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第58話「全てを伝えたわけじゃない。 だが、嘘を言ってはいない」
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「お、お、おはようございます! ローラン様! クリスさん!」
大いに噛んでしまっが、俺は姿勢を正した上で、
何とか、ふたりへあいさつする事が出来た。
すると俺のあいさつを聞いたフェルナンさんも慌てて、
「お、お、お! おはようございます! ローラン様! クリスさん!」
ほぼ同じように盛大に噛み、朝のあいさつをした。
稽古という名の戦闘に没頭していたら……夜が明けている。
対して、ローラン様は、
「おう! おはよう! エルヴェ君! フェルナン君! 朝から頑張っているな」
続いてクリスさんも、にっこり。
「あはは、おはよう! エルヴェ君! フェルナン君! バスチアンのしごきに音を上げているかと思ったら、全く逆だったな。ふたりとも良い顔をしてるじゃないか」
ここで、女子棟ロッジから、セレスさんとシャルロットさんも出て来た。
「おはようございます!」
「おはようございます!」
張りのある元気な女子の声で、あいさつが飛び交う。
ようやくこれでクランメンバー全員が揃った事となる。
どこかの言い方をすれば、完全体って事。
ただ、俺たち新人3人はまだ、本契約に至らない仮契約の身分だけど。
さてさて!
ローラン様のひと声でクールダウンしたバスチアンさんが俺たちへ指示を出す。
「おい! 新人1号! 今朝は特別だ! 新人2号、3号とともに、朝メシ作ってくれや! 練習用の雷撃剣は俺が片付けておく」
おお、ずっと1日1食、夕食のみだったのに、今日は久々に朝飯が食えるんだ。
すっげえ嬉しいな!
ローラン様とクリスさんが加わり、
いわゆるクランメンバー全員合流記念って、奴か、コレ。
という事で、俺はさっきのバスチアンを見習って直立不動。
びしっ!と敬礼をして戦闘開始。
まあ、戦闘開始って言っても物の例えで、食事の支度の開始って意味ね、念の為。
とりあえず雷撃剣をバスチアンさんへ渡し、
俺が踵を返して、予備棟ロッジへ向かうと、
まずシャルロットさんが、続いて、雷撃剣をバスチアンさんへ渡し、
フェルナンさんもついて来た。
起床し、支度をしてロッジ女子棟を出て来たセレスさんとシャルロットさんは、
『稽古』を途中からしか見ていない。
出てみれば……
俺とバスチアンさんが剣を構えて対峙していた。
それも!何と!何と! 俺エルヴェが勝ったっぽい。
当然ながら、シャルロットさん、『彼女の立場』としては興味津々となる。
「ねえねえ! エル君! 何か凄い事になってなかった?」
ここで、俺が答える前に、すかさず口をはさんだのは、フェルナンさんである。
興奮を抑えきれない! 心底惚れ込んだ! という感じで言う。
「いやあ!! エルヴェ君は物凄かった!! 剣で、バスチアンさんを圧倒していたよ!!」
「えええ!!!??? フェ、フェルナンさんっ!!! そ、そ、それ!!!??? ほ、ほ、本当!!!??? エル君がああ!!!???」
「おおっ! 本当だよ! シャルロットさん! エルヴェ君はめちゃくちゃ強い! エルヴェ君のアドバイスのお陰で、俺もバスチアンさんへ一撃を入れられたんだっ!」
「す、す、す、すっご~~~いいい!!!???」
こうして……
明けたばかりの訓練場に、シャルロットさんの大声が響きわたっていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
夕食とは違い、朝食はやや軽めのメニュー。
今日の夕食はあるの?ないの? とも思い、どれくらい作るのか迷うが、
朝からそんなには食べられない。
なので、普通の朝食メニューを作る事にした。
とんとんとんとん! とんとんとんとん!
じゃじゃじゃっ! じゃじゃじゃっ!
じゅ~ううう! じゅ~ううう!
