ルーキーとして認めた事に嫉妬心があった事等々……
男爵家3男坊に生まれ、冷や飯を食ったフェルナンさんにも、
挫折はあったに違いない。
しかし、生命の危機に瀕する経験をしていない覚悟のなさが、自分の人生を切り開く活力の不足につながっていたと思う。
それゆえ……
フェルナンさんは、遂に決心したのだ。
俺に何度も檄を飛ばされ、鼓舞されながら、直せない、
こんなに情けなく、ヘタレな自分を変えたいと。
だから俺に先んじて、バスチアンさんへ、勝負を挑んだ。
そんな事を、つらつら考えながら、
俺は、対峙するフェルナンさんといバスチアンさんを見守った。
フェルナンさんは、魔物、肉食獣に臆し、怯えるだけで、
練習や人間相手には、結構な強さを発揮すると分かっている。
いくらスキンヘッドのこわもてで、オーガみたいな人間でも、
バスチアンさんは正真正銘の人間だ。
少なくとも、フェルナンさんの実力『だけ』は発揮出来るはずだ。
まあ、バスチアンさんは、そこらの下手な魔物よりず~っと恐ろしい存在なんだが。
これから行うのは、正式な試合ではないし、あくまで稽古。
何かあったら、加勢等々、フェルナンさんをフォローしようかと、
俺が見守っていると……
やはりというか、一騎当千、百戦錬磨の超一流冒険者のバスチアンさんにとっては、
若輩の新人相手など余裕しゃくしゃくのようである。
バスチアンさんは、剣を抜き放ち、言う。
「ほう、新人3号が、いきって先に来やがったか! おら! さっさと、かかって来いや!」
対して、フェルナンさんは何とか剣を抜けたという感じ。
身体がガタガタ震えてる。
「……………………」
フェルナンさんは、魔物や肉食獣よりはまし。
と、バスチアンさんへ挑んだのだろうが 計算が大甘だった。
いかつい外観と底知れぬ実力をかもしだすバスチアンさんに対し、
恐怖を感じているらしいフェルナンさんは無言。
雷撃剣の柄を握りしめる手は、ぶるぶる震えていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ここは、俺の持つ『勘働き』のスキルが大活躍するシーンだ。
フェルナンさんを俺自身に置き換え、シミュレーションしてみる事にした。
俺は精神を集中、じっとバスチアンさんを凝視した。
すると!
バスチアンさんの身体から、波動が放たれるのが分かる。
手加減するか。
マウントを取っている。
……というような、フェルナンさんに対する、気持ちを表す言葉。
バスチアンさんは、完全に優位性を保ち、上から目線。
フェルナンさんを見下ろしているのが分かった。
まあ、ランクA、VS新人という圧倒的な格の違いだから、仕方がない。
そして、バスチアンさんの心から、意思の波動が彼の身体経由で、
剣を握る腕に伝わり、放出されるのを感じる。
この波動によりバスチアンさんの腕がどう動くのか、
俺には事前に『予想』する事が可能だ。
更に俺は、バスチアンさんの身体的な動作にも注目する。
この身体的な動作とは、バスチアンさんの全体的な筋肉の動きは勿論、
動作が開始しする前に現れる『予備動作』で ある。
予備動作とは、何かアクションを起こす前に、その前兆として行うもの。
例えば、パンチを繰り出す際、蹴りを放つ際のエネルギーを放つ為、
腕、脚に勢いをつける。
走り出す際に、勢いをつける等々、それが予備動作なのだ。
また予備動作がない事を、瞬間動作という。
技を繰り出す際、予備動作があれば、次に繰り出されるのが、
どのような技なのか、予測が可能で対処しやすくなる。
逆に予備動作がなければ、相手に予測されにくい。
魔法で言えば、言霊、呪文を詠唱せず、
無詠唱で、瞬時に魔法を発動するようなものだ。
それゆえ瞬間動作、無詠唱、こういう達人を敵として相手にしたら、苦戦は必至。
まともに戦うと命がいくつあっても足りない。
バスチアンさんは、間違いなく、瞬間動作の達人。
予備動作は見極めにくいだろう。
でも、予備動作を見極めるのは難しいが、
『癖』くらいなら見つけられないか。
俺は目を皿のようにして、バスチアンさんを観察し続ける。
……しばらく、そのまま、ふたりがにらみ合う対峙が続いた。
先に痺れを切らしたというか……フェルナンさんは覚悟が決まったようだ。
「うおおおおおおお!!!!!」
雄たけびを上げ、剣を振りかざし、勢いよくバスチアンさんへ突撃したのである。
気合の入った声を出し、バスチアンさんへ、稽古を志願したのは、
こういう場合、いつもなら、及び腰になるフェルナンさんだった。
少しだけ驚いたが、これまでフェルナンさんの話を聞き、行動を共にして来たから、
俺には彼の気持ちがすぐに分かった。
……そもそも、恋人である伯爵令嬢彼女との結婚話が上手く運ばず、
相当焦っていた事。
結婚話を円滑に進める為、冒険者となって、クラン『グランシャリオ』から指名されたまでは良かったが……