じゅわわわぁ! じゅわわわぁ!
……そんなこんなで、朝飯完成。
メニューはといえば、
塩ゆでウインナー、スクランブルエッグ、サラダ、ポタージュスープ、冷凍パン。
まあ、本当に普通の朝食メニューてな、感じ。
夕食に比べれば、だいぶ軽め。
7人分の盛り付けを終えると、機嫌の良いフェルナンさんが気を利かせて、
戸外へローランたちを呼びに行った。
その間は、俺とシャルロットさんは束の間の会話タイム。
「ねえねえ! どうして? どうやって? バスチアンさんに勝てたの?」
おお、ズバリ直球で聞いて来た。
どうしようか、こういう場合。
とっておきの奥の手、俺の勘働きのスキルを秘匿すべきか?
それとも、愛する彼女に嘘をつくべきではないか?
……すっごい迷う。
しばらく、考える。
……結果が出た。
「バスチアンさんの身体の動きを見切ったんだ」
「え!? 身体の動きを見切った?」
「ああ、相手の筋肉の動きとか、予備動作とかで瞬時に推測するんだ。そして即座に、攻撃または防御の対応をするんだよ」
「へえ! 凄いね! エル君にそんな特技があったんだ!」
よし!
これは嘘じゃない。
後で責められる事はない。
「うん! それと……」
「それとって、まだあるの?」
「ああ、後は勘だ」
「勘? 何それ?」
「ああ、シャルロット。前にも言ったかもしれないが、俺、子供の頃から勘が鋭いんだよ。それで相手が行おうとする次の動きを先読みするんだ」
……これも嘘じゃない。
全てを伝えたわけじゃない。
だが、嘘を言ってはいない。
しかし、この程度の情報でも、あまり広まりたくない。
そこで、俺はシャルロットさんへ口止めしておく事にした。
「今の話……あまり他人に知られたくない。内緒にしてくれるか?」
「分かった! 私とエル君との秘密って事だよね?」
シャルロットさんはそう言うと、俺へにっこりと笑ったのである。
大いに噛んでしまっが、俺は姿勢を正した上で、
何とか、ふたりへあいさつする事が出来た。
すると俺のあいさつを聞いたフェルナンさんも慌てて、
「お、お、お! おはようございます! ローラン様! クリスさん!」
ほぼ同じように盛大に噛み、朝のあいさつをした。
稽古という名の戦闘に没頭していたら……夜が明けている。
対して、ローラン様は、
「おう! おはよう! エルヴェ君! フェルナン君! 朝から頑張っているな」
続いてクリスさんも、にっこり。
「あはは、おはよう! エルヴェ君! フェルナン君! バスチアンのしごきに音を上げているかと思ったら、全く逆だったな。ふたりとも良い顔をしてるじゃないか」
ここで、女子棟ロッジから、セレスさんとシャルロットさんも出て来た。
「おはようございます!」
「おはようございます!」
張りのある元気な女子の声で、あいさつが飛び交う。
ようやくこれでクランメンバー全員が揃った事となる。
どこかの言い方をすれば、完全体って事。
ただ、俺たち新人3人はまだ、本契約に至らない仮契約の身分だけど。
さてさて!
ローラン様のひと声でクールダウンしたバスチアンさんが俺たちへ指示を出す。
「おい! 新人1号! 今朝は特別だ! 新人2号、3号とともに、朝メシ作ってくれや! 練習用の雷撃剣は俺が片付けておく」
おお、ずっと1日1食、夕食のみだったのに、今日は久々に朝飯が食えるんだ。
すっげえ嬉しいな!