魔物、肉食獣に臆し、怯える自分が本当に情けないと感じていた事。
このままではローラン様に認められず、『グランシャリオ』の本契約を勝ち取るのは超高難度だと、絶望に近い気持ちを持っている事。
年下で生意気?な俺が、度々見せるパフォーマンスに気圧され、
引け目を感じていた事。
新人主将に指名された俺を認め、従う事に忸怩たる思いがあった事。
俺とシャルロットさんの仲にあてられ、気ばかり焦っている事。
バスチアンさん、セレスさんまでも、俺を認め、大物即戦力ルーキーとして認めた事に嫉妬心があった事等々……
男爵家3男坊に生まれ、冷や飯を食ったフェルナンさんにも、
挫折はあったに違いない。
しかし、生命の危機に瀕する経験をしていない覚悟のなさが、自分の人生を切り開く活力の不足につながっていたと思う。
それゆえ……
フェルナンさんは、遂に決心したのだ。
俺に何度も檄を飛ばされ、鼓舞されながら、直せない、
こんなに情けなく、ヘタレな自分を変えたいと。
だから俺に先んじて、バスチアンさんへ、勝負を挑んだ。
そんな事を、つらつら考えながら、
俺は、対峙するフェルナンさんといバスチアンさんを見守った。
フェルナンさんは、魔物、肉食獣に臆し、怯えるだけで、
練習や人間相手には、結構な強さを発揮すると分かっている。
いくらスキンヘッドのこわもてで、オーガみたいな人間でも、
バスチアンさんは正真正銘の人間だ。
少なくとも、フェルナンさんの実力『だけ』は発揮出来るはずだ。
まあ、バスチアンさんは、そこらの下手な魔物よりず~っと恐ろしい存在なんだが。
これから行うのは、正式な試合ではないし、あくまで稽古。
何かあったら、加勢等々、フェルナンさんをフォローしようかと、
俺が見守っていると……
やはりというか、一騎当千、百戦錬磨の超一流冒険者のバスチアンさんにとっては、
若輩の新人相手など余裕しゃくしゃくのようである。
バスチアンさんは、剣を抜き放ち、言う。
「ほう、新人3号が、いきって先に来やがったか! おら! さっさと、かかって来いや!」
対して、フェルナンさんは何とか剣を抜けたという感じ。
身体がガタガタ震えてる。
「……………………」
フェルナンさんは、魔物や肉食獣よりはまし。
と、バスチアンさんへ挑んだのだろうが 計算が大甘だった。
いかつい外観と底知れぬ実力をかもしだすバスチアンさんに対し、
恐怖を感じているらしいフェルナンさんは無言。
雷撃剣の柄を握りしめる手は、ぶるぶる震えていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ここは、俺の持つ『勘働き』のスキルが大活躍するシーンだ。
フェルナンさんを俺自身に置き換え、シミュレーションしてみる事にした。
俺は精神を集中、じっとバスチアンさんを凝視した。
すると!
バスチアンさんの身体から、波動が放たれるのが分かる。
手加減するか。
マウントを取っている。
……というような、フェルナンさんに対する、気持ちを表す言葉。
バスチアンさんは、完全に優位性を保ち、上から目線。
フェルナンさんを見下ろしているのが分かった。
まあ、ランクA、VS新人という圧倒的な格の違いだから、仕方がない。
そして、バスチアンさんの心から、意思の波動が彼の身体経由で、
剣を握る腕に伝わり、放出されるのを感じる。
この波動によりバスチアンさんの腕がどう動くのか、
俺には事前に『予想』する事が可能だ。
更に俺は、バスチアンさんの身体的な動作にも注目する。
この身体的な動作とは、バスチアンさんの全体的な筋肉の動きは勿論、
動作が開始しする前に現れる『予備動作』で ある。
予備動作とは、何かアクションを起こす前に、その前兆として行うもの。
例えば、パンチを繰り出す際、蹴りを放つ際のエネルギーを放つ為、
腕、脚に勢いをつける。
走り出す際に、勢いをつける等々、それが予備動作なのだ。
また予備動作がない事を、瞬間動作という。
技を繰り出す際、予備動作があれば、次に繰り出されるのが、
どのような技なのか、予測が可能で対処しやすくなる。
逆に予備動作がなければ、相手に予測されにくい。
魔法で言えば、言霊、呪文を詠唱せず、
無詠唱で、瞬時に魔法を発動するようなものだ。
それゆえ瞬間動作、無詠唱、こういう達人を敵として相手にしたら、苦戦は必至。
まともに戦うと命がいくつあっても足りない。
バスチアンさんは、間違いなく、瞬間動作の達人。
予備動作は見極めにくいだろう。
でも、予備動作を見極めるのは難しいが、
『癖』くらいなら見つけられないか。
俺は目を皿のようにして、バスチアンさんを観察し続ける。
……しばらく、そのまま、ふたりがにらみ合う対峙が続いた。
先に痺れを切らしたというか……フェルナンさんは覚悟が決まったようだ。
「うおおおおおおお!!!!!」
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