ローラン様とクリスさんが加わり、
いわゆるクランメンバー全員合流記念って、奴か、コレ。
という事で、俺はさっきのバスチアンを見習って直立不動。
びしっ!と敬礼をして戦闘開始。
まあ、戦闘開始って言っても物の例えで、食事の支度の開始って意味ね、念の為。
とりあえず雷撃剣をバスチアンさんへ渡し、
俺が踵を返して、予備棟ロッジへ向かうと、
まずシャルロットさんが、続いて、雷撃剣をバスチアンさんへ渡し、
フェルナンさんもついて来た。
起床し、支度をしてロッジ女子棟を出て来たセレスさんとシャルロットさんは、
『稽古』を途中からしか見ていない。
出てみれば……
俺とバスチアンさんが剣を構えて対峙していた。
それも!何と!何と! 俺エルヴェが勝ったっぽい。
当然ながら、シャルロットさん、『彼女の立場』としては興味津々となる。
「ねえねえ! エル君! 何か凄い事になってなかった?」
ここで、俺が答える前に、すかさず口をはさんだのは、フェルナンさんである。
興奮を抑えきれない! 心底惚れ込んだ! という感じで言う。
「いやあ!! エルヴェ君は物凄かった!! 剣で、バスチアンさんを圧倒していたよ!!」
「えええ!!!??? フェ、フェルナンさんっ!!! そ、そ、それ!!!??? ほ、ほ、本当!!!??? エル君がああ!!!???」
「おおっ! 本当だよ! シャルロットさん! エルヴェ君はめちゃくちゃ強い! エルヴェ君のアドバイスのお陰で、俺もバスチアンさんへ一撃を入れられたんだっ!」
「す、す、す、すっご~~~いいい!!!???」
こうして……
明けたばかりの訓練場に、シャルロットさんの大声が響きわたっていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
夕食とは違い、朝食はやや軽めのメニュー。
今日の夕食はあるの?ないの? とも思い、どれくらい作るのか迷うが、
朝からそんなには食べられない。
なので、普通の朝食メニューを作る事にした。
とんとんとんとん! とんとんとんとん!
じゃじゃじゃっ! じゃじゃじゃっ!
じゅ~ううう! じゅ~ううう!
じゅわわわぁ! じゅわわわぁ!
……そんなこんなで、朝飯完成。
メニューはといえば、
塩ゆでウインナー、スクランブルエッグ、サラダ、ポタージュスープ、冷凍パン。
まあ、本当に普通の朝食メニューてな、感じ。
夕食に比べれば、だいぶ軽め。
7人分の盛り付けを終えると、機嫌の良いフェルナンさんが気を利かせて、
戸外へローランたちを呼びに行った。
その間は、俺とシャルロットさんは束の間の会話タイム。
「ねえねえ! どうして? どうやって? バスチアンさんに勝てたの?」
おお、ズバリ直球で聞いて来た。
どうしようか、こういう場合。
とっておきの奥の手、俺の勘働きのスキルを秘匿すべきか?
それとも、愛する彼女に嘘をつくべきではないか?
……すっごい迷う。
しばらく、考える。
……結果が出た。
「バスチアンさんの身体の動きを見切ったんだ」
「え!? 身体の動きを見切った?」
「ああ、相手の筋肉の動きとか、予備動作とかで瞬時に推測するんだ。そして即座に、攻撃または防御の対応をするんだよ」
「へえ! 凄いね! エル君にそんな特技があったんだ!」
よし!
これは嘘じゃない。
後で責められる事はない。
「うん! それと……」
「それとって、まだあるの?」
「ああ、後は勘だ」
「勘? 何それ?」
「ああ、シャルロット。前にも言ったかもしれないが、俺、子供の頃から勘が鋭いんだよ。それで相手が行おうとする次の動きを先読みするんだ」
……これも嘘じゃない。
全てを伝えたわけじゃない。
だが、嘘を言ってはいない。
しかし、この程度の情報でも、あまり広まりたくない。
そこで、俺はシャルロットさんへ口止めしておく事にした。
「今の話……あまり他人に知られたくない。内緒にしてくれるか?」
「分かった! 私とエル君との秘密って事だよね?」
シャルロットさんはそう言うと、俺へにっこりと笑ったのである。
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